最悪な未来
僕の私室へミーシャとサクラを通し、今日会いにきた意図を聞く。
ミーシャの話はこうだった。
ミーシャの勤める研究機関で極秘にNEW人類の研究が行われており、NEW人類・アイシェが誕生したと言うのだ。
アイシェは僕の論文や学会での発表を基にしてあり、白人の遺伝子配列で創られているとのこと。
今日までミーシャへもそれは伝えられておらず、一部の上層幹部しか知らなかったそうだ。
僕の論文は誰でも理解できるように書いているが、肝要なところは暗号のように複雑にしてある。
そして、一番重要なところは書かれていない。
誰もがNEW人類を創れるようになってしまっては困るからだ。
NEW人類が複製されてしまえば性的な目的での人身売買ほか、臓器提供の為の人身売買が行われてしまう可能性がある。
それからIQや筋肉量の数値を無闇矢鱈と上げた兵器目的のNEW人類の増産が予想される。
-NEW人類が虐殺される。
戦争になる。
そして、それはいつしかNEW人類と人類との争いに-
法やコンプライアンスが整備されてきたと言っても、まだまだそれは初歩的なものばかりで、NEW人類が人として生きていく為には色々と不足している。
僕はミーシャの話を聞きながら、各所に前々から用意しておいた法やコンプライアンスについての文書をメールした。
-もう時間がない。急げ!-
ミーシャを含めた仲間とは、ベンのホームパーティでNEW人類のことを話した。
NEW人類の利用目的。それから人権。それから懸念される未来構想。
みんなはうなづきながら、僕の話に耳を傾けた。
僕に反感を抱くものもいたけど、最終的には僕の話に共感してくれNEW人類が人として生きれるように協力してくれると言われた。
僕にとってそれはとても力強かった。
ひとりで出来ることは限られている。
どんなに正論を言っても高度な研究を世に出しても、人数には勝てないこともある。
そのこともあり、ミーシャは本来ならまだ外部に伝えていない情報を上層部に確認を取り僕に教えにきてくれたのだ。
サクラや咲の情報を提供するいうのが上層部が出した条件らしかった。
僕がサクラと咲の情報をこれ以上外部に漏らすことはない。
ミーシャはそれが分かっていた。
結局、僕とサクラと咲をアイシェと面談させるということで落ち着いたらしい。
僕は、急ぎ日程を調整する。
一週間後にサクラと咲を連れ御社へ伺うよと言い、ミーシャを帰らせた。
-さて、どうするかな?-
僕の胸は不安で一杯だった。




