表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/155

72 共同生活スタート

 「あれ?どうして『転生前のあなたの本名』がわかるのか?!とびっくりされているようね。

 それはあなたの行動がおかしかったから『鑑定魔法』を使わせてもらったのです♪」

 「え?行動がおかしいってどういうことでしょうか?」

 「古代アトランティスに生きていたはずなのに、日本語で考えて、日本語で話していたら、一体何があったんだろうと疑問に思わない方がおかしいと思わない?」

 アルテアさん、言われてみればその通りです!!


 「鑑定魔法で調べた結果は、戦闘能力とか仲間にとっても必要な情報はともかく、プライバシーに関する部分は魔法を使った望海ちゃんから良太くんだけにお伝えします。」


 ということで、アルテアさんが僕に伝えてくれた鑑定結果は以下の通りだった。


◎ マイト・フォン・ガイラーク 15歳 半竜・半人 男

レベル:714

スキル:戦闘用魔術(LV321)非戦闘系魔術(LV165) 剣術(LV88) 他

装備: なし 

称号 『第114代アトランティス皇帝』の息子  転生者 

善良度:☆☆☆☆☆☆ (※通常は☆~☆☆☆☆☆の範囲)

特記事項 ※1 第114代アトランティス皇帝レジウス・フォン・ガイラークの息子。


※2 別の世界の日本の高校生・早川良太が前世で、前世の記憶と人格を完全に保持している。


※3 早川良太はこの世界に酷似した『わくわくモンスターバスター』という美少女ゲームをプレイした経験があり、『わくわくモンスターバスターの登場人物は実在のモンスターバスター達(特に一二星)と酷似している…というか、ほぼ同一人物に近い。(微妙に違う点も多い。)


※4『闇の竜の血』を体内に宿し、常人離れした魔力と、ほぼ『不老不死』にして『不死身の肉体』を誇る。ただし、闇の竜の血をきちんと制御できていないので、『暴走』の危険があり、早急に『暴走を制御』または、闇の竜の血を除去する必要がある。 



 「ちょっと待ってください!!この『闇の竜の血』てなんですか?!!しかも暴走の危険があるから、早急に制御しろとか、えらいことですよね?!!」

 「そうなの。だから、良太君には事実上選択の余地なく、モンスターバスターになってもらって、あなたの中の闇の竜の血を制御してもらうか、除去してもらうことが必須なのよ。」

 僕が慌てると、アルテアさんがため息をつきながら答えてくれる。


 「ちなみに暴走するとどうなるんでしょうか?」

 「暴走するのはあなたが感情をコントロールできなくなった時に暴走する可能性が高くなるわね。とりあえず感情を制御するのが必須になるんだけど、万が一暴走しちゃったら、一番よくて『あなたの肉体が崩壊』します。最悪の場合はあなたの膨大な魔力と闇の竜の血が暴走で大暴れして、大陸一つが消し飛ぶくらいの爆発が起きるわね。」

 はあああああ!!!アルテアさん!!涼しい顔でものすごいことを言ってくれてますよ!!


 「というわけで、良太君は現在『世界で最も危険な要注意人物』となってしまっています。

しばらくは暴走を制御するサポートのできるモンスターバスターとほぼ常時一緒にいてもらう必要がありますね。」

 「あら、それならあまり難しく考えなくてもいいと思うわ。

 感情の暴走がほぼそのまま『闇の竜の血の暴走』につながるのだから、良太君が暴走しそうな時、『気絶させることのできる人物』が傍にいればいいわけだわ。

 ほら、何人かが万が一の時は『命を絶たねば!』くらいに思っていたでしょう。」

 えええええ?!!!ゲーム上での攻略ヒロインの一人のシードラゴンマスクこと瀬利亜さんがとんでもないことを言い出したよ?!!

 というか、危うく殺されかねないところを瀬利亜さんの発言で『最悪気絶で済む』流れになってくれたわけなんだね?!!

 『早川良太危機一髪』だったんだ…。


 「なるほど。それでは、万が一に備えて、早川君をいつなんどきでも『臨機応変に気絶させられる人材』が傍にいるのが望ましいわけだ。

 能力的に言えば、瀬利亜嬢が一番適任のように思えるのだが…。」

 「コーザル!何を言ってんの?!人妻に何を望んでいるのかしら?!

 それから、感情面や心身のコントロールの仕方の指導やサポートならある程度できるけど、竜の血の制御や除去は私では全然門外漢だわ。

 レジウスのおっさんが竜の血を完全にコントロールできるようになったり、又は除去できる方法を見つけて戻ってくれたりしたら話は早いのだけれど、いつ方法を見つけて、いつ戻ってくるかわからないもんね。あまり期待しすぎない方がいいか…。」

 ん?瀬利亜さんが『人妻』とか言っているのも大いに気になるけど、それ以上に『レジウスのおっさんが竜の血をコントロール』どうこうコメントされているのが気になるのだけれど…。


 「瀬利亜ちゃん。あなたがレジウス氏がどうこう言うから良太君がとまどっているよ。

ちゃんと説明してあげないと。」

 「そうね。これは失礼したわ。レジウスのおっさんは第114代アトランティス皇帝とかだそうで、良太君の血縁上のお父さんだわ。会ったことないだろうけど。」

はいいいい?!!!なんで、そんな人物がおっさん扱いになったり、竜の血をコントロールどうこうの話になるの?!!


