麗しい桜の君と白い翼
咲の誕生祝いと僕の創世祝いは、僕が晒し上げにされることもなく終わり、みんなは後片付けを始めた。
いつもこういう後片付けの役は僕だったから一人で済まそうと思っていたのに、
「紗倉教授はサクラちゃんや咲君と話していてね。」
と、言われた。
僕は奴隷根性を叩き込まれていたから、後片付けしなければ何かあるんじゃないかとヒヤヒヤしたよ。
そんな時だ。
咲は僕の心がひとり孤立してることを気づいていて、
僕の心を溶きほぐすかのように冗談を言ったり、笑わせてくれたりした。
サクラも僕の異変に気付いていたようで、
「神様はサクラが守るのだ。」
と言ってくれた。
僕の頑なだった心はいつしかほぐれて、リラックスしながら片付けを見ていた。
みんなは研究室の掃除までしてくれた。
掃除が終わるとバーで二次会はどうかと誘われた。
咲もサクラも未成年だったから断った。
本当は色んなことが重なり過ぎて疲れていたから、僕が行く気になれなかったんだ。
「流石創世のパパだね。数年後になるけど、咲君とサクラちゃんが成人したら、また誘うから。」と、みんな口々に言っていた。
なんだか、心の傷が癒されたような気がした。
咲とサクラが天使に見えた。
この子達が僕とみんなの心を繋いだんだ。
「サクラ、咲、おいで。」
僕は、なんの意味もなく2人を抱きしめた。
安堵感と一仕事終えたようなやる気のない状態の中、どうしてもふたりの温もりが欲しかった。
「神様、ひとりぼっち寂しかったな。
よしよし。
よく頑張ったのだ。」
サクラが僕に抱きつきながら慰めてくれる。
「サクラさんは創世主様に悪意や敵意が向かないようムードメーカーになって場を取り仕切っていたんですよ。」
-それは咲、君もだろ?-
僕は、サクラをフォローする咲を見てホッとした。
サクラを守る騎士として咲を創ったのだが、願った通りに育ってくれたようだ。




