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第一話 僕が闇属性って

 初めて投稿します。

最初は話を貯め込んだのでどんどん投稿していきたいと思います。

「君ねぇ、ここが何処だか分かっているのかい」


 僕の目の前には三人の大人が座っていて、左の老人が僕に話掛けてきたルカス神官で、中央の老婆が僕が暮らしているサンベルノ魔法学校で一番偉いマザー、そして右にいるのがこの大人の中で一番若くて一番神経質なフレット神官だ。


「サンベルノ教会です」


 それ以上の言葉は出ず、ただ目の前に見える漆黒に変わってしまった水晶を見つめている。


「そうだよね、そして君は教会の魔法学校で暮らしているよね……それなのにこれはどういう事なんだい」


 そう言われても僕に分かる訳は無い。九年前に調べた時は綺麗な水色だったはずなのにまさかこんな色になってしまうなんて。


 人魔大戦の時に孤児になっていた僕は何処かの孤児院で暮らしていたが、そこの施設長が僕の魔力に気が付き、この帝国で一番由緒正しく将来が約束されたサンベルノ魔法学校に推薦され、僕は余裕で合格をした。


「僕にも何が何だか」


「ルカス神官、彼は堕落したのですよ、そうでなければこんな色に変わる訳は有りません。それにしても魔族でもない者が闇属性なんて汚らわしい事ですな」


 フレット神官はまるでゴミを見るような目つきで見てくるが、彼やルカス神官からはどのような目で見られても我慢できるが、マザーも同じ目をしているかも知れないと思うと怖くて前を見れなくなった。


「およしなさい。それよりもこの先の事を考えたらどうですか」


 僕の目の前で三人の大人が真剣に話し合っている。五歳の時に初めてここに来た時は魔力の強さに驚かれ、水晶も綺麗な水色に変化したのでそこにいた大人たちは大いに喜び、そして、そこからの数年は幸せだった。


 だが、十歳になって魔法の訓練が本格的に始まると段々と雲行きが変化していく。


 僕は誰もが使えるような基本の魔法すら上手く扱えず、同じ属性であるはずの水属性も同様で、それでもまだ魔法が使えた頃は良かったが、今ではどんな魔法も扱う事が出来なくなった。


 そして、特別にもう一度属性を調べたらこんな結果になってしまった。


「……君っ、君、何をボーッとしているんだね、それだからこんな結果になったんじゃないのか」


「はい、すみません」


「いいかい、君はこの事を理解していない様だね、闇属性は魔族しか持っていないんだよ、それがだね、神聖である教会が運営する魔法学校の生徒から出るなんてあってはならない事なんだぞ」


 そんな事は理解しているし、僕は今までちゃんと真面目に暮らしてきた。その証拠に魔法は上手く扱えなくても魔法陣なら此処の誰よりも正確で綺麗に描く事が出来る。


 本をただ写せばいいと思っている此処の人達には全く評価はされ無いけど。


「レーベン、私は貴方に期待をしていました。あんなに綺麗な水色は始めて見ましたので、成長したらどうなるのか楽しみにしていました……」

 

 マザーはそれ以上言葉が出て来ない様で、ただ悲し気な表情で僕を見ている。


 僕だって白魔術師か聖騎士となって勇者のパーティに入るか神官になるのが夢だった。


「まさかこの色の水晶を見る日が来るとはねぇ、属性検査がもっと簡単に出来るのであればもっと早く調べたんだけどな」


 マザーはルカス神官の言葉を聞きながら何かを考えているようだが、その表情の意味が僕には分からない。


「もういいでしょう、これ以上はどうにも出来ません。世間にバレてしまう前に処分を下しましょう」


 フレット神官は僕を睨みつけながら言って来る。それに呼応する形でルカス神官が立ち上がって僕に指を差して叫んだ。


「君は今すぐに此処を出て行くんだ。それに二度と教会に立ち入る事も許さないし、サンベルノ魔法学校にいた事も決して人に話してはいけない。君が暮らしていた証拠は全て焼却するから何を言っても無駄だけどな」


「それに罪人の証である焼き印も入れましょう」


 フレット神官は余計な事を付け加えたが、焼き印などされたらまともに暮らせなくなってしまう。もう少しで成人だというのに僕の人生は終わりを告げる事になってしまう。


「お待ちなさい。彼は犯罪者ではありませんよ。どうしてそこまでする必要がありましょうか、此処から出て行ってもらうだけでいいでしょう」


「お言葉ですがそんな甘い処置だとこいつはこの王都に住み着いて我々に災いをもたらすかもしれませんよ」


 ルカス神官は何を言っているのだろうか、この僕が魔法学校や教会に対して何をすると思っているのだろう。


「お黙りなさい。何も持たない者に何が出来るのでしょうか、いいですか、レーベンは数日の内にこの王都から出て行きなさい。それ以上この王都に留まるのでしたら貴方を犯罪者として扱います」


 僕が初めて聞くマザーの冷たい声だった。二人の神官もその迫力に何も言えずにいる。


 それから僕は警備兵によって教会からつまみ出され、何も持たないまま当てもなく歩き出した。





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