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母の偉大さ

あれから僕は、リアムと合同でアイシェの知能を上げる為の研究をすることとなった。


アイシェのIQは、100程度。

大学へ進学し、卒業するには申し分ないIQだ。

だが、アイシェの研究機関はサクラや咲に比べアイシェの知能が低いとご立腹だ。


リアムや両親がアイシェはプロトタイプ(試作段階)でゆっくり育てるタイプだと説明しても、上層部は聞く耳を持たず新しくNEW人類を作れと命令し、アイシェはお払い箱になる寸前なんだそう。

要らない物のように扱われるアイシェが他人とは思えなくなり、僕はリアムの提案を受け入れたのだ。



アイシェは一時的に僕の研究室で預かり、リアムが僕の研究室へ自由に出入りできるようにした。



-あーあ…、自分から厄介ごと引き受けちゃったな。-

IQは、遺伝でほぼ決まってくるもので上がることはないという研究結果が既に出ている。

IQはいわば前提条件で、その前提条件を使いどれだけ学習でテストの点が上げれるかという後天的な条件と環境が加わってくる。

僕にできるのは後天的な条件を良くし、良好な環境を与えることだけだ。


対して、サクラや咲はチートだ。

前提条件が神なのだ。

もともとゆっくり型のプロトタイプと比べるものではない。



-知能指数は上げることできないけど、リアムとの約束は知能ということだったもんなぁ。-

知能を幅広く捉え、偏差値を上げるということに考えをシフトする。


僕はサクラや咲より簡単な教育プログラムをアイシェに受けさせた。

-これって、ただ塾の先生をしているだけのような…。-



母を思い出す。

父が言うには母は頭がいい。

なのに家庭環境が悪く、高校さえろくに出ていなかった母。

僕を育てながらの勉強だって、勉強だけに集中できる学生とは違い環境が良いものだったとは言い難いだろう。



-母とは、逆パターンか…。-


僕は頭を抱えた。




必死に勉強を教えた甲斐あり、数カ月後にはアイシェの偏差値は格段に上がっていた。

難関大学は無理だが、その辺の大学なら何処へでも行けるだけの偏差値へと育ったのだ。



ここへ来るまでに上層部に相当なことを言われたのかアイシェは自信を無くしていて、自分を馬鹿だと言っていた。

自信を付けさせることから始めないといけなかった。

だけど、今はここまでに成長している。


人口羊水の中で3年しか育ってないアイシェによくもまあ酷い言葉を掛けれたものだ。

人が子宮内で育つのが1年だと考えたら、アイシェはまだ2歳。

肉体は16歳でも、育った期間はたった3年なのだ。



リアム達は人口羊水の中で教育プログラムを施したと言っていたが、アイシェが受けた教育プログラムはサクラや咲に合わせ、とても高度な内容にしてある。

ーいくらなんでも無理だろ…。

サクラや咲はチートなんだからさ。ー



母だけは僕が小さい頃に見ていた教育DVDを参考に教育プログラムを作りそれをアイシェに受けさせていたらしいが、それは何度も取り上げられ、難しい方の教育プログラムを受けろと命じられたのだそうだ。



父が母のことを頭がいいと言っていた理由が分かったような気がする。

「根本的にアイツら馬鹿だ。」

僕はアイシェに同情し、ため息をついた。

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