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74 運命の赤い糸 

 昼休みが終わりに近づいた時、二人の女生徒が教室に入ってきた。

 「「すみません、遅くなりました!!」」

 二人とも留学生だろうか、ものすごい美女で日本人には見えない……一人は耳がとんがっているんですけど?!

 ファンタジーゲームのエルフにしか見えないよ?!


 さらにもう一人の金髪のゆるふわ系の美女の方が僕の隣の席なんですけど?!

 「あら、初めてお会いしますね。転校してこられたのですか?」

 「ええ、はい。早川良太と申します。よろしくお願いします。」

 「アリス・デ・ラ・マクベインと申します。良太さん、よろしくお願いします。」

 僕が挨拶をすると、アリスさんはとろけるような笑顔で笑ってくれた。

 かわいい!!めちゃめちゃかわいい!!

 なんとかお近づきになれないものだろうか?!!


 …と思っていたら、なんと、二人とも瀬利亜さん家に下宿していて、夕食時に鉢合わせになってささらにビックリしたのだった。

 二人ともファンタジーな異世界からの留学生だとか…。もとのゲームより、よほどファンタジーな展開なのだね。


 「ニャルほど、良太はアリスを狙っているのだにゃ?なかなか目の付け所がいいのにゃね♪」

 トラミちゃん、何をこっそり僕に囁いているのですか?!!


 「アリスさんは見た目も中身も美女ですから、魅かれること自体は悪いことではないのですが、何しろ王女様ですからね…。むしろ口説くのに成功した後の方が大変かもしれませんね。」

 望海さん!なんで、トラミちゃんと一緒になって僕の恋愛評論をされてるんですか?!

 …ところで、どうして望海さんまで石川邸に?


 「野次馬根性でご一緒させていただきました♪もちろん、勉強も兼ねて夕食の準備のお手伝いもさせていただいてます。」

 テレパシーでも使ったんですか?!それから、なぜ、ドヤ顔?!


 「望海ちゃん、相手は確かに王女様かもしれにゃいけど、良太も皇帝陛下の息子なのにゃ。肩書きだけでいえば、王国の人も納得してくれるかもしれないにゃ。」

 「おお、確かに!!可能性は少なそうですが、チャレンジする甲斐はあるかもしれませんね。」

 「ねえ、二人で、勝手に変な話で盛り上がらないでくれる?!!」

 思わず、叫んで立ち上がった僕はみんなが僕たちに注目していることに気付いた。


 その中には当然のようにアリスさんもいたのですが…。


 「あのう、良太さん?」

 アリスさんは少し困ったような顔をされている。


 「好意を寄せていただくのはありがたいのですが、まだ、今日お会いしたばかりですし、とりあえず『お友達』ということでよろしいでしょうか?」

 いきなり『お友達発言』ですか?!!

 前世の高校時代に何度『いいお友達でいましょう』と言われたことか?!!


 「いきなりの告白で、『お友達』とは良太、なかなかやるにゃ♪これはチャレンジし甲斐があるかもしれないにゃ♪」

 いやいや、告白したわけじゃないからね!!トラミちゃんと望海ちゃんが変な風に会話を持っていっただけだよね?!!



 「うーーーん…今のところ、良太君とアリスちゃんの間には運命の赤い糸は見えないのよね…。瀬利亜ちゃんと光一君の場合は道場で出逢った後すぐくらいから赤い糸が見えたんだけど…。」

 アルテア先生!一体何をされているんですか?!!

 ……おっしゃっておられることがなんかものすごく気になるんですけど…。


 「あのう、この相手と結ばれるといいという、運命の赤い糸の人をアルテア先生は『透視』できるんですよね?例えば私は誰かと赤い糸が結ばれているのが見えるのでしょうか?」

 ちょうどいいタイミングで望海ちゃんが発言してくれました。


 「うん、私の場合は双方が『一定以上に恋愛的な感情』が出た場合に見えるようになるように設定してあるの。だから、望海ちゃんの場合は誰に対しても出ていないと思うの。

 もちろん、設定次第では『運命の赤い糸になり得る人』を透視することもできるけど、それすると人の運命を捻じ曲げる危険があるので、しないんだけどね。」


 ええええ?!!そうなんですか?!!ぜひ『運命の赤い糸になり得る人』を透視してほしかったんですが!!


 「あら?良太君、すごくがっかりした表情をされているわね。『運命の赤い糸になり得る人』を透視してほしかったのかしら?

 でも、だめよ。そういうのは焦って探すものではないから。

 例えば、今の良太君は……あっ!!!」

 ええええ??!!!今のあっ!!!はなんなんですか??!!


 「んん…。なんでもないわ♪」

 アルテア先生、絶対に何か見えましたよね!!!!!


 「さあ、自力で頑張ろうか♪」

 ごまかしてるよ?!!アルテア先生、絶対にごまかしてるよ!!!


 「よかったにゃ、良太。頑張り甲斐が出てきたにゃ♪」

 「よかったですね、良太さん。とっとと誰かとくっつかれて、石川邸に平穏を取り戻しましょう♪」

 トラミちゃん、望海ちゃん、何を言ってるの?!


 なんか、全員が僕の恋愛を応援しようという空気で夕食が終わったのですが?!!

 というか、一人残らず『当事者以外』で、応援してくれている状況だよね?!!


 瀬利亜さんなんか、『いい!万が一が起こらないようにいざという時はちゃんと避妊するのよ!』とおっしゃりながら僕のポケットにこっそり『コン◎ーム』を突っ込んでくれたんですが?!!

 そんなものを持ち歩いていたら誤解されますよね?!!


 錦織先生は『昔はわてもそれなりにもてたから、相談があるんやったら、いつでも言いや♪』とか……すごくありがたいです。

 今度ぜひ相談させてください!!


 瀬利亜さん!アルテア先生から『僕の相手?』をこっそりと聞きだそうとされないで下さい!!

 ……幸いなことにアルテア先生も『残念です♪この件は瀬利亜ちゃんでも内緒です♪』と言ってくれたのには安どのため息をつかせてもらいました。


 そして、みんなが自室に戻る際に望海ちゃんが僕に囁きます。

 「明日の朝、6時に大切な話があるので、噴水の前に来てもらえますか?」

 えええええ?!!これはもしかして告白??!!




 その晩、悶々として眠れない夜を過ごし、朝は…危うく寝過ごすとこでした。

 慌てて、石川家の庭の噴水の前に6時に到着します。


 そこには望海ちゃんがにっこりして……瀬利亜さんと千早ちゃんと一緒に立っていました。

 …絶対に告白じゃないよね…。


 かなりがっかりした僕にさらにとんでもない発言が…。


 「いずれわかると思うので、早いうちに伝えておきます。

 良太君は魔法があんまり…というか、ほぼ使えないみたいね…。一二星どころか、魔法使いになれるかどうかすら、怪しいくらい現状は魔法がダメなようね…。」

 ええええ??!!!瀬利亜さん、何を言っているの?!!


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