かつてオスはヒモだった
教科書に書かれていることって本当でしょうか。いろんな研究や遺跡の発見でわかったことをつなぎ合わせると結構面白い仮説が出てきます。こんな仮説はいかがでしょう。
ホモサピエンスは昔から一夫一妻制だったって、説。なんかおかしくありませんか。
すでに男性と女性の恋愛観は、大々的な社会実験で明らかになっているそうです。それはホモとレズがいるから。
ホモはエイズが広まるまで、ハッテン場とか言う例えばサウナとか、スポーツクラブなんかで、相手を探し、乱交するのが普通だったといいます。彼らは特定のカップルとは長続きせず、多くの相手と性交渉したということです。多くは子育てにも興味がなく、その場限りの相手を探して歩いたという話です。
方やレズは特定の相手と長く伴侶となり、家庭を持ち、精子を買って妊娠するとか、養子縁組をするとかして、母親が二人いるという以外では一般の両性の夫婦と同じように、子育てをし、特定の相手だけと性交渉を持つ。それは世界中で普遍的な傾向と言われています。
それはどうして起こるのか。
生物はより多くの子孫を残すために生きているとされています。もちろん本能としてです。そのための戦略としては、男性は多くの女性と交わり、自分の子供を産んでもらうのが最適解です。
メスは妊娠出産を伴うので、限られた数しか子孫を残せないので、より良いパートナーを選び、妊娠出産子育ての期間、食料を確保してくれる人間をキープする必要があるのです。だから少なくとも妊娠出産子育ての間は特定の相手を確保することが最適解になります。その証明がホモやレズの恋愛観に由来すると考えられています。
とれば本当に一夫一妻制がホモサピエンスの発生当初に広まっていたかというのはかなり疑問があります。一夫一妻がホモサピエンスの本能だとしたら、浮気は起きないはずですから、今の浮気問題や、妾、二号、といった問題は起きようもありません。もっと言えば、権力者のハレム願望は起きないはずです。ハレム願望に至っては、ラノベの中核をなす願望になっているではありませんか。一夫一妻がホモサピエンスの当初から広まっていたとすれば、おかしな話です。
どうしてこのホモサピエンスの一夫一妻説が出てきたかといえば、ホモサピエンスは犬歯が短いということからです。チンパンジーなどは犬歯が長いのはオス同士がメスをめぐって戦うからとされていますが、だからといって犬歯が短いものが、必ずしもメスをめぐって争わないということはありません。
それに進化というものは、何かになるためにこうなったという目的論ではないのです。
たまたまそういう風に進化したものが生き延びた。それが進化です。一夫一妻になったから、オス同士が戦わなくなったので、犬歯が短くなったというフレーズこそ、進化論とは言えないのです。
たまたま犬歯の短い個体が生まれた。そいつが生き延び、繁殖した。それが真相でしょう。実際、ホモサピエンスが生まれた頃は、彼らは肉食獣のえさでした。犬歯があろうがなかろうがえさでした。たまたまその中の犬歯の短い個体が生き延び、増えていったわけで、それが一夫一妻とは関係しない。
人類の研究でフィールドワークに使われるのは、文明から孤立した先住民の研究だとされています。アマゾンの奥地にはヤノマミという先住民族が住んでいて、現在はかなり文明化しているので、それほどでもないそうですが、少し前、それこそ20年や30年前には部族間で女性の奪い合いで殺し合いをしていました。そういった先住民族の間での戦争は頻繁に起こり、成人男性の死亡原因の半数は、女性をめぐる争いの結果だとされています。これがたぶん、原始のホモサピエンスでも同じだったと思われるのです。となれば、一夫一妻の穏やかな仲間ではなく、女を取り合う、部族間で争いの絶えない血なまぐさい野蛮人になるのだと思われるのです。
現代は野蛮で争いが絶えないといわれていますが、男性の戦争での死亡率は第二次世界大戦時でもかなり低く数パーセントにすぎなかったわけですから、半数が戦争で死んでいた先住民族がいかに野蛮か想像に難くありません。
そんな風に女を取り合うのがホモサピエンスですから、犬歯はたまたま短かっただけだと推論できるわけです。
また、ホモサピエンスのオスはメスや子供に餌を運ぶために直立したという説もおかしなものです。進化論は、たまたまそうなった、それが生き延び、繁殖した。ですよね。
餌を運ぶためにそうなったなんて、まず進化論じゃない。
もう一つ、オスはメスや子供のえさを養っていなかったのではという疑問があるのです。あのアマゾンの先住民族では、男はあまり働きません。主に女性が畑仕事をし、近くの木の実などの採集をし、川で魚を取り、狩猟をしています。男たちはたまに狩猟をしますが、必ずしもその成功率は高くありません。文化人類学者の研究では、男たちの狩りはおおよそ二割か三割程度の成功率で、全食料のうちの二割程度しか賄い切れていないというのです。ほとんどは女性が生み出した食料をかっさらっているのが男性ということになります。言ってみればヒモですね。
