第21話 悪意の増幅
第21話です。
黒霧はさらに暴れ、森全体が闇に包まれる。
リュシアンの祈りの光は、闇に押されつつも消えない。
だが、胸の奥の嫉妬や独占欲も増幅される。
王子は初めて、自分の感情が力になり得ることを理解するが、同時に危険性も感じていた。
「王子さま……光が強すぎます!」
フィアナが声を荒げる。
剣を振るいながらも、王子の顔色を気にしている。
光は強いが、その代償として王子の体力がどんどん削られている。
リュシアンは、意識的に胸のざわつきに向き合う。
「嫉妬……独占欲……すべて、この力の源なんだな」
感情を否定せず、光に変換することで、黒霧に立ち向かえる。
しかし、それは王子自身の命を削ることでもあった。
息が荒くなり、手の震えを感じる。
「王子さま、止まって!」
フィアナが剣を下ろして駆け寄る。
その目は、ただ戦う剣士ではなく、守る人としての恐怖と懸念を宿している。
王子の顔に刻まれた疲労と決意を見て、彼女は理解する――光を放つたび、命を削っているのだと。
「……それでも、これは俺の役目だ」
リュシアンは微笑むように答え、祈りを止めない。
胸の奥で、嫉妬や独占欲がざわつき、黒霧の闇に光が突き刺さる。
自身の命を削る代償を承知の上で、守るべき人々のために祈る。
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