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こちら生徒会 対魔特別班  作者: 龍乃 響
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第48話

 そんな訳で訓練日を跨いで翌日。矢吹先輩達と俺達一年は最下層を訪れた。

 階段を降りて直ぐに魔物の姿が多数見える。奥に居た分が、一掃した範囲に移動して来たようだ。

「おおぉ…、マジでヤバそうなのが一杯居るぜ…」

 亮がふと呟く。以前に遭遇した時は俺が直ぐに逃がしたので、直接的にはその強さを知らない筈だが。どうやら直観的に危険性を感じているようだ。

 それは他の二人、紫雨とエリスも同様だった。その表情が物語っていた。

 俺はエリスに声を掛ける。

「後方の魔物を狙えるかな?こっちに誘き寄せて欲しいんだけど」

「んー、大丈夫。誘導なら魔力銃で良いよね」

 彼女はそう答えると、後方の集団に銃を向ける。そして魔力の弾が直撃すると、周囲の魔物が一斉にこちらを向いた。

 俺はそれを見て、最初の魔法を唱える。

氷結晶結界陣プリズム・ゾーン!」

 俺の後方、一年の三人を氷の壁が囲う。強度は確認済みなので暫くは問題無いだろう。

 なお地属性魔法はそのまま残るらしく、前回生み出した壁や岩がそのまま残っていた。魔物の進行を上手く阻害するので、そのままにしておこう。

 俺は続いて定番の魔法を唱える。

氷結風フリーズ・ウィンド!」

 超低温の風が魔物を包み、その体表を凍らせる。これで動きを大分鈍らせる事が出来る。

 その後は魔物がバラバラに近付いて来るので、先ずは先頭から狙う。中級魔法で弱らせ、後は矢吹先輩達に任せる事にした。

 そして俺は先輩達よりも前に出て、次の魔法を放つ。

水刃螺旋陣カッター・スパイラル!」

 進行ルートを制限された魔物を、一気に魔法に巻き込む。魔物は次々と切り刻まれ、塵となって消えて行く。

 残った魔物に中級魔法を数発放ち、止めを刺す。先輩達も大分慣れたらしく、それぞれ一体ずつに止めを刺していた。

 俺は氷の結界に手を翳し、その展開された魔力を引き戻す。すると氷は細かく砕け散り、結界が消滅した。

「俺と先輩で先を見て来るから、皆は魔石の回収を頼むよ」

 俺は一年の皆にそう告げ、先へと進む。

 先輩達に追い付くと、俺は尋ねた。

「…どうです?」

「前と変わらないねー、通路を曲がった先に一杯うろうろしてるよ」

「基本戦法は…変わらない。鈍らせて、先頭を押さえて、魔法で一掃」

「そうですね。じゃあ行きましょうか」

 俺はそう告げると、一緒に通路の先へ飛び出す。

氷結風フリーズ・ウィンド!」

 先制でその動きを鈍らせる。魔物は色々な種類が居るが、今のところ突飛なタイプは居ない。なので戦法を変えずに済んでいる。

 手近な魔物を先輩達が対処し、俺はその後ろの群れに向けて魔法を放つ。

 前回は心配で最上級魔法を使ったりしていたが、上級魔法で充分一掃可能だ。これで消費魔力は大分節約出来ているだろう。

 そして残りをちまちまと中級魔法で倒す。随分と慣れてきたものだ。

「…戦い方が全然違うのね。凄くリーダー頼りだけど、効率は良いわね」

 後ろから追い付いた紫雨が呟く。だがその表情は感心していると言うよりも、自分がどう立ち回るかを考えているようだった。Sランクになれば、前衛・中衛は魔物一体を相手取る事になる。動きを鈍らせたとは言え、相手は最下層の魔物だ。硬度が落ちる訳では無いから、膂力と回避能力が重要になる。

 そうなると攻撃力の上がらないエリスが不利だが、ボウガンは最下層の魔物にも一応通用する。能力向上は装填速度に寄与するだろう。

 さて、前回は此処で引き揚げたのだが…。

「俺の魔力は未だ余裕があるから、少なくともあと一回は問題無いですけど。先輩達はどうですか?」

「大丈夫だよ。下層と違って未だ全然動いてないから。一撃がヤバいから緊張は大きいけどね」

「…問題無い」

「じゃあ行きましょうか」

 俺はそう告げ、先へと進む。

 進んだ先は丁字路に突き当たった。このまま進むと挟み撃ちになりそうだ。俺は後ろに居るエリスを呼び寄せる。

「また出番だ。右の通路の魔物を誘き寄せてくれ。魔物が向かって来たら、直ぐに退くように」

「りょーかい。じゃあ適当に撃つよ」

 俺は左の通路に居る魔物を狙う。誘導なので独自魔法で良いだろう。

 誘導は上手く行き、両方から魔物が押し寄せて来る。

「通路の途中まで退きます。先輩達は接近した魔物を押さえて下さい」

 俺はそう告げ、後ろに下がり始める。そして少し移動した所で立ち止まり、先ずは一年の皆を結界で囲う。

 そして先輩達が追い付いたのを確認して、魔法を放つ。

氷結風フリーズ・ウィンド!」

 続いて密集している魔物を分断する為、次の魔法を放つ。

防護石壁ストーン・ウォール!」

 これで先頭と後続とが分断される。先頭の魔物はそのまま先輩達が押さえる。

 俺はその横を抜け、後続に向けて魔法を放った。

氷結連槍陣フリーズ・ファランクス!」

 密集した魔物達が氷に次々と貫かれる。音を聞きつけて通路の先からパラパラと魔物が近付いて来るが、距離があるので後は中級魔法で対処可能だろう。

 先輩達も魔物一体ずつを相手に、無傷で対処出来ている。複数を相手にしなければ問題無いようだ。


 そうして少し後には全ての魔物を倒し、今日の最下層攻略を終えた。

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