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女王

リアムからの返事はその日のうちに届いた。


是非ともサラに会い話を聞いてみたいと言うのだ。

場所は、僕の研究室がいいとのこと。

向学の為に合同での研究がしたいということも記載されていた。


僕は今はNEW人類は創る予定がない旨を書き記しそのメールへの返信を送る。

だが、僕の研究室でのサラとの対面は受けることにした。

ノエルの為に彼女を同席させたいと考えたからだ。

勿論、僕の助手であるサクラや生徒である咲も立ち合わせる。



その日となり、サラ、そしてリアムと続々と僕の研究室に集まる。

リアムはミーシャを同席させるとのことで連れて来ていた。

ミーシャが僕と同じこの大学の学部を卒業したというのが理由だった。



リアムはサラにどんな子が欲しいのか希望を聞く。

サラは自分の肌の色と縮れた髪にコンプレックスを抱えており、出来ることなら肌の色は白人のように白い色か褐色、またはアジア系の色を望んでいた。

髪はチリチリでなければいいらしい。

ストレートかふわふわのウェーブヘアと言うことだった。


同じ白色の肌でも、白人の白い肌とアジア人の白い肌は違う。

アイシェの肌とサクラの肌が違うように、それぞれ人種の特徴を残した白色の肌となっているのだ。

強引に黒人の肌の色をいじってしまえば、漂白したような不自然な白となり紫外線に弱くなる可能性がある。

自然に仕上げたいなら褐色にするのがいいだろうというのがリアムの提案だった。

サラはその提案を喜び受け入れる。



そして肉体年齢が何歳頃になった時、子供を促成保育器から出すかも話し合われた。

サラは赤ちゃんが欲しいからすぐにということだったが、リアムと僕は最低10ヶ月、肉体年齢6歳頃までは促成保育器で育てることを勧めた。

人が子宮で育つのが10ヶ月だからだ。

音や光や振動等の刺激を与え人の都合で早く育てるのが促成保育器。

いくら早く育つとは言え、10ヶ月より早く出してしまうのは多くの問題が想定された。


また、現在NEW人類の戸籍は誕生した日が16歳と制定される為、戸籍を取ることを考えると3年、肉体年齢16歳まで促成保育器で育てることがいいと伝えた。

6歳で促成保育器から出されたNEW人類は前例がない為、制度を変えるのに時間が掛かる。

6歳頃で出すか、16歳まで待つかが課題となった。



そこから多くの話し合いが行われた結果、結局サクラや咲やアイシェと同じように促成保育器で3年、肉体年齢16歳まで育てるということで決定した。



早速研究チームが結成され、リアムが主導権を握り僕預りのノエルと共にこの研究室で行われる。

助手は、ミーシャ。

そしてサクラと咲も自分達の勉強や研究のかたわら、手伝いをする。

僕は彼らの研究を見守る形を取ることになった。



ノエルは、この試みに目を輝かせる。

サクラはこの研究室にミーシャが自由に出入りできるようになったことに明らかに動揺し、浮かない顔で咲の白衣をギュッと握りしめている。


無理もない。

なにもなければ今頃、サクラは僕と結婚していただろう。

サクラの傷ついた心は彼女を退行させ子供のような性格へと変え、初めて会った日からそのままだ。



咲は皆が居るのも構わずサクラに何度もキスをする。

《君の運命の相手は僕だよ》と言うかのように。

サクラも傷を癒すかのように咲にキスをする。



ーサクラ、君はどうしたら癒えるの?ー


僕は、君の心を癒したくて、でもなにもできなくて、もどかしい気持ちでただそれを見ていることしかできなかった。

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