二十 事故死
次の日、白鳥は溝口の携帯に連絡した。
呼出し音の後に女性の声が聞こえた。
以外に思って「刑事の白鳥です」と伝えると「溝口の家内です・・・・主人は
昨日の夜に亡くなりました」
急な事で白鳥は酷く驚いた。
「ええー 如何して亡くなったのですか?」
「昨夜、家に帰る途中で横断歩道を渡っていて、車に跳ねられました」
「えー そんな! 加害者は捕まったのですか? 轢いた理由は何ですか?」
「はい、警察の方に拘束されていました。スマホを操作していて主人に気が
付かなかったと話していました」
偶然にしては可笑しい、続けて事件に関わった人が間を開けずに殺されている。
白鳥は交通課の担当者に運転手の名前と住所を聞き、アパートの大家に部屋の
中を見せてもらった。
やはり宗教団体の本尊が祭られた立派な仏壇があった。
あの宗教団体が関与している。
白鳥は相談するために武内の家に向かった。
丁度、武内が庭にいて此方に背を向けて植木を剪定していた。
「武内さん」と声を掛けても振り返る様子が無かった。
何回か声を掛けた時に家から娘さんが出できた。
「すいません。耳が遠くなっているので気が付かないと思います。白鳥さんですね。
お話は良く聞いていました。一カ月程前に転んで頭を打ちました。近所の人が
見つけて救急車を呼んでくれたので軽く済みました。が認知症の症状が現れて耳も
聞こえなくなりました」
武内は娘の声で振り、白鳥を見たが知らない人と認識しているようだった。




