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第15話 痛い系な父さん

 アンドレーは取り調べを受け、これまでの違反行為のすべてを自供した。




彼がこれまでに犯した違反の累計

  

 無免許スキル発動:108回


 禁止区域スキル発動:108回


 対人スキル発動:53回


 レイヤードスキル発動:13回


 無免許武器装備:157回





 立板に水を流すがごとく罪を暴露するアンドレー。


 取り調べの保安官は、開いた口がふさがらないといった風になっていた。


 保安官の男は、このようなモンスターに、これまで一度も出くわしたことがなかった。


 アンドレーは、そのまま投獄された。


 一方、ポムのところにも保安官がやってきた。


 きっと彼を逮捕しに来たのだろう。


 ポムだって犯罪をやったのだ。


 少女に嘘をついて誘い出し、監禁し、暴力を加えたのだから。


 逮捕されてしかるべき。


 だが、不思議なことがおこった。


 保安官が、ベッドのポムに対して、まるで相手が目上の人であるかのように、深々と頭をさげたのだ。


「ポム坊っちゃま。怪我の具合はいかがでございますか?」


 ポムは、点滴を受けていた。


 アンドレーの顔面攻撃は相当な威力だったらしく、顔は包帯でぐるぐる巻きだ。


「いかがも糞もねぇ!

 奴は俺に向かってスキルを使った。

 しかも、レイヤードスキルだ」


「なんですって!?」


 ソードマジカでは、こんなことは滅多にない。


 ポムが包帯だらけの顔でニヤリと笑った。


「当然奴は、死刑だよな?」


 保安官は、躊躇った。


「いや……いくらなんでも即死刑というわけには……」


「オイ! 俺が誰だか知らないわけじゃないよな?」


「え、ええ……。もちろん存じております。

 この町の町長の御子息であられます」


「じゃあ俺がこの町でどんな力を持った人間かもわかるよな?」


「え、ええ……まぁ……」


「その俺をこんな目に合わせたんだぞ?

 しかもこの怪我は、一生治らないかもしれないんだぞ?

 こんなことが許されると思うか?」


「いいえ、けっして許さることでは……」


「じゃあわかるよな? 

 これはな、死刑になるかならないかの話じゃねぇ。

 死刑にするかしないかの話だ!」


 ポムが何を要求しているのか、それがわからぬ保安官ではなかった。


 ポムが忌々しそうに言った。

 

「あらゆる手段を使って罪をでっち上げろ。

 そして、アンドレーを死刑囚に仕立てあげろ!」


 保安官は、その足で町長の元に向かった。


 そして、ポムの要求の内容を町長に告白した。


「そうか、息子が保安局にそんなことを要求したのか」


 町長は、立派なプレジデトチェアーに腰掛けていた。


 この町の保安局には町長の息が掛かっている。


 そのおかげで、ポムのおイタは大体見過ごされる。


 町長は、不機嫌そうな顔で、短くなったタバコをもみ消した。


「あのバカ息子が、また変な遊びをやらかしたか……」


 町長はこめかみを押さえ、目の疲れを癒した。


「どうされますか?

 御子息の命令通りに動いてもよろしいですか?」


「構わん。

 私もアンドレーとかいう男と一度あったことがあるが、どうもいけ好かん。

 死刑に追いこめ」


「かしこまりました」


 保安官が恭しく敬礼して退室しようとしたら、町長が念を押すような感じでこんなことを言った。


「くれぐれも聴衆にバレんようにな」

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