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黄金の林檎

「サクラが処女かどうかはさておき、彼女の意見に僕は同意ですよ。」

咲が落ち着いた声で、仲裁に入る。


「ミーシャさんとサクラの話を擦り合わせると、我が研究室の教授の咲良は、まだ子供の時にそういうことが行われたんですよね?

その時の咲良の年齢から考えても精神的に未発達というのは十分考えられるかと。


皆さんは、男が女から襲われることはないと思ってるのでしょうか?

そもそも咲良の合意はあったんですか?」

物事の真意を見極めるかのように、合意を争点におき質問する。



「おいおい。

ミーシャ、それは本当?」

リアムは、咲の言いたいことを理解したのかミーシャに問いただす。


「私も若かったし、そこまで深く考えてなかった。

みんなしてるからいいものだと…。


別にそれで結婚できなくなるわけでもあるまいし。」



そんなミーシャにサクラと咲が冷たい目線を送る。

「お嫁さんがサクラみたいな性格だったら兎も角。

大丈夫!大丈夫!」

ミーシャは僕の肩を叩き、励まそうと必死だ。


「…て、えー?

なに?そのまさかなの?」


「ミーシャ、君は悪魔だな。」

リルムは、もう目も当てられないと言うようにそれだけを言い黙って頭を抱える。



「さーちゃんは1人じゃダメ!

無防備だから、サクラと咲が一緒に付いてないとダメ!」


「はぁ…。

まったく本当だね。」


「咲…。

だな…。」

リアムもこれには同意なようだ。



それを黙って聞いていたノエルが、突然火がついたように怒涛の勢いで食ってかかる。

「なによー!

いつもいつも私を悪者にして!

咲良とキスしたのがなんだっていうのよ!!


サクラなんて嫌い!

咲も嫌い!!

これから生まれるアーリアも大っ嫌い!!


私は、1人だけパーティーに呼ばれなかった復讐の神エリス!!

みんなの嫌われ者よ!

黄金の不和の林檎を投げ入れてやるんだから!!


みんな壊れちゃえーーーーー!!!!!」

そのままノエルは泣きだし、リアムとミーシャが必死になだめる。



「ノエル、今責められてるのは私のことであなたのことじゃないわ。」


「そうだよ。ノエル。」

リアムもミーシャの声に続く。



「私は、咲良とお付き合いがしたいのよ!

だからキスしたのっ!


咲良が求めるならそれ以上だって。」


「ノエル、もういいよ。」

リアムは、どうするんだ?と、僕に目線を送る。



僕は、なにも答えられず黙ってそれを見ていた。

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