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麗しい桜の君と二次会

僕は、サクラと咲を車に乗せラーメン屋へ向かった。

ここには日本人が経営する日本式のラーメンがあるんだ。

サクラはだんだん色々な食べ物が食べれるようになってきたけど、咲は食べれるかな?

強栄養剤は準備してあるけど、出来ることなら一緒に食べたい。

3人で2次会スタートだ。


この店のメニューはラーメンとチャーハンと餃子とビールとラムネしかない。

それから米国には珍しく、無料の水だ。


ラムネはシュワシュワするから、サクラも咲も苦手かな?

でも、子供は喜ぶんだけどな。

考えを巡らせた挙句、結局ラムネを3本頼むことにした。



店主がビー玉をポンと落とし、瓶からシュワシュワ溢れるラムネが3本、僕達の前にそれぞれ置かれる。

「乾杯!」

僕達は、ラムネの瓶をコツンと合わせ乾杯をした。

乾杯でドリンクをぶつけるのはちゃんとしたマナーじゃないけど、日本式の二次会の定番だ。


「サクラ、咲、シュワシュワしてるから、ゆっくり飲むんだよ。」

サクラにとっても咲にとっても初めての炭酸だ。


ワクワクする気持ちでサクラを見ると、初めての味に驚き、シュワシュワの感覚を楽しんでいるようだった。

咲は生まれたてだから、まだ色んな刺激に慣れなくて飲みにくそうにしている。

-まだ咲には早かったか-

「咲、無理しなくていいんだよ。」

僕は店主に断りを入れ、強栄養剤を取り出した。

サクラの分も。


店主に強栄養剤について説明すると興味を示してくれたようで、僕の分を一本渡すことにした。

「美味しいね。この国では安価で美味しい水を手に入れるのは苦労するんだけど、この栄養剤の水は何処で手に入れたんだい?」

僕は、蒸留した後細かくした水分子に酸素を混ぜてあることを話した。

また強栄養剤の成分の中にミネラル等も含まれるので、それで意図せずとも日本の湧きたての名水に近づいているのだと話した。

勿論、強化した栄養は入っているがこれについては特許などの関係で詳しく説明することができない。


「いい水だ。これは勿論美味しいけど、この水だけを飲んでみたいねぇ。」

僕は、今度来る時があれば、水に酸素とミネラルだけを混ぜた人口湧水を持ってくるよと約束をした。


そうしているうちに、僕達の前にラーメンが並ぶ。

「サクラ、咲、ふぅふぅして食べるんだよ。」

サクラと咲が火傷しないよう、よく見ながらラーメンを食べた。

サクラはふぅふぅしながら喜んで食べていたが、咲は変わった味と熱さに食が進まないようだった。


食べ終わると、店主が強栄養剤のお礼だと言って、お代を無料にしてくれた。

同じ日本人が店に来るのが嬉しいし、サクラや咲を開発してニュースにも名前が出ている僕に会えたのが名誉なんだって。

お代の代わりに色紙にサインを求められた。

僕はサインはしない主義なのだが、お代無料と店主の強引さについにサインをさせられてしまった。


-恥ずかしい。

ニュースに名前が出ていることも常日頃から恥ずかしいと思っていたのに、僕のサインが店に飾られるなんて。-

僕は、ここで自分が陰キャであることを自覚した。

既に有名になってしまってるけど有名人にはなりたくないんだ。



その夜、床に毛布を敷いて僕の部屋で3人で寝ることにした。

本物の家族と寝ているみたいで、幸せな気持ちのまま寝入った。

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