サテライト ムーン 番外編 スペース ギャラクシー~銀河のように~ -Ginga Moriyama`s Story- Episode 1.5
サテライトムーンの外伝です・・第1部と2部の間の物語・・銀河と良夫にスポットを当て悠子の幼馴染、守の登場・・彼方へ消えたアニーと優一のその後・・をえがいてます・・
第1章 名取良夫
「なかなか上手いだろ?」ハンドルを握る良夫が言う。
「そうかな?」助手席の銀河が言う。
ハンドルを切る良夫。
「あん」少し傾く銀河。
良夫21歳、銀河20歳の夏・・二人を乗せた自動車は一路海を目指していた。
海の水を掛け合い遊ぶ二人、銀河の左二の腕(義手とのつなぎ目)にはアームレットが付けられていた。
車に戻る二人。
「あれっ?」
「どうした?」
「うん・・座席この位置だったっけ?」
リクライニングを直す銀河。
発車する良夫の愛車、RX-10。
「僕は良夫だからね・・良い夫になると思うよ」
「良く言うわ、あたしなら良いお嫁さんになるけどね」
「えっそうなの?」
「そうよ」
「うう~ん」
その時、後部座席から声が
車を留め振り向く二人・・狭いRX-10の後部座席だがそこに少年が寝込んでいた。
第2章 竜崎守
少年の名は竜崎守、9歳・・ロボットを見かけ話すも両親始め誰も信じてくれない為に家を飛び出して来て疲れたので鍵のかかってなかった良夫の車に乗り込み後部座席で寝てたという。
「ロボットだって、子供だな~」と言う良夫に
「何言ってんだ・・世の中には信じられない事も沢山あるんだぞ」と言い返す守。
「へぇ~」と良夫。
「例えば?」銀河が聞く。
「赤い蜃気楼とか・・」
守の言葉に良夫は車を急停車。
「アンナたちの事だ紅い幽霊の都市伝説の域を出ちゃったんじゃ」こっそり銀河に耳打ちする良夫。
「昼間からイチャイチャしてるから世事にうとくなるんだ」と守。
「そらど~も・・」としか言えない二人。
真剣な守の言葉に現場に向かう二人。
(ここは)
「ねえ・・この山の向こうはアンの森じゃない?」と銀河。
「みたいだな」良夫が言う。
その時何か軋む音が・・最初は小さかったが段々大きくなってくる。
「あれは」驚愕する良夫。
箱のような頭部・・二本のダンバーの左右各3本のコード6角形の腰板のような腕・・板と金属の塊の足・・あれは・・エリムYS-II
「アニーの作ったエリムが残っていた・・しかも、まだ動いている」
エリム頭部の目のような二つのライトその右側だけが点灯し良夫たちを照らす。
「逃げろ!」
車への進路を塞がれた三人は山の中へ逃げる。
木々の生い茂る山中・・なんとか振り切り、一息つく良夫たち。
「怖くないか?」良夫が守に問いかける。
「僕は竜の住む崎を守る・・いわば騎士だ・・怖いもんか!」
ふっと笑って良夫「お前に守って欲しい女の子がいる」と話しかける。
「その子弱っちい?」
「いや強いよ」
「だったら何で?」
「自分の強さに押し潰されないか心配なんだ」
「よくわかんないけど、その子いくつ?」
「今3歳かな・・」
「ちっちゃいな・・よし任せとけ!」
ウトウトしてる守を横に銀河が
「あれ悠子ちゃんの事ね」良夫に聞く。
「うん」
「あたしの事も、もう少し考えてよ」
「考えてるよ」
「・・あたしが退院した時ね」
「?」
「腕を無くして・・」
3年前を思い出す
「あの時?」
「本当は支えて欲しかったよ・・・」
「?」
「太陽が眩しいって・・それだけで納得しないでよ」
動揺する良夫。
「あ・・あの・・」
「女は過去を感情で記憶するのよ」
「えっそうなの?」
「そうよ」
すこし場が和んだ。
「そんな事じゃあ女の子にモテないぞ」続けて銀河が言う。
「えっそうなの?」
「そうよ」
「ぷっ」ふきだす二人。
夜空を見上げる銀河・・満点の星空・・
「あたしね自分の名前嫌いだった・・変わってるし男名前みたいだし・・」
「そうかな?」
「父さんは・・」
「えっ」
「死んじゃった父さん・・ってみんな死んじゃったんだけど・・父さんの名前は太郎って言うの・・母さんは五月・・これは5月生まれだったかららしい、で父さん、自分が平凡な名前だから子供の名前は凝ろおって・・自分の太と母の月から太陽って兄につけて、で太陽の次が銀河・・だもんねぇ・・」笑う銀河。
