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12 謎の霊気。



短いのちまちま更新してすみませんっ。

三人称です!







 摩訶井高等学校。

 魔界と繋がっている魔の領域だから、それに因んだ名前がつけられた学校の昼前のこと。

 爆発的に膨れ上がった霊気を、学校中の妖関係者が感じた。

 誰のものかわからない、その上大きすぎる霊気に、動揺が走る。

 神宮智じんぐうともは、すぐにその方へと駆け付けた。

 しかし、爆発的に膨れた霊気はもう感じない。

 ただ残り香のように霊力の破片が散らばる廊下には、倒れて鼻血を出した生徒がいただけ。その場にいた生徒から、その霊気は感じなかった。

 とにかくその鼻血を出した生徒を保健室に連れて行く。

 そんな神宮は、反省してトボトボと教室に入る小紅芽が目に入っていなかった。




   ◇◆◆◆◇




 白銀和真はくぎんかずまはその霊気を感じ取って、振り返る。

 ゾクゾクッと毛が逆立つほどの強大な霊気。


 ーー神宮先生のものじゃない?

 ーー誰の霊気だ!?


 気配を探ってみるが、その霊気は隠れたように消えてしまう。

 教室を飛び出したが、見付けるのは鼻血を出して泣きじゃくる女子生徒。

 もちろん、彼女から霊気を感じられない。付き添う女子生徒達もだ。

 やがて神宮が来て、連れて行く。

 目を合わせたが、何も話すことなく、和真は教室に戻った。


 ーーでもなんだ?

 ーーどこかで感じたことがあるような。

 ーー初めて感じたとは思えない。


 デジャヴにも似た感覚がして、和真は首を傾げた。




 一方、移動教室でパソコンルームにいた大神狼おおかみろうは、それを感じた瞬間に思わず立ち上がる。


 ーーこれほどの霊気!

 ーーまさか!?


 驚くほどの巨大な霊気の持ち主。

 真っ先に思い浮かぶのは、小紅芽だった。

 霊気を隠していると睨んでいる小紅芽のものかもしれない。

 いち早く気付いた。


 ーーこれほどまでの霊気。

 ーーやはり彼女にははっきり視えているはずだ。

 ーー俺達の本当の姿を。


 狼は無意識に口元を緩ませていた。




   ◇◆◆◆◇




 ーーなになに!?

 ーーこの霊気!!


 B組の教室で次の授業に備えていた小栗雅こぐりみやびは、その霊気にびっくり仰天した。


 ーー陰陽師でも来たの!?

 ーーでもなんか知っているような?


 その霊気の主を確認しに行こうと席を立った頃には、もう霊気はない。

 とにかく廊下を出てみようとした雅だったが、その前にトイレから戻ってきた小紅芽を見付ける。

 肩を落としている小紅芽を見て、首を傾げた。


「どうかしたの? 小紅芽ちゃん」

「……仕返しはやるもんじゃないね」

「え? 何の話??」


 落ち込んだ様子の小紅芽が心配で、雅の頭の中に正体不明の霊気のことは吹っ飛んだ。


 ーーあ、まさか。

 ーーこの黒猫が何かやった?


 ちょっと霊感がある方と認識している小紅芽に、何かしたのではないか。

 最近、小紅芽について離れない黒猫を睨む。

 しかし、黒猫は知らん顔でそっぽを向いた。



 同じく小紅芽の霊気を感じ取った幻獣は、少しの間宙を見つめたあと、霊気がした方へとズルズルと動く。すれ違う生徒をすり抜けて行き着いたのは、僅かに霊気の欠片が残る廊下。スンスン、と鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。そこら中を嗅いだ幻獣は、黒猫を見付ける。

 黒猫のそばにいる小紅芽を注目したのだった。



 

20180228

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