十六 再確認
次に白鳥は聞き込みの再確認に向かった。
最初に同じ建設会社の同僚の信二のいる現場事務所に向かった。
最初の聞き込みの時は正人の事は知らないと話したので、同じ会社で知らないは
可笑しいと問い詰めると、同席していた現場監督が正人君は主任現場監督が
ある人から預かっていて、精神病を患っているので会社の人には会わせないよう
にしていたと話していた事を思い出した。
事務所に着いて白鳥は応接間に案内された。
前には気が付かなかったが、ある宗教団体の本尊が事務所の奥の神棚に
飾ってあった。
信二が来て腰を降ろしたので白鳥は話し始めた。
「残務処理の書類を作成中で、再度確認に来ました。正人君の事は知らないで
良いですね?」
「はい、知りませんでした」
「分りました。それとこの事務所の奥の神棚に宗教団体の本尊がありましたが?
誰か入信されているのですか?」
「ああ、この会社の人は皆入信しています。と言うか会社に入ると入信させられます」
「信二さんも入られているのですか? 勿論社長も?」
「私も入信しています。社長は支部長で熱心です」
次に白鳥は未鈴のレストランを訪ねたが彼女は休日で居なかった。美鈴に連絡して
家を尋ねる事になった。
美鈴はまだ両親と暮していた。
家は屋根の大きい平屋の田舎に良くある建物だった。
丁度、玄関の横の縁側に美鈴が座っていたので、其処で話を聞く事にした。
縁側の奥の和室の神棚に例の宗教団体の本尊があった。
聞いてみると信二より入信させられたらしい。正人の事は以前と同じで知らないと話した。