まだヤノマミにしてもその他の先住民族にしても、かなりの武器を持っていますから、狩りの成功率はそこそこ高いと思われるのですが、ホモサピエンスの最初のころはまだまだ武器は棍棒とか投擲程度ですから、狩りの成功率はかなり低かったでしょう。そんな狩りで食料が潤沢に得られるわけではないと考えられます。で、彼らはいつも飢餓に苦しんでいたのでしょうか。いいえ、研究によれば、狩猟採集時代のホモサピエンスの摂取カロリーは現代人より少々多かったといわれています。2300カロリー程度はあったそうです。
滅多に取れない狩りの獲物でそれほど高カロリーだったとは思えません。しかも冷蔵庫も食料の保存方法も確立していない大昔、大きな獲物を長い時間かけて食べることは不可能です。
それでは何を食べていたか。木の実や草、その他巣の近くで採集したものが多かったとされています。そしてそれを採集したのが女性たちだとされています。あれ、それのどこにオスがメスを養っていたという話が出てくるのでしょう。
歴史学者も、文化人類学者も、考古学者も、この事実を知っています。実際オスがメスを養ったという学説を繰り広げている学者たちも、オスが狩りをして、メスが木の実などを集めたといっています。でもその人たちも、総カロリーの中に占める狩りの獲物の少なさを知っているのです。知っていて、あえて、オスがメスと養ったといっているわけです。
何でだろう、何でだろう。と昔はやったコントを繰り返したくなる現象です。
もう一つの疑問ですが、ネアンデルタール人はホモサピエンスより劣っていたから絶滅したという話があります。その時に出てくるのが、ネアンデルタール人は宗教を持たなかったという説です。
宗教によって多くの人がつながってホモサピエンスは発展したという話。これも嘘っぽい。その証拠になっているのが、ホモサピエンスは壁画を描いた。それは宗教に通じる。でもネアンデルタール人は描いていないから、宗教がない。おいおい、それもおかしくて、ネアンデルタール人の壁画は存在します。これも歴史学者なら知っているはずのものです。だってネットでも簡単に調べられる知識だからです。でもネアンデルタール人は宗教を持っていなかったと話す。
あと、ネアンデルタール人が共食いをする野蛮な種だったから絶滅したという説もおかしな話です。先ほどのヤノマミやポリネシアなどの先住民族の間ではかなり頻繁に人肉食が行われていたことは、事実です。それも数十年前まであったということも事実です。ホモサピエンスも人食をしていた。だったらホモサピエンスこそ絶滅するはずなのにしていない。
ネアンデルタール人はホモサピエンスとの戦いに敗れたというのも、かなり怪しい。だって戦う必要があまりない。ホモサピエンスが頻繁にネアンデルタール人の女性を略奪しに行っていたのならわかるのだけど、お互いにかなり離れた場所に住んでいたという説もあるし、食料がかぶっていて取り合いになったのなら、戦う理由もあるのだろうけど、その場合、負けるのはホモサピエンスだったといわれています。だって力があまりにも違うのだから。多少の武器があっても、それを上回る膂力があったネアンデルタール人に勝てるとは思えない。
まあ、寒波で食料が減ったために滅亡したって説が一番順当だと思われる。その場合、より小さく、繁殖力があり、雑食の種が生き延びるというのが、論理的なので、ネアンデルタール人よりも一回り小さな、そしてその分、少ない食料で生き延びるホモサピエンスが生き延びたのは単なる偶然でしょう。それでも彼らもまたかなり数を減らして、絶滅の危機にあったらしい。寒波が過ぎたためにたまたま生き延びたという説があるので、それが一番、可能性が高そうです。
ホモサピエンスはたまたま直立し、たまたま道具を生み出し、たまたま宗教を生み出し、たまたま寒波をやり過ごし、だから今、生きている。それもたまたま。
この先、何かあったら絶滅するだろうし、長くても50億年後には太陽が赤色巨星になって地球は蒸発するか太陽に飲み込まれるので、その時は確実に人類は地球上から姿を消すわけです。今、生きているのはたまたまです。
オスがメスや子供に餌を運ぶために両手を使えるように進化したわけでもなく、一夫一妻になったから犬歯が短くなったわけでもなく、第一、一夫一妻には現実にはなっていないし、太古からオスは狩りをしてメスや子供を養っていたわけでもなく、オスの獲物のほうがはるかに少なかったわけで、どちらかといえばホモサピエンスのオスは、ヒモだったわけです。ネアンデルタールはおバカで協調性のない宗教観のない種だったから滅びたのではなく、たまたま寒波で餌がなくなって滅亡しただけで、ホモサピエンスも危なかった。
ホモサピエンスは同胞と仲良しではなく、オスはメスを争ってケンカばっかりしてその相手を殺して食べていたわけで、思いやりとか、やさしさって何って思うわけですが、今の考古学者とか歴史学者は、あくまでオスがメスを養い、やさしさと思いやりを持っていて、みんなでまとまって建設的なことをしていたって思いたいわけです。こうなると、考古学とか歴史というより、ファンタジーかラノベじゃないかと思うのですが、さてどうでしょう。
太古、オスはヒモだった。
取り合えず、今、かなり明かされてきた歴史的な遺跡研究を眺めてみた、私なりの結論です。
こんな感じで今まで常識だと思われていたことに、ばかばかしく異論を唱えていきます。次回をお楽しみに。