新たなるファミレストイレあるある
【登場人物紹介】
・局々寧々
花も恥じらう17歳の女子高生。親と市役所を恨んでいる。
・現川三途
花も恥じらう17歳の女子高生。リンスインシャンプーをいまいち信用していない。
-都内某所ファミレス-
局々「あ、ちょっとトイレ行ってくるね」
現川「うん。………あっ」
局々「ん?どうしたの?」
現川「いや、何でもない」
局々「いやいや何でもなくないでしょ。今なんかちょっと間あったし」
現川「いや、ホントに大丈夫だから。ただちょっと…持ってくんだと思って」
局々「持ってく?何を?」
現川「お財布。トイレに持ってくんだと思って」
局々「財布?ああ、トイレ行くから持ってくけど…それが?」
現川「私が盗むから?」
局々「…は?」
現川「テーブルに置いたままでトイレ行ったら、私に盗まれそうだから持っていくの?」
局々「いや何言ってんの。別にそういうわけじゃ…」
現川「じゃあなんでテーブルに置いてた財布わざわざトイレに持っていくの?そのままテーブルに置いといても、他のお客さんは絶対取らないよ。私が目の前にいるんだからさ」
現川「だからもし誰かに盗まれるとしたら、私ってことだよね?私に盗まれる危険があるから、わざわざトイレに財布持っていくんでしょ?」
局々「いやほんとにそういうんじゃなくて、貴重品ってなるべく近くにあった方が安心するっていうか…てか何でそんなこと言い出すの?ちょっと失礼じゃない?雰囲気も悪くなっちゃうし」
現川「失礼なのはそっちでしょ。私のこと泥棒扱いしてさ」
局々「…だって泥棒じゃん」
現川「えっ」
局々「三途ちゃん、そのバッグに付けてるリクガメのキーホルダー、どこで買ったの?」
現川「え…別に普通にネット通販だけど」
局々「それ、世界に1つしかないはずなんだけど。わたしがハンドメイドで作ったから」
現川「…。」
局々「机の中に大事にしまっといたはずなのに、昨日三途ちゃんが家に遊びに来てから無くなってて、早速今日バッグにつけてくるとは」
現川「…。」
局々「なんとか言いなよ」
現川「…でもさ、ハンドメイドのもの盗まれるのってちょっと嬉しくない?それだけ価値を感じてくれてたんだなっていうか。」
局々「なにそれ意味分かんない。…てかそんなにそのキーホルダーが欲しかったの?」
現川「いや別に」
局々「殺すぞ」
局々「…それにこういうの、初めてじゃないじゃん。なんならそのバッグも私のだし」
現川「これはフリマアプリで」
局々「いやハンドメイドだからそれ。私が作った」
現川「…そう。器用だね」
局々「あと今三途ちゃんが食べてるハンバーグも、私が食べるために注文したやつだから。なんで当たり前の顔して食べてんの?」
現川「えっ」
現川「まさか、これもハンドメイド?」
局々「いや多分冷凍だけど」
現川「よかったぁ。私手作り料理とかって絶対無理なタイプだから。そういうとこ意外と潔癖っていうか」
局々「潔癖なのに盗みで手を汚すんだ?」
現川「うまいっ!ドーナツ型の座布団一枚!」
局々「私のこと痔だと思ってる?」
局々「…とにかく、私三途ちゃんのこと基本的にドロボーだと思ってるから。なんなら他のお客さんにも貴重品から目を離さないよう警告したいくらい」
現川「寧々ちゃん」
局々「あ?なによ?」
現川「そこまで思ってるのに、私とこうやってファミレスで一緒にご飯食べてくれるんだね」
局々「…はあっ!?…な、何言ってんの!?バカじゃないの!!あんた学校じゃドロボーで有名だし、友達いなくてかわいそうだから仕方なく一緒にご飯食べてあげてるだけだから!勘違いしないで!」
現川「うんうん、分かってるよ。ありがとね寧々ちゃん。」
局々「何よその腹立つ顔!やめなさいそれ!」
現川「ふふ、可愛いなぁ寧々ちゃんは。ふふふイタイイタイ痛い!!痛いよ寧々ちゃん!ほっぺたつねらないでよ~」
局々「あんたが悪いんでしょ!このドロボー!」
現川「ふふふ、そうさ、私はドロボー。寧々ちゃんの心を盗むドロボーなのさ。」
現川「うまいっ!携帯用ウォシュレット1つ!」
局々「痔の落語家しかいないのか?」
-都内某所ファミレス駐車場-
「先輩、ホントにこの店の中に連続爆破事件の容疑者がいるんですか?」
「ああそうだ。しっかり裏は取れてる」
「…それにしても、犯人が女子高生だったなんてなぁ」
「油断するなよ。犯人はキーホルダー型の小型爆弾を大量に生産しているヤバイヤツらしいからな」
「そのキーホルダー型っていうのも変わってますよね?しかもカメの形だなんて」
「正確にはリクガメらしいがな。…なんでも、かなり手先が器用なヤツなんだそうだ」
To Be Continued… -第2話につづく-