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理解者

その日は、雨が降っていた。

昨晩から続く大雨と雷に僕の気分は憂鬱。

そんな僕の気分を変えようと咲が紅茶を淹れてくれる。

紅茶の湯気と香りに包まれ、僕の滅入った気分は少し緩和された。



「雷、ぴっかーん。ピカピカぴかりん。

ザァザァ雨はお空と地上を繋ぐ糸。

もくもく雲のゆりかごの中。

お日様今日はお昼寝中。」

サクラが即興の歌を歌う。


「サクラ、その歌は一体なんだい?」

吹き出しそうになりながら、サクラに目線をやる。



「雨の日の歌。

今日はお日様がお空でお昼寝してるから。」


「センスは感じられないけど、興味深い歌だね。」



「お日様の代わりに、みんなに光を届けようと雷さんが頑張ってるのだ。

でもみんなは雷さんを嫌う。

こんなにも綺麗なのに。」


「確かにそう言われてみれば、雷は綺麗なものに思えるね。」

サクラ独自の感性に僕は色々と考えさせられる。



そんな時だった。

僕の研究室にミーシャが突然やってきた。

サクラが誕生する直前まで、僕と関係を持っていたお姉さんだ。

ベンのホームパーティで会ってから、ミーシャから度々メールが来るようになっていた。

アドレスは、僕とサクラと咲、連名の宛先だ。


咲とお付き合いしているといっても、サクラは元々僕が嫁として創りだしたのだ。

僕からサクラを裏切っておいて、ミーシャと個人的なメールをするのは不誠実だろ?



「紗倉教授、今話せるかしら?」

ミーシャは疲れたような表情で僕に語りかける。


「どうしたのかな?」


「ちょっと、うちの会社のことで緊急で2人きりで話がしたくて。」

ミーシャは卒業後、ある研究機関で働いていた。

国家から独立し、独自の研究をしているところだ。

実績もあり、独立後はとても大きな企業へと成長していた。



僕はサクラを横目で見る。

「サクラは僕の生徒だけど、優秀な助手だ。

サクラだけでも立ち会わせていいかな?」


ミーシャは困ったような表情をし、それからちょっと考えサクラが立ち会うことを承諾した。


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