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追憶のJudgment 〜Black & White, their Tale〜

純粋な白の "始まり"

作者: くろも

                      ぐちょん

      ぐちょん

               ぐちょん


ここはうちの神社…? あれ、私は何をしてるんだろう。 目の前の人は何におびえてるの? ……………私?  いや、私の後ろに何かいるのかな。


手に角材を持ち、勇敢に立ち上がる人。 角材が振り下ろされた相手は、私だった。 頭が、世界が歪む。 痛い痛い痛い…なんで?


………そうだ、思い出した。 この人たちは悪い人たちなんだ。 お父さんが言ってた。 だから、潰さなきゃ。

両手を空に突き出すと、目の前に巨大な石像が現れる。 さっきまで勇敢だった人の表情がみるみる青ざめていく。 あーあ、逃げるんだ。 …………もう遅いのに。


                 ぐちょん


ペキペキと骨が砕ける中に、そんな湿った音が響く。

「お父さんの言う通りに、しなくちゃ。」





いつの間にか、私は地面に倒れていた。

気が付いた時にはこの有様だ。 体の自由がきかない。 何が起こったのかすら分からない。 周りにガスマスクをつけた白衣の人たちが見える。 怖い。 怖いよ。 お父さん助けて。

燃え盛る神社の景色が遠ざかっていく。 私の意識はここで途切れたのだった。







目をさますと、私は「新政府しんせーふ」とかいうとこの病院にいた。 そしてそこに来た白衣のお姉さんから色々なことを聞いた。


お父さんが私の能力を悪用していたこと。

無茶な能力の使い方で私の体がほぼ限界だったこと。

そして、お父さんが今回の件で死んでしまったこと。

なにやら私のことでお父さんと揉めていたお母さんも一緒に。


今まで私に生き方を教えてくれていた人はもういない。さっきのお姉さんは「これからは自分のやりたいように、自由に生きていいのよ」って言ってたけど、私のやりたいことなんて………何も思いつかない。


すると病室に、子供に囲まれた一人のおばあさんがやってきた。 状況が分からずきょとんとしている私をよそに、子供たちは私をおもちゃにし始めた。 この巫女服を珍しがる子。 髪や頬を引っ張る子。 めちゃくちゃだ。

そんなに珍しい?……じゃあ、これはどう。

手のひらから小さな石像を出して見せる。 手のひらサイズのお地蔵さん。 もう子供たちはこれでもかと目を輝かせ、私に何度もアンコールを求めた。 私も嬉しくて楽しくて、どんどん期待に応えた。


しばらくして子供たちがみんなそれぞれ1つずつのお地蔵さんを手に持つころ、おばあさんが私にこう言った。

「この子たちを見てやって欲しいの。 こんなに子供が好きなあなたなら、きっとこの子たちを任せられる。」

そう言われて、楽しんでいた自分に気がついた。 そして知らぬ間に涙を流していた。 やっと見つけた、これが私の「やりたいこと」なんだね。


「わ、わぁし……」むせながら答えようとしたら、子供の一人がこう言った。

「わし!? お姉ちゃんおもしろい、おじいさんみたい!!」

囃し立てる子供たちと、やめさせようとするおばあさん。


……………あぁ、なんか…いいな。

わし……わし……これが本当の自分だったのかも。


涙を拭い、ベッドの上で仁王立ちしてこう叫ぶ

「はっはっは子供たち!! わしが今日からおまえらのリーダーになる、名代なしろ 明日香あすかだ!

文句があるやつはわしを捕まえてみいっ!!」

そう言うと、ピョンと子供たちを飛びこえて廊下に走り出る。そして裾を掴んで全力ダッシュ。 後ろから「まてー」だの「わしー」だの可愛い声が聞こえる。

「廊下は走るな!!」「まだ治療が!!」「寝てろクソアマがぁ!!」

……いや、なんか全然可愛くない声も聞こえた気がしたけど、これはなおさら捕まるわけにはいかないなぁ。


いつの間にか笑顔になっていた。そんな自分を嬉しみながらわしは叫ぶ。


これがわしの、”始まり” だーっ!!

※このあとめちゃくちゃ怒られました

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