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十二 精神科医の暗示


 白鳥は精神科医の溝口の病院を訪ねた。


そして、正人のパソコンからプリントアウトした数枚の写真を見せた。


「先生が話された正人君とミクさんとの事は全て妄想だったとの鑑定は

立証できませんが?」


「私が鑑定した時には、正人さんはミクさんとの恋人関係の話はしていました。

海を見に旅行したこともあると話していましたから、この写真は事実ですね。

でも団体で旅行していた記憶は消えています。恐らくこの集合写真の記憶は

消されたと思います」


「消されたとは?」


「あー すいません、分り難いですね。細かく暗示に掛けられていたかも

知れません」


「誰が暗示をかけたのですか?」


「私の想像ですが、それが出来るのは精神科医か、一定の技術を持った人しか

いません。一番可能性があるのが、正人君の子供の頃から診察している人です」


「その人は?」


「私が武内さんと黒山氏に呼ばれて黒山氏の事務所に行った時会いました。確か?

石田と言う精神科医だったと思います」


「そんなに簡単に掛かる物ですか?」


「掛かります。特に正人君のような精神病患者は簡単に掛かります。それに疑惑を

持つ事もありません・・・・・・もしかしたら・・・・正人くんのミクさんへの

妄想は暗示に掛けられていたかも知れません?」


「何故、そんな暗示を掛けるのですか?」


「私にも分りません。今更ですがその写真を見て全てが妄想でない可能性が出て

来ました。私が間違っていた部分もあります」溝口は申し訳なさそうに話した。


自分で思い込んで殺人を犯したのと、他人に暗示に掛けられて殺人を犯すのとは

責任能力が違って来ると白鳥は考えたが、頭の隅に適当に書類を纏めて終わりに

しようとする気持ちもあった。

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