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アダニム西暦191年、豊穣と大地を司る神を讃える生誕祭がユグドラシル大陸中央に位置するマルクス帝国で行われている頃、ある1人の男がユグドラシル大陸の最北端、年中雪で覆われ、一面銀世界に覆われているヒルク王国にある防塞の要であるヒルク大壁砦に居た。
その名はカイル・ルーフェン。
28歳と異例の若さにしてヒルク王国の防塞守護を一任された将軍であるカイルは、今日も南方にあるマルクス帝国がある方を眺める。
時は、戦友闊歩する波乱の時代。
南にある大国マルクス帝国。西にあるルクス共和国。東にあるイクス聖教王国。
境界線では常に他国軍が小競り合いをし、それぞれの大国が大義名分を掲げ、ユグドラシル大陸を制覇しようと躍起になる。
そんな中で、カイルはヒルク王国で何を思う。
その決意に満ちた目からは...誰も分からなかった。
彼が覇王になる物語は此処から始まる。