表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら生徒会 対魔特別班  作者: 龍乃 響
23/58

第23話

 それから中間テストまでの数週間は、正直言って大変だった。勉強開始時の亮の学力は、正直言って最底辺。徹底的に過去問題をやらせ続ける事となった。

 俺だけでなく御堂さんも協力し、判らない所は何度も繰り返し説明を続けたのだった。

 その甲斐もあり、徐々に過去問題の点数は上がって行った。後は同じような問題が出題されるのを祈るばかりだった。

 中間テスト当日。日に日にやつれて行った亮を励まし、俺もテストに挑んだ。

 そして数日後。

「祝!赤点回避!」

 亮は両手を掲げて叫んだ。昨年と同内容のテストは高得点、そうで無いテストでも赤点をギリギリ回避する点数だった。

 俺は亮に教える事が結果的に良い勉強になったのか、しっかり平均以上で終える事が出来た。

 そして御堂さんは。

「…学年三位…マジかよ」

 貼り出された上位成績者一覧の前で、亮が呻いた。

 自信あり気だったのは嘘では無かったようだ。正に文武両道・才色兼備と呼べる結果だった。

 さて、これで亮も普段の授業を多少は真面目に聞く事だろう。そうすれば期末テスト前はもう少し楽になる筈だ。

 その後、俺達は矢吹先輩の弟さんの方にお礼を言い、ついでに以降のテストも貸して貰えるようお願いをしておいた。

 本人は「それ位…問題無い」と目を背けながらも言ってくれたので、頼りにさせて貰おう。

 これで暫くは異界攻略に本腰を入れられる、と思ったタイミングで会長に呼び出された。

 会長は何か紙を見ながら口を開いた。

「先ずは全員赤点回避、おめでとう。まあ危なかったのは龍ヶ崎君だけだったようだが」

「有難う御座います。まあ、かなり苦労しましたが…」

「それでだな、以前に話のあった二人のランクアップだが、問題無しだ。今日から二人はBランクとする。但し中層を二人のみで行かせるかどうかは、君がしっかり見極めてくれ」

「判りました。後で魔法の強化無しで進めさせてみます」

「そうしてくれ。…と、これからが本題だ。明日から君達一年に、メンバーが一人追加となる」

「…え?このタイミングでですか?」

 初日に勧誘された中で、結局部活に入らなかった人でも居たのだろうか。

「まあ事情があってな。明日正式に紹介するから、覚えておいてくれ。二人にも伝えておくように」

「了解です。それでは失礼します」

 俺はそう告げ、準備室に戻った。そして二人には先程の話を全て伝えた。

「ランクアップは有難いが…メンバー追加って、誰だ?」

「俺にも判らないよ。取り敢えず明日の紹介まで待とう」

「途中での加入で、足並みが揃うのかしら?」

「今日の様子を見て問題無ければ、二人で中層攻略をして貰おうと思う。その間に俺が立ち会って育成する感じかな」

「…そう。まあ仕方ないのかしら」

 そんな話をした後、俺達は中層へと赴く。宣言していた通り、魔法による強化はせずに二人に頑張って貰う。

 その結果は上々だった。倒すまでの時間が多少延びてはいるが、余裕を持って回避も出来ていた。これなら問題無いだろう。

 取り敢えず中層で見掛けない魔物が居たら、真っ先に逃げる事を念押ししておいた。下層の魔物は二人には厳しいからだ。


 そうして迎えた翌日の放課後。俺達の前に居た人物は、予想外だった。

「…という訳で、明日から正式にこの学園に転入となる。では自己紹介を頼む」

「はい。私の名はエリス=クラウディア。デーモンを倒す為に、アメリカから来ました。宜しくお願いします」

 そう告げて頭を下げると、金髪のツインテールが揺れた。顔を上げると蒼い目がこちらを向く。見た感じは中学生っぽかった。

 会長は俺に手を向け、言う。

「彼が一年のリーダー、桐原君だ。今後は基本的に彼に従うように」

「…桐原です、宜しく」

 俺はそう言い手を差し出すと、力強く手を握られた。

「…Looks weak」

「え、何?」

「何でもないわ。これから宜しくね」

 彼女はそう告げ、手を離す。

 なお会長によると今日は紹介のみで、明日の転入後に正式に加入となるそうだ。

「ちなみにだが、彼女は向こうで既にBランク程度の実力は確約されている。楽しみにしておいてくれ」

 そして会長とエリスさんは職員室へと向かった。

 俺達は異界の小部屋で訓練をしながら、新メンバーについて話題に挙げた。

「すげー日本語が上手かったな。英語で喋られたら、コミュニケーションが取れない所だったぜ」

「本当にね。でも途中で英語を話していたけど、何て言ってたんだろう?」

 すると御堂さんが口を挟んだ。

「貴方を見て弱そう、って言ってたわ」

「あー、見た目は確かに弱そうだよな。でも魔法使いだと知れば、その見方も変わるんじゃね?」

「そうね、実力は確かだもの。直ぐに見返せるわ」

 初対面でそんな事を言うとは、実は性格が悪かったりするのだろうか。ちょっと心配になる。

 だが彼女も実力はあるようなので、一対一で対応しなくて済むのは良かった。


 明日の事を考えながら、俺は眠りに付いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