第22話 それでも私の役目です
第22話です。
森の闇は最高潮に達し、黒霧はあらゆる方向に暴れた。
リュシアンの体力は限界に近い。
呼吸が乱れ、手に汗がにじむ。胸の奥のざわつきも、光の力として増幅される。
フィアナは剣を握り、王子の横に立つ。
「王子さま……もう無理です!」
「大丈夫……俺がやる」
王子の言葉は静かだが、意思は揺るがない。
胸の奥で自分の嫉妬と独占欲に向き合い、それを祈りの力に変えている。
苦しさと痛みが体を襲うが、王子は止まらない。
フィアナの目に涙が光る。
「でも、あなたの命が……」
「それでも……これは私の役目ですから」
リュシアンは光をさらに強め、黒霧の中心に祈りを届ける。
胸の奥の感情を拒絶せず、力に変える――それが王子として選んだ戦い方だった。
黒霧は徐々に崩れ、光に押されて消えていく。森に静寂が戻り、風が木々を揺らす。
リュシアンは倒れ込むように膝をつくが、笑顔は静かに、確かにあった。
胸の奥で揺れた感情も、光と共に少しずつ鎮まっていく。
フィアナは、そっと王子の肩に手を置き、微笑む。
「王子さま……無事でよかった」
「……俺も、君がいてくれてよかった」
互いに目を合わせ、深い安堵と信頼を感じる。黒霧の暴走も、胸の奥の嫉妬も、自分たちの力で乗り越えた瞬間だった。
王子は初めて、自分の感情を受け入れつつ、命を削る覚悟で戦える強さを実感した。
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