温泉
旅館でチェックインを済ませ、咲と温泉へ向かう。
ーそういえば咲と風呂に入ったことなかったな。ー
サクラは2対1に別れることに愚痴っていたけど、こればかりは仕方ない。
いや、部屋に露天風呂もあるんだけど流石に無理だろ。
入りたいか入りたくないかと言われたら、そりゃサクラと入りたい。
でも、できないんだ。
許してくれ。サクラ。
脱衣所でするっと服を脱き、横目で咲を見ると引き締まった逞しい腕。
反則的に綺麗すぎるうなじと胸板。
それから細く華奢だけど筋肉がしっかりと付いた腰に、長い足。
女の願望と理想がそこには詰まっていた。
あまりの色気に男の僕でもゴクリと唾を飲む。
「どうかしましたか?創世主様。」
咲に気づかれ、わたわたと焦る。
「あの…、僕が創り出した君が思い描いていた以上に綺麗だったから。」
ちょっと悩んだけど、理由を話す。
「恥ずかしいですよ。」
咲ははにかみ、こちらを見る。
ー可愛い。そして色っぽい。ー
もう、声にならない。
「それにサクラさんの方が綺麗です。女の子ですから。創世主様もそう思ってらっしゃるでしょ?」
ーサクラは勿論綺麗だ。そして可愛い。
だけど咲と居ると自分が女が好きなんだか男が好きなんだかわからなくなる。ー
咲のフェロモンにクラクラと酔いそうになりながら、
身体を流し一緒に湯に浸かる。
「温泉っていいですね。
なんだか心が安らぎます。
気持ちいい。」
くつろぎ無防備な咲が可愛くて、だんだんと鼓動が早くなる。
ーこのわけもわからないトキメキはなんだ!
相手は男だぞ。ー
どうしても目線が咲にいってしまう。
気持ちを抑えようと一度出て水を浴びるが、咲が近くにいては無駄な徒労だ。
「咲…。僕は自分がわからない。」
かすれた声で訴えかけるように気持ちをぶつけた。
咲は何ごとかと首を傾げ考えているようだったが、ゆっくりと背に回り背中を流してくれた。
「創世主様、せっかくの休暇ですから何も考えずくつろぎましょう。」
そして静かな声で僕を落ち着けようとしてくれた。




