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「水の色」  作者: 赤橋 茜
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みずのいろ

毎日を過ごすことは、年をへらすことだ。

ひとつ歳を重ねる事に、陰性的な思いが増えていくのは、雨模様の空や、雨粒にうたれる事の様に、加速する。

東京に越してきて、丁度、一ヶ月が経とうとしているけど、僕は騒々とした気持ちを解さずにいた。

満員電車の窮屈さや、切符を買う手間、どちらも都会を真っ当する人間にとってわたやすいことなんだろう。


一件の通知が届き、トウキは携帯画面の表示をおしひらいた。

ノボルと表示された連絡は長文の文章だった。

トウキは返信をした。

内容は「水の色は青いと思うんだ」

駅舎のホームにある青いベンチで電車を待っていると、トウキから返信がきた。

今は朝方の6時だ。この時間帯に返信なんてめずらしい。

ノボルは返信の内容を見た。

「水色は、、、」

あいつらしいな。ひたすらにそう思えた。

この尋常たる日常の中で、沈澱していた鬱積が水溜まりを青一色にした様に、わかりやすく苦しい日々の感情をよけていくがわかった。

きっとトウキが伝えたかったのは、「透明な水の色も、水々しい青い雰囲気をもっているんだから、あふれかえる人の波も見ないふりはできないという意味だ」

という感じだと思う。

俺が分かりやすく言うと「水色を水の色として、透明にするんじゃなく、水分を含むものを、多様性の視線で見ろ」

と言うことだろう。

トウキのことを理解できるのは、俺だけだな。

返信が来た、ノボルからだ。

通勤ラッシュの電車に乗っている僕はその内容を確認した。

「水の色は、水の色だ」

思わずプスッと笑ぶいてしまった。

お前らしいよと、僕は心の底から、嬉しく思った。

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