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第七十二話 僕達はまたしても反省をする

 直ぐにでもこの街を出ようと思ったが、もう夕方近くなってしまったのでもう一晩泊まってから早朝に出発する事にした。


 翌朝になりラウラと城門に向かって行くと、城門の影に隠れているセシリアの姿を見かけた。


「うわぁ、あんなところにいるよ、何か文句でも言ってくるのかな」

「少し違うみたいよ、よく見てごらん」


 セシリアの足元には大量の荷物が置いてあるので、見るからに家出少女と言ったところだろう。


「あっおはよ~」


 僕達の姿を見つけた途端に何故か笑顔で走って来るではないか。


「煙闇」


 セシリアの周りだけ煙幕を張り、戸惑っている間に街を出る為の受付を済ませてしまう。


「ねぇいいの、何か叫んでいる様な声が聞こえるんだけど」

「仕方が無いだろ、嫌な予感しかしないんだよ、もしかしたら仲間にしてくれって言ってくるかもしれないじゃないか、僕はね、もう関わり合いたくないんだ」


 城門の影にいたと言う事はギリギリまで門番に見つかりたくなかったのだろう。どうしても僕から魔法を教えて欲しいのか、それとも他に理由があるのか知らないが僕には関係の無い事だ。


「あら残念、中々かわいい子だったから両手に花になるんじゃないの」

「僕と彼女がもう少し成長していたらねそうかも知れないけど、このままで僕が中心にいたら違和感しか無いだろ……解除」


 仮にラウラが中心にいたら保護者にしか見えないし、それだといくら何でも周りから舐められてしまう。セシリアには少しだけ悪いと思ったので早めに魔法を解除してあげた。


「ふ~ん、まぁ何も出来ないのが2人もいたらレーベンの負担が大きくなるもんね」

「それは違うね、僕はラウラが何も出来ないなんて思っていないよ」


 ラウラには魔法陣のサポートをしてくれればかなり助かるし、僕の側で見ているだけあって簡単な魔法陣なら自分で書けるようになっている。ラウラがもう少し魔力があればもっと上級な魔法陣が書けると思う。


「お前らこんな朝から姉弟で揉めているのか、何処に行くのか知らんが一緒に行ってやろうか、へへっ」


 いつの間にか馬に乗った男達が僕達を囲むように声をかけてくるので、やはりそういう運命なのだろうか。


「いいからほっといてよ、何で絡まれるのかな」

「そんな言い方するなよ、こっちは心配してやってるんだぜ、格安で護衛をしてやるよ」


 護衛の押し売りはいい迷惑だが、この街道には馬にも乗らずに歩いている人がいるのだから頼むからそっちに行って欲しい。


「大丈夫だし、どうしてあなた方に守られなくちゃいけないのか意味が分からないよ」

「坊主、それは本気で言ってるのか、お姉ちゃんはどうなんだよ」

「どうって何よ、どうせあんた達は碌な目的じゃないんでしょ」

「何だと、こっちは親切で行っているのによ、勝手にしろ」


 捨てセリフと共に彼等は進んで行ってしまう。何となくだけど言い過ぎたような気がしてならない。


「君達、確かにあの連中は言葉遣いが悪いが、絡まれる原因はあんた達にあるんだからな」


 馬車に乗っている初老の男が僕達に苦言を言ってくるが、僕にもラウラにも非はないはずなので少しだけ眉間に皺を寄せてしまう。


「私達が弱そうに見えるのが原因何でしょ、だからと言ってどうしようもないじゃない」

「それを分かっているのに何で君達は武器を携帯していないのかな、荷物の中に入っているのかも知れないけど、盗賊にいきなり襲われたらどうするんだい」


 その言葉で僕もラウラも固まってしまった。僕が持っている唯一の武器である剣は家に置いてきたし、小刀は魔法陣の中にしまってある。ラウラの調理道具もその中だ。


 僕は魔法を使うのに杖は必要としないし、ラウラは僕がいるから安心しているのだろう。


「そうか、見た目か……」

「見た目もそうだし、対処出来る力も必要だぞ」


 その男に見せるように掌の上に闇の炎を出すと、馬車の男は感心したように見ているがそれと同時に大きな溜息を吐いた。


「確かにその魔法は凄いのだがな、いいか君達、変な奴らを寄せ付けない事も大事なんだぞ、武器が無いとトラブルが起こってくれと言っている様なものじゃないか」

「そうですよね、二人とも武器を携帯していなかったら狙われますよね」


 僕は急いで馬から降りて魔法陣の中から小刀を取り出して腰に付けるが、馬車の男は首を横に振るばかりだ。


「それでいいかどうかは分かるよな、悪い事は言わんから何とかしなさい」

「分かりました、次の街で買う事にします」


 そういえばエサイアはちゃんと武器を携帯していたし、そもそも存在自体で威圧する事が出来るが僕達にはそれがない。


 馬車の男は次の街までなら一緒に行ってくれるというのでその言葉に甘える事にした。


 反省したばかりなのにもうこれだと思うと、本当に情けなくなってくるな。


 落ち込みながらも次の街に到着したが、そこは街というより村に近いような小さな町だが僕達は贅沢など言っていられない、

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