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二十一 最後の手段


 もう相談する相手が居なくなった白鳥は警察を辞める決心をした。


署長に辞表を提出し、警備会社に再就職した。


その後、白鳥はアパートでガス漏れ事故で死亡した。


ガス警報器が装備してなく、ガスコンロへのゴムホースに穴が開いていて事故と

判定された。


上司の菊池は不審に感じた。ゴムホースは比較的新しく、劣化によるもので無く

故意に穴を開けられていたようだ。


共用階段の踊り場に設置してある電気、ガスのメーターを点検する扉は鍵が掛かって

いない。それにガス栓の開閉もできる。


ガスの栓を閉め白鳥の部屋に侵入しホースに穴を開け、白鳥が帰って来てから、

又は寝てからガス栓を開けたと推測した。


部屋の中に少し物を捜した形跡があった。


署長に捜査するように訴えたが、事故として扱えと拒否された。


 テレビ局の報道部の大谷に大学の同級生の白鳥から封筒が送られていた。

封筒の中の資料は驚愕する内容だった。


今日、午後六時から始まる報道番組はある宗教団体の特集だった。


前回の特集では政治家の票田になり、信者より多額の会費を集めていると放送した。


宗教団体と政治家の癒着や献金などの問題が出て、全国的に宗教団体の批判が

広まっていた。


封筒の内容を確認した大谷は自愛教の教祖、準教祖の殺人から、白鳥の事故死

までを放送する事にした。


この放送は国を揺るがす事になるだろう。放送停止命令も来るだろうが、

命に替えても放送する覚悟だった。


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