86 良太と幼馴染 その2
「なるほど…やけに『機密情報が漏れている』と思ったらニャントロさんの仕業だったのね。
ちょっとお話(物理)したいんだけど、そこに直ってくれるかしら♪」
ひええええええ!!!!瀬利亜さんのニャントロさんを見る目が非常に危険なものになっています!!!背後で普通の人には気づけない、しかし危険極まりないオーラが揺らめいています。
時々訓練を一緒に受けて僕もようやく瀬利亜さんがどれくらい『規格外』か気付きました。
「待ってください!!瀬利亜さん、落ち着きましょう!!私がいろいろ仕掛けをしたから、『コミュ症』の良太さんが石川邸の皆さんと早くなじまれたわけですから。
ここは『怪我の功名』ということで、穏便にいきましょう!!」
自称邪神のニャントロさんが瀬利亜さんに対して完璧な土下座をしています。
「なあ、良太。いくら相手がモンスターバスターとは言え、邪神たるものが本当に一人の人間に対して土下座までするものなのか?あの人、本当に邪神なのか?」
真悟がこっそり僕に囁きかける。
「良太さん、鑑定魔法はこの前、教えましたよね。それで鑑定してみてください。」
同じく望海ちゃんが俺に囁く。言われて数日前に望海ちゃんから鑑定魔法を教わったのを思い出した。
ただ、誰もかれも鑑定するのは『プライバシーの侵害』になるからと、石川邸の一部の人と自分だけを鑑定していた。
ちなみに今の僕の場合…。
◎ 早川良太 16歳 人間 男
レベル 15
HP 60
MP 100
(中略)
【魔法】戦闘用魔術(LV3) 非戦闘系魔術(LV16)護身術(LV5)他
【称号】巻き込まれた召喚者 異世界転生者(成長チートあり…多分)
以前のレベル七〇〇どうこうは『転生したため休眠状態』になり、現状はこんな感じのようです。 これでも普通の人と比べるとずっとスゴイらしいのですが、望海ちゃんや瀬利亜さんを鑑定したら、ただの雑魚にしか見えません。
それを瀬利亜さんに言ったら衝撃的な言葉が返ってきました。
「その理論で言ったら赤ちゃんや小さな子供はみんな『雑魚』ということになってしまうよ。
単に強さという基準でみるこういう結果が出るだけなのだから、私や他の人を見る時に『雑魚』とか『スゴイ』とかで見ない方がいいよ。
能力値というの『今の時点でその人がどれくらい活躍できるかの目安』以上でも以下でもないのだから。」
瀬利亜さん、かっけええです!!!やたらモテモテな理由がわかります。
…話が逸れましたが、ニャントロさんを鑑定してみます。
◎ ニャントロホテップ プライバシーにより、ひ・み・つ♪歳 邪神 男
レベル 内緒♪もちろん、かなり高いです♪
HP たくさん♪
(中略)
【魔法】戦闘用魔術(強力だ♪) 非戦闘系魔術(スゴイです。特にいたずら用が♪)ニャントロ拳法(LV345)他
【称号】這い寄る黒猫 一〇〇一の顔を持つ男。
…ちゃんと邪神でした…。しかも突っ込みどころしかないです…。なにげに『ニャントロ拳法(LV345)とか、異様に強いのですね…。
「良太、どうだ?」
「良太、鑑定の結果を教えてくれるか?」
真悟と賢一が俺に囁く。
仕方なく二人に伝えると…。
「良太。その鑑定能力本当に大丈夫なのか?」
賢一がジト目で僕を見る。
…ええと、今まではきちんと作動していたんだけど…。
「良太さん。さすがです。あなたに教えた鑑定魔法は『大魔女直伝』の偽装不可能な奴ですから。 私の鑑定結果と一致してますよ。」
望海ちゃんが自信満々に告げている。
「え?でも、ずい分いい加減に見えるんだけど…。」
「ええ、『隠ぺい』はできても偽装はできないのですよ。アルテアさんご本人でしたら、『隠ぺいすら不可能な上位鑑定魔法』も使えますが、私たちではまだそこまではできないのです。」
「ううむ、そう言われてもどこまで信頼していいのやら…。そうだ!俺たちを鑑定してみてくれないか?」
賢一がキラキラした表情に変わる。
ううむ、こいつはいつもすごく好奇心が旺盛な奴だったからな…。
ということで二人を鑑定したところ…。
◎ 宮原賢一 17歳 人間 男
レベル 25
HP 99
MP 180
(中略)
【魔法】戦闘用魔術(LV10) 非戦闘系魔術(LV6)異世界知識(LV5)他
【称号】 異世界召喚勇者
◎ 加藤真悟 17歳 人間 男
レベル 26
HP 140
MP 80
(中略)
【魔法】剣術(LV8)格闘術(LV7)精霊魔法(LV5)他
【称号】 異世界召喚勇者
うわあ、二人ともかなり強いんだね?!!
