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第四十話 僕は初日を終えた

 初日を通過した者達が集められ、明日以降の説明を受けているがその中にはルートゥもいたしあの四人組もいた。何故だか知らないがルートゥを中心にしてあの四人組や年齢の近そうな魔術師が集まっているので彼女もあの学校の出身者なのかも知れない。

 

 狩人の姿はあまりいないので、狩人はまともに参加しないで本当の狩りをしてしまったのだろう。


「レーベン、ちょっとだけいいか」

「君は……たしかロンメルだったね、おめでとう」


 僕の名前は憶えられているようだが、僕はどうしても思い出すのに時間がかかってしまう。


「そんな事はどうでもいいんだ。それより君は魔法が使えるようになったから此処にいるんだよな」

「まぁ、そうだね」

「そうか、それでなルートゥ様と話したんだけど、サンベルノ魔法学校の関係者だけで結託したらどうかと思うんだ。そうするとここにいる半数と協力が出来るから安全に明日を乗り切れるぞ」


 その行為に何の意味があるのか分からないし、それ以上に僕を誘うことも良く分からない。


「あのさ、僕はあの学校とは無関係なんだ」

「それは知っているが、明日は魔獣と戦うんだぞ、ちゃんと連携をして立ち向かわないと勝てる相手じゃない」


「魔獣の種類をしっているようだな」

「色々あるんだよ」

「僕はいいや、好きに戦うよ」

「そうか、ならせめて俺達が選ぶ方に来るんだ。それだけで助けられるからな」


 どうして僕を此処まで気にするのか知らないが、それが大人になったと言う事なのだろうか。


「その気持ちがあったなら、昔に助けて欲しかったな」

「あの時の僕達にはそんな余裕は無かったんだ。……それでも悪かった」


 僕はそれには答えずその場から離れると、僕の事を馬鹿にする声も聞こえてきたので何故かその方がホッとした。


 僕はそのままエサイアとの待ち合わせ場所に歩いて行くと、いきなり後ろから背中を叩かれた。


「まさか落ちたのか、仕方ねぇな、今日は俺が奢ってやるよ」

「受かったよ、ただちょっとな」


 何だか色んな思いが湧き上がってきて、こんな思いをするぐらいなら参加したこと自体を後悔し始めている。


「話を聞こうか」

「いや、いいよ」

「そうか、なら早く行こうぜ、お前の友達にも会いに行くんだろ」


 危うく忘れるところだったが、それからラウラとも合流して約束に場所向かって行く。


「なぁ、今日はどんな風に見えたんだ」

「全然見えなかったわよ、それに地味な事しかやっていないしね」


「まぁ明日は楽しくなるだろうな」

「そうだといいけど、もっと盛り上げてくれればいいのにね」


 ここ迄話してもラウラは僕達の結果を聞こうとしないので、初日程度なら通過したと確信したと信じているようだ。


「あのさぁ、俺もレーベンも通過したぞ」

「そりゃそうでしょ」


 ……やっぱり。


 エレナから渡された地図を頼りに予約された食堂に向かって行くが、この辺りは高級そうな感じの街並みが続き、僕なんかが入ってもいい食堂は無いように思えてきた。


「ここは貴族街なのかな」

「多分、違うと思うけど……あっここだ」


 地図に印がしてある食堂は、僕が思っていた雰囲気とは違っているので、こんな格好で来てしまった事を後悔したくなる。


「ここかよ、俺達と釣り合う訳無いだろ」

「そうだね、何だか緊張してきたよ」


 僕達が扉を開けようかそのまま帰ろうかと悩んでいると、入口の扉が静かに開き、中から執事達が僕達を出迎えた。


「レーベン様御一行でいらっしゃいますね、もうバルナバス様はお持ちになっております」


 こんな風に丁寧にされた事はないのでどうしたら良いのか分からないが、執事達に馬を預けてそのまま案内されることになった。


「お前の友達って何者なんだよ、昔からこうだったのか」

「知らないよ、僕達は同じ宿舎の中だったんだからね、ただ彼は僕みたいな孤児では無くて貴族だけどね」

「貴族様かよ~え~何だか面倒だな」


 長い通路の先にある大きな扉が開くと、その部屋の広さに合っていないテーブルが中央にあって、二人はそこの席に座っていた。


 バルナバスが悪い訳では無いが、僕の運命を劇的に変えてしまった張本人との何年かぶりの再会だ。




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