セルフカウンセリング
「無理と言うのはそういう意味では…。」
サクラが慌てる。
「なら、サクラは僕を受け入れることができるのかい?
汚れの僕を。」
僕は、ずっと聞きたかったことをサクラにぶつける。
「汚れ…、って。
お前は自ら望んでそれをしていたのだろう?
それでビッチ達の庇護下に置かれるというおまえにとってのメリットがあったからなのだろ?
汚れと思っておるのならお前はサクラに手を出さなければよかっただけのこと。
何故手を出した?」
サクラの問いかけは的確だ。
僕は反論すら見つからない。
そんなこと言われても止められなかったんだから仕方ないだろ。
あの時、サクラに理性を奪われて歯止めが効かなくなった。
こんなこと初めてなんだよ。
ー僕は何がしたかったんだ?ー
ーサクラを幸せにすると誓ったじゃないか。ー
ー僕と結ばれるとサクラは不幸になる。ー
ーだけど僕はサクラに愛されたい。ー
ーサクラ、どうか僕を愛して。ー
そこで原稿を描く手が止まった。
研究室を見渡すと、サクラが咲とレポートを仕上げている。
僕は僕の深層心理に気づきどうしたもんかなぁと、自分で自分に呆れた。
ーああ、サクラ。
僕は君を手に入れて不幸にしてしまってもいいかい?ー
ー今の僕達の関係なら君を手に入れることはできるんだ。ー
この気持ちは最初から…、君と会う前から変わらない。
お姉さん達に襲われてる最中、いつも清浄な処女に会いたいとそればかり考えていた。
そしてサクラを誕生させた。
いくら押し殺しても、気持ちを切り替えようとしても、咲を誕生させてもサクラを好きになっていく気持ちはどんどん大きくなるばかりなんだ。
ー一体、どうしたらいい?
ねぇサクラ。ー
今まで僕にはわからないことはなかった。
だけど、これは世界一の難題だ。
僕はいつもの瞑想にふける。
咲、悠長になにしてるんだよ。
早くサクラを僕の目の前から掻っ攫って行ってくれよ。
僕が太刀打ちできないくらいの強い絆で結ばれて、サクラを幸せにしてくれ。
僕は玩具を欲しがる子供じゃない。
愛する相手を人として尊重できるんだ。
ーだから早くサクラを奪え!ー
ガタンと何かが崩れたような音がして、僕の心が崩壊していくのがわかった。




