第16話 痛い系なお局
エディタを暴行したポムが、保安官の取り調べを受けることはなかった。
アンドレーが、一方的に罪を問われることになった。
アンドレーの運命は、どうなってしまうのか?
彼はこのままポムの望み通りに、死刑に追い込まれるのか?
アンドレー逮捕を知ったエミーリアたち3人娘は、すぐに動いた。
ジアーナがエディタを見守るために町に残り、エミーリアとオリーヴィアは、旅立ちの村に飛んで帰った。
ハーレムのお局様であるエリザヴェータに報告するためだ。
アンドレーのハーレムは、ひとつの社会になっていた。
女ひとりひとりが自分の才能を発揮し、その社会に貢献してハーレムを運営している。
腕の立つものは冒険者となって稼ぎ役になり、家事が得意なものは炊事洗濯係りを任され、夜の奉仕が得意なものは、たくみなスキルでアンドレーの体を喜ばせた。
みなが自分の得意分野に勤しめる環境が、その社会に整っていた。
そのハーレムの指揮をとるのがエリザヴェータだ。
彼女はもともと、国家役人を護衛する女軍人として名を馳せた剣術士であった。
いろいろあって、今はアンドレーの花だ。
頭脳明晰。
スタイル抜群。
黄金の長い髪が眩しい。
希少な希少な品行方正の穢れなき美女であった。
その彼女が今、ハイレグに近いきわどい衣服を着て、玉座のように立派な椅子に足を組んで座っている。
生足が贅沢に露出している。
かつては剣術士の凛々しい鎧をまとっていた彼女も、今や、なんとも淫乱な恰好をしている。
聖女が淫婦になったのは、もちろんアンドレーのせいだ。
そんなエリザヴェータのもとに、エミーリアとオリーヴィアがやってきた。
ひざまずき、恭しく報告した。
「大変です。
アンドレーさまが、隣町の牢屋に入れられてしまいました」
二人の女が、ことの成り行きを速やかに伝えた。
「なるほど。
オリーヴィア。そなたは風魔道士であったな。
この国の首都、メイルスローに出張中のキャサリンにエアメールを送れ。
こんな時こそ彼女の出番だ」
「わかりました。
いますぐエアメールを送ります」
オリーヴィアが走って屋外に出た。そして、空に向かってエアメールの言葉を叫んだ。
「おいビッチ! アンドレー様が逮捕されぞ。お前の出番だッ!」




