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作者: める252
掲載日:2026/06/19

指先を擦る。

今日は明日だった。

いや、一昨日だったのか。


僕は手を見つめ、空を仰ぐ。

君は「あなたは蚕だ」

そう言った。


紡ぐこと。僕の在り方かもしれない。

擦った指先の温かさ。


爪のきわに白い繊維がひと筋、まだ残る。


変わらない日々、少しだけ違う明日と昨日。

桑の葉の裏、透ける葉脈、そんな世界に恋をした。


木枯らしが葉脈の色を奪う。

でも、指のぬくもりが、ほどけかけた僕を連れ戻す。


消えゆく撚りの奥、ひと紡ぎの手触りが僕を奮い立たせる。


君は覚えているだろうか。君の輪郭を。

僕は覚えていられるだろうか。僕がいた証を。


繭は脆く、儚い。でも強い。


季節が変わり、そっと手を差し伸べてくれた君は、もういない。

いつかそちらへ行く。

そのときは、僕が手を差し伸べる。


ほどけ切る前に、指に糸をかけ、最期のひと撚り。


ありがとう。


ありがとう。

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