雪の美少女の家
「今日から新居か」
少し憂鬱な気分になりながら星宮光星は独り言をこぼす。
今年の春から高校生になり、東京の高校に通うことになったのだが、片道三時間以上かかる家からの通学は厳しいと親が判断し上京することになっていた。
「ここが俺の家か」
そう言って少し戸惑いながら家の鍵を開けて中に入った。
「お邪魔します」
光星が少し緊張しつつ言うと中から声がした。
「……え!?」
ドアを開けると驚いた表情でこちらを見る可愛げのある少女の姿がそこにあった。
水色の髪はさらさらとしていて、雪のように真っ白な肌、そしてサファイアのように透明感があり光沢を帯びている青色の瞳、まるで雪の女王の彷彿とさせるような美少女がそこにはいた。
「ところであなたは新手のストーカーでしょうか?」
さっきまで驚いた表情をしていたが、真面目な顔で質問を投げてきた。
「俺は今日からここに引っ越すことになった星宮光星だ」
自信満々に返すとますます疑念を抱いた瞳がこちらを見つめていた。
「ところであなたの名前は?」
そう聞くと彼女は答えた。
「私の名前は月海美玲です」
そうあっさりと返された。
「話を聞く感じ同年代の女の方が来ると思っていましたが……」
美玲は警戒しながらもつぶやいた。
「たしかに俺もシェアハウスということは聞いていたが、まさか異性がいるとは……」
すこし気まずい雰囲気になりつつあった。
「こうなっては仕方ありませんね」
彼女はそう言うと諦めたのか奥の部屋へと戻っていった。
こうして雪の美少女と光星の奇妙なシェアハウスが始まったのであった。