天使【10/9 20:50頃、終盤大幅な変更あり】
静まり返った研究室。
独りで研究に没頭する。
こんな風にひとつのことに集中するのは何年ぶりだろう?
僕は母親が赤子に注意を向けるように常にサクラや咲を気にしながら仕事をしていた。
-母さん。
母さんもこんな風だったの?
僕は、愛されていた?-
母が傍で勉強していた遠い昔、母はなにを思っていたんだろう?
僕を膝に抱き絵本を読み聞かせしながらも、母はメモ帳を片手に持ち公式や用語を覚えていた。
公園で僕の相手をしながらもそれを続けていたし、料理の最中だって手離さない。
今思えば、それは凄いことだ。
父を追い愛を貫く為だけに母は父の母校に受かり、首席で卒業したのだ。
本当の親から虐待を受け孤立していた母の世界には父しか居なかったのだろう。
父だけが母の存在意義かのようだった。
そんなことを考えていた昼下がりだった。
「さーくーらきょーじゅ!
居ますかぁ?」
研究室のロックが外され、僕を呼ぶ子供のような声が聞こえてきた。
-やっと来たな!-
僕はその子を出迎える。
「わ!
イッケメーン!
テレビや雑誌では見たことあったけど、やっぱ本物はもっとかっこいい。」
これには流石に照れる。
目の前に現れた金髪の美少女の開口一番の言葉がこれだったのだ。
彼女は14歳でドイツの大学を卒業し、大学院へ進んだ天才少女。
前々から僕の研究室へ来たいと望んでいたらしく、今日念願の夢が叶ったのだ。
「よく来たね。
迷わなかった?」
「当然!
行き方くらいスマホで検索したらなんでも書いてるじゃん。」
「確かにね。」
紅茶を淹れ、僕達はたわいのない雑談をする。
彼女はノエル。
日本とドイツのハーフだ。
光を集めたようなきらめく金髪が、陽射しのように眩しい。
笑う顔は可憐で可愛らしく、たまに拗ねたような表情で口を尖らせて話すのも可愛い。
感情豊かな彼女の表情はくるくると変わり、話は明朗快活だ。
素直で子供っぽいところや仕草が少しサクラを思わせ
、気づけば彼女は気になる存在へとなっていた。
彼女に学内を案内する。
浮かなかった僕の気分は晴れ、いつしか笑顔を取り戻していた。
彼女は僕に色々と質問する。
「紗倉教授のこと、咲良って読んでいい?」
「いいよ。」
「咲良、彼女はいる?」
「居ないよ。」
「いつから?」
彼女は身を乗り出し、食いついてくる。
「うーん…、葉桜の頃から。」
「つい最近じゃん。
それじゃあ、私が咲良の彼女になってあげる。」
目をキラキラと輝かせた少女は僕の首に手を回し、高いヒールの靴から更に背伸びをして僕の頰にキスをした。
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10/9 20:50頃【お詫び】
大幅な改稿申し訳ありません。
ノエル登場部分は、前から考えていた原稿なのでアイシェの存在を完全に無視していました。
書き直しました。
よくスマホのメモ帳に何かを打ち込んでは、どちらの内容で物語を進めようかと慎重に選んでいます。
アイシェの部分は御感想を頂いて一日で書き上げたものなのでそれより前に書いたノエル登場部分との矛盾が起きてしまいました。
【改稿前】
彼女に学内を案内する。
浮かなかった僕の気分は晴れ、いつしか笑顔を取り戻していた。
彼女は僕に色々と質問する。
「紗倉教授のこと、咲良って読んでいい?」
「いいよ。」
「咲良、彼女はいる?」
「居ないよ。」
「一度も?」
僕は迷った。
過去の行為の相手のことをなんと伝えたらいいか。
迷った挙句、誤解を招かないようにこう話す。
「一度も…。
だけど、別にDTじゃないから。」
「やっぱ…、イケメンだから、女は使い捨て?」
彼女は身を乗り出し、食いついてくる。
これはこれで誤解を招くのか…。
僕は何かを悟った。
「そういうんじゃなくて。
彼女は大切にしたいと思ってるよ。
僕がモテないから遊ばれただけ…。」
14歳の少女に話す内容ではないけど、これで誤解は解けるだろう。
「なんで?
イケメンなのに。」
彼女はきょとんとした顔で僕を見る。
「モテないものはモテないんだよ。」
「じゃあ、私が咲良の彼女になってあげる。」
目をキラキラと輝かせた少女は僕の首に手を回し、高いヒールの靴から更に背伸びをして僕の頰にキスをした。
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【御礼】
御愛読ありがとうございます。
「第50部分 春の桜」までで、咲良の設定を一旦すべて書き上げ放出しております。
ご感想、レビュー、活動報告のコメント欄等でコメントを頂ければ、皆様のお声を今後のお話に反映させていただきます。
キャラクターの大幅な性格改変、設定の改変はありませんので、それまでに段階を踏む場合もございます。
下手くそな文章ですがお付き合い頂ければ幸いです。
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