「あたしずっと一人だった・・早く家族が欲しいって思ってた」草をむしりながら銀河。
「あ・・あの・・」戸惑う良夫。
「だからって誤解しないでよ」
笑う銀河を見て良夫。
「・・あ~洋のところ知ってる?洋のお母さんは啓子、お姉さん・・リカさんの本名は玲子、で子供が悠子だろ」
「うん」
「分かる?」
「みんな子がついてる」考えながら言う銀河。
「それだけじゃない、みんな子の前が長音になるんだ」
「長音」
「伸ばす音」
「けいこ、れいこ、ゆうこ・・これが、けーこ、れーこ、ゆーこ・・でもOK」
「な~る」
「エリムはおそらく僕たちをターゲットにプログラムされていたはず・・これですむとは思えない・・まあ・・長い夜になりそうだな・・・」
その時後ろの方で軋む音が。
第3章 山本洋
その洋はその頃ニューヨークに来ていた・・一度は姉を探しに行くつもりだった場所・・
いつか憧れの場所になっていた
昼間の町並み・・そこで洋は意外な人物に再会する。
「アニー・・」
「御久しぶりです、其の節は失礼しました」驚いたようにアニーが言う。
「俺の心は山のように大きく大洋のように広いのさ」
公園のベンチで洋はこれまでの思いを尋ねた。
「一つ聞きたい・・優一さんは?」
3年前重症を負った優一の身体は手の施しようがなく・・記憶をアニーのCPUに移植したと言う・・優一はアニーと一体化したのだ。
「Unbodied コンピューター1号・・U-1」
「アンボディド?」聞く洋。
「Unbodied・・肉体から離れた・・精神の・・無形の・・実体の無い・・ですかね」
「無理やりだな」
「如何しても優一さんの名前を残したかった・・」
目を閉じるアニー。
「彼は私と一緒です・・いつまでも・・」
空を見上げるアニー
「もう一つ聞いて良い?」
「はい?」
「俺たちと戦った時の武器だけど」
「はい・・」
「腰のリングの爆弾がチャイナリングボムってアンナから聞いたけど」
「そうですよ」
「意味不明」
「チャイナリングは中国手品の一つ・・基本的に4つのリングを繋いだり外したりする」
「あ・・あれ・・」
「はい・・わざわざ私に聞かなくてもアンナに聞けば教えてくれたでしょうに・・結局根本はアンの興味が有った事から派生してますから」
第4章 森山銀河
逃げる三人・・
ゆっくり進むエリムはすぐ引き離せるが・・
休んでいると直ぐに追いつかれる・・
銀河と守は体力の限界を向かえようとしていた。
「相手は疲れないからな参ったよ」良夫もきつい。
「なんとかなるわ」
「楽観主義?」
「悪く考えると悪くしかならないの」
「えっそうなの?」
「そうよ」
「お姉ちゃん傷が」
「えっ?」
銀河の左前腕に傷・・山中で引っ掛けたかエリムの攻撃がかすったか、銀河の左前腕に傷・・そこから・・
「なに・・これ?」守が目を見開く。
銀河の傷口から機械が覗いている。
「ロ・ロボット」
「・・ロボットに見える」悲しそうに銀河が言う。
守は自分の発した台詞を後悔しながら「・・ううんお姉ちゃんの手・温ったかい」と力強く言う。
その時一条の光がみんなを照らす。
草影からエリムが現れ、捕まる良夫。
銀河は撥ね飛ばされる。
「良夫っ」エリムに駆け寄った銀河は良夫を掴むエリムの頭部に義手を打ち付ける!
「止めろ銀河」
「腕なんかどうでもいい良夫の方が大事だよ」何度も叩きつける。
「ギャラクシー・ギャルを舐めるなよ」渾身の力で打ち付ける。
火花 爆発 吹き飛ぶ銀河と良夫・・崩れ落ちるエリム。
「すごい」起き上がりながら良夫・・
「女はいざとなると強いのよ」
「えっそうなの?」
「・・そうよっ」
銀河の左腕は肘から先が壊れてしまった。
「しょうがないよ・・」つぶやく銀河。
腕を抑え「それより、良夫が無事で良かった」
数日後洋が帰国・・
銀河の事を知った洋は驚きながらも・・
「大丈夫・・修理は可能だ・・俺がニューヨークで誰に会ったと思う?・・実は・・・」
読んでいただけた方、ありがとうございました、この話しだけでは分かりにくいですが、こちらから読まれてすこしでも興味を持たれたら本編&前日譚もご覧頂ければ嬉しいです・・