雪の美少女とのケーキ屋デート!?①
テスト結果が出てから3日後、土曜日の朝に光星は美玲に声をかけた。
「美玲、約束のケーキ買いに行くぞ」
「え、今から?」
美玲は慌てたような声で飛び起きる。
ソファーでゴロゴロしていたからか、美玲はパジャマ姿で髪もまだ寝癖がついている。
「まさかその格好で行くつもりじゃないよな」
「ち、違います!今すぐ着替えますから少し待ってください」
そう言うと美玲は慌てて自分の部屋に駆け込んでいった。
30分後程経つと、美玲が部屋から出てきた。
「お待たせしました」
白いワンピースに薄い水色のカーディガンを羽織った美玲の姿に、おもわず見惚れてしまう。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない、それより早く行こう」
光星は慌てて顔を逸らしながら言った。
二人で歩いていると、どこかぎこちない雰囲気が漂う。
正直俺は恋愛経験が乏しいのでこういうのはあまり慣れていない。
そんな雰囲気を察したのか美玲から話題を振ってきた。
「それで今日はどこのケーキ屋さんへ行くんですか?」
「駅前にある『ラ・ネージュ・シュクレ』ってところだけど知ってるか」
「はい、そこなら私も知ってます。評判いいみたいですね」
歩きながらも二人の間には微妙な距離がある。
普段の家での気安い関係とは違って、外に出ると妙に意識してしまう。
「なんか緊張するな」
「え?」
「いや、こっちの話」
小声で呟いたつもりが、美玲には聞こえてしまったようだ。
しばらく歩いていると、向こうから見知った顔が歩いてくる。
「あ、光星じゃん!」
そう声を掛けてきたのは弐雲だった。
そして隣には見慣れない女の子がいる。
「弐雲、こんなところで何してるんだ?」
「彼女とデートだよ。そっちこそ......」
弐雲の視線が美玲に向く。
「もしかして月海さん?」
「あ、はい……」
美玲は少し緊張した様子で答える。
「光星と一緒にいるなんて珍しいな、もしかして二人って……」
「た、たまたま同じ方向だっただけです」
美玲が慌てて否定すると、光星も頷きながら言った。
「そうそう、偶然だよ」
弐雲は少し疑わしそうな顔をしたが、それ以上は追及しなかった。
「それじゃあ俺たちは映画見に行くから。また今度な」
そういい弐雲とその彼女は去っていった。
「少し焦ったな」
「そうですね、まさか同級生とばったりあってしまうとは」
少し話したところで二人の間に気まずい沈黙が流れる。
お互いに恋愛未経験なことはまだ知らない二人であった。