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エゴ?

昼下がりのことだった。

僕とサクラと咲のメールアドレスへ、アイシェからメールが届いた。


内容は、アイシェの遺伝子構造の元となった人物と共に僕達に会いに来るというものだった。

初めて研究機関の特別室から出ることができるとのことでアイシェの歓喜の気持ちと外の世界に憧れる旨が書き記されてあり、僕達はワクワクしながらメールを読んでいた。



「アイシェさん、良かったね。」


「うん、本当に。」


「愛ちゃん、本当によかったのだ。」

アイシェはどんなにこの日を待ちわびていただろう。

ずっと閉ざされた研究機関に居たアイシェのことを思うと、一緒に喜ばずには居られない。



メールを受けて数時間後、アイシェ達が到着した。

アイシェとその人物を研究室へ招く。


その人物の名前は、リアムと言った。

お互いに名刺の交換を終え、雑談に花を咲かせる。

リアムも僕と同じく飛び級をしており、現在27歳だ。


リアムは彫刻のような彫りの深い目鼻立ちをしており、リアムから声を掛けられたならば女性なら飛びついて喜ぶだろう。



-このリア充め!-

僕は、陽キャと陰キャの格差のようなものを感じていた。

リアムの話は、どれもこれも面白い。

下ネタだってなんだって言ってのけるのにそれは下品さを感じないし、なにしろ数時間話をしているというのに話のネタが尽きない。

リアムが話す実験の話は簡潔でわかりやすくて興味がどんどん湧いてくるし、嫌味なくすんなり頭に入ってくる。

相手の知能に合わせて言葉を選び、何処まで深い所まで掘り下げて話すか吟味する能力はピカイチだ。



時計が18時を回り僕達は、近くのアジアンレストランへと移動した。

ここは安くて美味い。

そしてお酒もノンアルコールも充実している。


アジアンレストランに到着すると、連絡を入れておいたベンや仲間達が先に到着し、僕達を出迎えてくれた。

それぞれ自己紹介をする。


リアムは仲間の名前を即座に覚え、すぐに皆と打ち解ける。

遅れて、社会人をしている仲間が仕事を終え続々とそこに加わる。

リアムもアイシェも気づけば人気者だ。

サクラと咲も面倒見のいいリアムに懐いている。



僕は、皆の関係性を観察していたが、不意に気になることがあり、リアムに聞いた。

「アイシェは何用に創ったの?」


「え?何用?

何用も何もないけど、強いて言うなら研究用かな?」

リアムは当たり前のように言う。



「なんの目的の研究?」


「科学を進歩させる為。」



「君の研究機関は、何故IQに拘るの?」


「そりゃ、科学の進歩の為にはIQは高いに越したことないだろ?」



「その未来に何があるの?」


「未来?」

リアムは、ムッとしながら、

「君の考える未来は?」

と逆に質問を返してきた。


「僕は、NEW人類が普通の人と同じように過ごせる幸せな未来…、かな?」


「じゃあ、別にわざわざNEW人類でなくても人で良かったんじゃないの?

君だってテクノロジーの進化の為にサクラと咲を創ったんじゃないのかい?」


「僕は…。」

言葉に詰まる。

ただ単に嫁が欲しかったとは言えず、自分の欲望からサクラを創ったことが急に恥ずかしくなりそのまま黙りこくってしまった。

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