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甘い苺ミルク

サクラが誕生してから僕は学会の発表で忙しくなった。

僕はサクラから嫌われているけど、サクラを研究室の猿達から守る為、いつも同行させている。

名目は《研究の発表兼秘書》だが、実際は《サクラの保護》だ。


本来なら研究対象は無闇に外には出さない。

だが、サクラが人間であることを理由に人権を尊重することを目的としレポートを人権団体や大使館や各大学に送り、サクラの自由が認められた。

サクラの意思で僕の家に泊まることも許された。

それまでは実験室に寝泊まりしてたものだから、やっと自分の家に帰れるといった感じだよ。


サクラは僕の部屋を珍しがった。

情報としては与えていたけど、学会以外大学内から出ることが許されなかったサクラだ。

実際に見るものを珍しがり、なんにでも興味を持ち、テレビの中の子供用教育番組のお姉さんには挨拶まで返している。

まだ着床3年、誕生から0年だから当然か。

ずば抜けて頭が良いだけで、やることは赤ちゃんみたいだ。


僕がサクラのお気に入りのイチゴ牛乳を渡すと器用にストローを差し上手に飲む。

大学構内の自販機で「サクラが飲む時、苦くないやつ。炭酸が辛くないやつ。酸っぱくないやつ。飲みやすいやつ。」って、真剣に選んだらこれだった。

サクラも自動学習で学んだ知識から、イチゴ牛乳を選択した。

同じチョイスに嬉しくなり「頭の良い子!」って、褒めて褒めて褒めまくったら、「サクラが知らないわけないのだ。」って、偉そうにしてたところも可愛かった。

それから毎日サクラはイチゴ牛乳を欲しがる。


サクラは産まれたてで味覚が敏感だから好き嫌いが多く、上手に栄養を摂ることが難しい。

人工羊水に混ぜていた強栄養剤を補助食として与えている。

サクラにとってのミルクだ。


サクラは料理をする僕に興味深々なようで、イチゴ牛乳を飲み干しキッチンへ来た。

ずっと料理する僕の手をを見つめている。

サクラが食べやすいように刺激の少ないものを作ろうとしたらコーンスープとハンバーグってなお子様大喜びのメニューになった。

付け合わせは凄く悩んだがマッシュポテトにしたよ。

ブロッコリーはモサモサして食べにくいし、人参は臭いと野菜なのか果物なのかわからないような甘みが食べにくいから。

後は強栄養剤で乾杯だ。


ちなみに強栄養剤は僕も飲める。

ナノ単位で吸収を良くしたただの栄養剤だからね。

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