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桜咲く〜満開〜

ー三年後ー

僕は紗倉咲良(さくらさくら)(20)

大学の教授をしている。

学会ではサクラの研究が認められ、各研究機関からもひっぱりだこだ。

そうそう、遺伝子操作により人が創り出したNEW人類として生まれたサクラにもやっと日本人としての戸籍が認められた。


サクラの戸籍は米国がのどから手が出るほど欲しかったようだが、これからも僕が米国で研究を続けることを条件にサクラの戸籍は僕と同じ日本人となった。

元から僕の遺伝子を参考にしてる為、日本人の配列であることも大きなポイントだったようだ。



そしてもうすぐ君が生まれる。

(さく)、君だよ。ー




「神様ー、本当に咲ちゃんは神様そっくりなのだ。」

サクラが鈴のような可愛らしい声ではしゃぐ。


「僕の遺伝子を元にしているんだから、当然だろ?」

僕はいつものように得意げに答える。


「神様は何故、咲ちゃんを創ったのだ?

サクラの時は神様が嫁が欲しかったからだけど、咲ちゃんは、男の子なのだ。」

不思議そうに僕を見上げるサクラ。

僕の自信作はとても可愛い。

本当に可愛いんだ。

可愛すぎてこのまま悶え死んでしまいそう。


「サクラを守れるようにかな?

筋力も僕の2倍はあるよ。」

キュンキュンしながらサクラに答える。



「細いのに咲ちゃんは凄いねー。」

弟に話し掛けるようにサクラが咲へ話し掛ける。

微笑ましい光景だ。


あれから3年、サクラも多くの難関大学を飛び級で卒業し院まで進み今では僕の生徒となった。

優秀な助手だ。


同時に複数の大学を飛び級で卒業するのは難しいけれど、米国、日本はおろか、各国の政府にサクラの知能の高さが評価され、普通の生徒が受けるよりずっと難しい試験とレポートの提出、これで同時に複数の難関大学に通い卒業することが許可されたのだ。

国家お墨付きの知能なので出席日数はサクラには関係ない。



そよ風がカーテンを揺らし、一枚の花弁が研究室へ入ってきた。

サクラが外を見る。

「今年も満開だね。」

目を細め愛でるようにサクラがあの木を見つめた。

サクラ誕生の日、一緒に見たあの桜の木を。

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