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創世の物語

遠い昔の創世記。

神はアダムとリリスを創った。

何を思ったのかリリスはアダムのもとから去り、可哀想に思った神はアダムのあばら骨からイブを創った。


木の実を食べ、楽園で幸せに暮らしていたアダムとイブだったが蛇に騙され、神から絶対に食べてはいけないと言われていた知恵の木の実を食べてしまう。

アダムとイブが命の木の実までもを食べないよう、神はアダムとイブを失楽させた。

失楽させられた女性には出産の痛みが与えられ、男性は額に汗して働かないといけなくなった。



リリスは、男女同権の象徴。

アダムは、知恵の象徴。

そう言われている。




僕は、知恵の木の実をサクラと咲に食べさせ創ったようなものだ。

その上、僕の能力なら命の木の実だって与えられるだろう。

そりゃ永遠とまでは難しいけど、何かあれば僕は2人を救ってあげられる。

それだけの能力を得たいとずっと仕事と勉強を続けているんだ。

僕は医学部ではないから医師免許は無いけれど医学の知識には精通している。


そして、NEW人類に手を加えることは現在、神である僕には許されている。

誰も気づいてないだろうが、こっそりとそうなるように法やコンプライアンスを整備してきたからね。

もし万が一、サクラや咲に何かあった時、僕が手出しできない状況では困るだろ?



大切な存在に僕が与えられる幸福をすべて与えたっていいじゃないか。

全身全霊で守っていってもいいじゃないか。


それは過干渉とも過保護とも違う。

愛なのだから。




僕はサクラが誕生してからずっとNEW人類に人並みの権利を得ようと戦ってるし、咲だって働かなくても僕が養っていける。

ふたりの為のすべての責任を創世主の僕が負えばいいんだ。



他人(ひと)が幸せのことをぬるま湯と(あざけ)ようが、サクラと咲には『温かい温泉やぬるま湯で遊んでいていいよ』と望む。

熱湯を掛けられたり氷水を掛けられたりする必要性を僕は感じないからだ。


人は辛い思いをしないと成長しないという意見は嫌いだ。

そこが幸せでも辛くても、人はそれぞれ自分のつかみたい未来の為に努力するものだから。

そしてそれが人の成長だと思うから。

同じように成長があるものなら、その場所は楽園の方がいい。

押さえつけたり、踏みつけたりする必要はないんだ。




サクラや咲は、ノエルの人形と言う言葉を聞いて何を思ったのだろう。

あれからずっと黙っているサクラや咲になんと声を掛けたらいい?

ーまた家族に戻ろうよ。ー

そう思いながらもサクラを想う心が邪魔をする。



その言葉は咲からだった。

「さーちゃん、僕は翻訳の仕事を増やそうと思ってる。」

咲は大学の勉強を続けながら合間に翻訳の仕事をしていた。

咲の書く美しい文体はファンが多く、現在5ヶ国語もの依頼がある。


「あ…、うん。

でも君は今、学生だから程々にね。

必要なお金は言ってくれたら僕が出すよ。」

咲がサクラを養う為に自ら努力していることを誇らしく思いながらも、僕は手助けしようと手を伸ばす。



「ありがとう。

でも、頑張ってみるよ。」

咲はしっかりと先を見据え、サクラとの未来を考えているようだった。



どんな場所でも人は育つ。

みんな自分の描く未来の実現の為に前へ進んでいる。

咲がこれから咲かせる大輪の花を想像し、僕は満足感でいっぱいだった。

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