カレーライス
「サクラ、咲。
今日は学食で食べるよ。」
僕が声を掛けると、
「はーい。
ちょっとだけ待ってね。」
サクラ達が返事をする。
仲睦まじい2人は、アニメの中の高スペックイケメンとヒロインのようだ。
絵になるなぁなんて見とれていると、
「神様、今日はお疲れのようなのだ。」
と僕を気遣う声がした。
サクラだ。
こっちはお前のことで悩んでるんだよ。このぉ!
と言いたいがそれを黙って飲み込む。
「午後は休みませんか?」
咲の心配りが嬉しい。
学食へ行くと、ベンから声を掛けられた。
友達と食事をしていたようだ。
「一緒に食べないか?
金はないが学食くらいなら奢れるよ。」
僕を虐めていた頃が嘘かのように気さくに声をかけてくる。
ベン達は荷物を床に置き僕達の席を確保する。
ベンに誘導されるがまま椅子に腰掛けた。
「なにがいいかい?
人数は足りてるから買ってくるよ。」
初めてのことに戸惑いながら、僕はカレーをお願いした。
身体がとても疲れていたので食べやすそうなものを選んだ。
サクラと咲もそれぞれ好きなものを頼んでいる。
ーあっ、そうだ!イチゴ牛乳…ー
僕は脱力しながらもイチゴ牛乳を買いに行く。
サクラを喜ばせたい。
咲を喜ばせたい。
それだけの気持ちで。
自販機に行くと、咲の誕生会をしてくれたメンバーが屯っていた。
「元気ないねぇ。どうしたの?」
「いや、ちょっとね。
恋愛の悩みかな?」
バツが悪そうに答える。
「紗倉教授、まさかサクラちゃんが好きになったの?」
図星を突かれ、どう返していいか考えていると、
「ばっか。そんなわけないだろ。サクラちゃんには咲君がいるんだから。」
と茶化された。
ああ、もう…、なんでもいいや!
そう思い、演技臭い口調で
「サクラ。サクラが好きだぁー!」
と、 言ってみる。
自分達から話題を振っておきながらえ?まさか?の反応。
いや、その反応はないだろ?と思いながらも、
「冗談だよ。」
と笑いながらイチゴ牛乳を買いその場をあとにした。




