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永遠片思い

僕とアイシェは、ギクシャクとした関係を続けながらも付き合いを続けていた。

学習プログラムの成果が実り明日、アイシェはもとの研究機関へ戻る。



出発の日、アイシェはこう言った。

「私、紗倉教授が好きですよ。

好きだから、紗倉教授を解放します。

サクラさんのもとへ行ってください。

また3人の関係へ戻ればいい。

そこが紗倉教授の居場所なんだから。」


清らかに澄んだ海のような裏表のない言葉に僕は、

「ありがとう。

気をつけて。」

とだけ答える。



サクラと咲は、みんなからの寄せ書きをアイシェに渡す。

「愛ちゃん、これみんなからなのだ。」


「ベン達が書いてくれたんですよ。」


「ありがとう。」

アイシェは、その寄せ書きを胸に抱き幸せそうな顔で握りしめる。



アイシェはサクラの手を取り、柔らかな表情で語りかける。

「サクラさん、私はあなたのことを好きになれなかったこともありました。

でも、今は子供みたいに見守っていこうって思えるんです。」


「え?」


「私も紗倉教授に似てきちゃったかな?

アナタは、大人で子供!


その両方がアナタの中にある。」

その姿は、子供に言い聞かせる母親のようだ。

聖母のような慈愛の眼差しは、サクラにとって何かを見透かされててるようで居心地が悪かったのだろう。

サクラは、目を逸らす。



「いつまでも駄々っ子のままじゃいけませんよ。

私は、そんなサクラさんを許していたけど自分の気持ち正直に伝えたらどうですか?」


「ほ…、本当の気持ちはいつも言っておるぞ。」

サクラは、なにか焦っているようだ。


「どうか本当のサクラさんの言葉で伝えてください。

アナタ、ずっと心を守ってる。

本当の自分を出していない。

その話し方、作ってはないけど心守る為ですよね。」

逃げようとするサクラにアイシェは抱きつく。

そして、サクラの真似をしてぴょんぴょんと飛び跳ねて逃がさない。



「サクラ、友達になろう。」

アイシェはサクラの頰にキスをした。


僕が幼い頃、母親にされたような愛のキスを。




サクラは動揺する。


「サクラは…、本当は愛ちゃんが嫌い!

友達にならない!!」


「知ってますよ。

サクラさん子供だから、私と紗倉教授が一緒にいるといつも心配そうな顔でそわそわしながら見てましたよね。


私、紗倉教授とお付き合いしたけど何もないです。

迫ったけど、サクラさんがいるせいで拒否されました。」


「え?

そ…、そのようなことがあったのか?」

サクラは泣きそうだ。

そのことが知りたくてしょうがないといった様子でアイシェに詳しい話をねだる。



「だから私が脱いだのに、紗倉教授は拒否したんです。

こんないい女を拒絶するだなんて、頭どうかしてますよね?

勿論、紗倉教授は脱いでないですよ。」


「さーちゃん?

愛ちゃんの裸を見たのか?」

サクラが慌てる。


「サクラさんは、お子ちゃまですね。

何も無いですから安心してください。

って、言っても…、これもアウト?」

アイシェはだんだんと素を見せてくるサクラを煽る。

徹底的に責めてるなぁ。



「あっ!

桜の木の下で額にキスはされましたからね。」

アイシェは全てを暴露し終わり、リアムの迎えの手を取り出て行った。




咲は離れたところからその様子見ている。

ずっと物静かに何かを考えているようだった。



その夜、僕が毛布にくるまっていると、

甘ったるくて蕩けるような甘美な声が聞こえてきた。

それはいつもより激しくお互いを求め合っているようだった。

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