なお、この鑑定結果を見せたら二人ともすごく納得していた。
「よかったら、望海ちゃんと瀬利亜さんの鑑定結果も見せてもらっていい?」
賢一が自分たちの鑑定の時以上にキラキラした目をしている。
…確かにゲームで遊んだ『モンスターバスターの実物』が目の前にいるのだから、そんな気持ちになるのは仕方ないことだとは思う。…思うのだが…。
「いいんだけれども、最初に断わっておくわね。
私たちは無意識に隠ぺいしてしまっているようで、先ほどのニャントロさんほどではないけれど、あなたたちほどはっきりした結果にならないことはお伝えしておくわ。」
瀬利亜さんが難しい顔をしている。
二人はそれでもいいと言っているので、僕も鑑定を掛けるのだが…。
北川望海 女 人間 16歳
レベル 高い
HP 多い
MP たくさん
(中略)
【技能】◎銃器全般LV130 ◎剣及び近接武器全般LV70 ◎爆発物全般LV111 ◎トラップ作り&解除LV108 ◎情報収集&分析LV123 ◎魔法いろいろLV135 他
【称号】巻き込まれた召喚者 戦場を選ばない完璧な兵士 銃の魔法少女 生徒会書記
「「……」」
望海ちゃんの数字を見た途端二人はしばし無言だった。
レベルとかはわからないけど、称号と特に技能がおかしいよね?!!
石川 瀬利亜 女 人間 18歳
レベル めっさ高いんや♪
HP ごっつすごいねんけど、さらに闘気のバリアーがあるんや♪
MP 魔法は使えないけど、1111111
(中略)
【技能】手八丁、口八丁で技能がようけあるけど、レベルも半端やないで♪
【称号】巻き込まれた召喚者 可愛い女の子にモテモテや♪ 奥さまはモンスターバスター
こちらも二人ともしばし、無言だったけれど賢一がようやく口を開いた。
「さっきのニャントロさん以上に突っこみどころが多い上に、MPがバグっているようにしか見えないんだけど…。」
「いえいえ、瀬利亜さんならこれくらいあって当然です♪」
「ええ、望海ちゃんの言う通り、こんなもんだと思います♪」
望海ちゃんとニャントロさんがドヤ顔で宣言している。
まあ、ニャントロさんはお面を被っているので、おそらくなのだが…。
それを見て、賢一と真悟も『三人ともかなり規格外』だと悟ったようだ。
同時に望海ちゃんも瀬利亜さんも気さくなお人よしということもわかったようで、まもなく二人とも馴染んでくれた。
「宮廷魔術師が『新たな召喚があった』と報告があったが、真であるか?」
勇者たちの控室の一室の扉を開けた近衛騎士の男は中の光景を見て固まった。
一か月前召喚された勇者の二人以外に四人の新顔が『布団付きの大きめのテーブル』に足を入れて、お茶を飲みながら談笑していたのだ。