 「レジウス氏は鑑定に出た通り、 第114代アトランティス皇帝で、良太君のパパなんだけど、現役時代にあまりにも無敵すぎて、家臣たちが怖がっちゃって、『殿中でござる!』とか言って魔法で封印されてしまっていたの。

 ところが、その封印が去年解かれてしまって、レジウス氏は『皇帝の座をもう一度』みたいに再び『世界征服に乗り出した』りしちゃったわけ。その時はちょっと大変だったのよ♪」

 アルテアさん!!瀬利亜さん!軽いノリでとんでもない話をされているんですが??!!


 「その時は私たちと正面から戦闘になって、正直五回くらい死ぬかと思ったりしたけど、最終的には『講和条約』ぽい物を結ぶ形になって、なんとか収まったのね。

 講和を結ぶ大きなきっかけになったのが『闇の竜の血はそれを持っている人の感情の暴走とリンクして暴走する危険がある』という事実が判明したことだわ。

 それで、自身が優秀な魔法使いでもあるレジウス氏は闇の竜の血の暴走を制止あるいは、血そのものを人間から除去する方法を調べるために旅に出たの。

 レジウス氏はアルさんに近いくらい魔術師として優秀な技量を持っているから、最終的には何とかすると思うのだけれど、いつになるかはさすがにわからないからね…。」

 瀬利亜さんの説明を僕は半ば呆然としながら聞いている。


 「まあ、レジウス氏はそのうち戻ってくるだろうから、良太君が出来れば一人で制御できるようになっていればさらによし。万が一の場合は私たちの誰かがあなたをのしてあげるから、何とかなると思うので、人生に絶望する必要はないわ。

 まあ、レジウス氏が戻ってきたら『お帰り、パパ』と言いながら迎えてあげると喜ばれると思うわ。」

 この人一体何を言ってんですか!!


 「良太君。結論から先に言えば、瀬利亜ちゃん家に何人ものモンスターバスターが下宿していて、『あなたを気絶させる要員』には困らないのね。

 そんなわけで、良太君はしばらく瀬利亜ちゃん家に一緒に下宿するということでお願いします。

 申し訳ないですが、選択の余地はありません。では、解散!」


 ということで、僕はゲーム上では攻略ヒロインだった、石川瀬利亜さんご夫妻の家に下宿することが強制的に決まってしまいました。

 理由が『危険人物である僕をいつでも気絶させることができる』ように…。さらに、父親は元世界を征服しようとした大悪人で、竜の血を何とかする方法を見つけてくれるかもしれない…どんな『設定』なんですか?!肩身が狭すぎて泣けてきます!!




 「ということで、今日から早川良太君がうちに下宿することになりました。

 みなさん、仲良くしてあげてくださいね♪」

 ということで、その日の昼過ぎには大富豪の邸宅?!と見まがうばかりの巨大な石川邸に僕は下宿することになり、みんなでお茶をしながら僕の紹介タイムになっているのです。


 現在ここにいるのは瀬利亜さんと旦那さんの錦織光一さん、アルテアさんと旦那さんの久能巧さん。モンスターバスター一二星の一人、神那岐千早さんと、同じく一二星のロシア出身の双子の美人姉妹、アナスタシアさん、エレーナさんのパザロヴァ姉妹、異世界の女勇者というバネッサさん…この人達は住んでいる人達だ。

 その他に望海ちゃんと、綾小路遥さん、トラミちゃんがいつも入り浸っているそうだ。


ほとんどのみんなは興味深そうに、そしてエレーナさんは胡散臭そうに僕を見ている。

 エレーナさんは黒髪・黒目の美女だけど、その美女に『厳しい視線』を向けられると、居心地の悪さが倍加する。

 この人もゲーム上では『モブ』だったから、どんな人かよくわからないのだよね。


 「あら、エレーナちゃん、良太君を警戒しているの?大丈夫よ。基本的な面倒は巧さんに見てもらおうと思うから。巧さん、よろしくね。」

 「ええ、任せてください。

 さあ、良太君、まず君の部屋へ案内した後、この家のことやこれからのことについて話していこうか?」

 40代半ばくらいに見える温厚そうなタキシード姿の紳士が僕に笑いかける。

 …ゲームでも瀬利亜さんとこ…石川家の執事で、モンスターバスター一二星の瀬利亜さんをきっちりサポートしている…という設定だったよね。

 ただ、ゲーム上ではあまり接点がなかったので、どんな人かはよくわからないんだよね。


 こんな感じで石川邸での新生活はスタートしたのだった。



~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~



 さらに二日過ぎました。

 ゲームと違い、食事中にたわいもないことを話す以外は巧さんとトラミちゃん以外の人達とはほとんど接点がありません。

 ヒロイン攻略は一ミリたりとも進まない…というか、お互いの顔を知っている程度…です。

 さらにゲーム上ではヒロインだったアルテアさん、美夜さん、瀬利亜さんとも『結婚済み』とはどんな無理ゲー?まさか、流行の『NTR系』じゃないよね?!


 とは言え、巧さんは訓練内容こそ厳しいものの、ものすごく丁寧で親切で、なまっていた体もほぐれ、『暴走の危険は大きく減ったみたい♪』とアルテアさんがとても喜んでおられます。


 「腹式呼吸をしっかり身に着けることで魔法のコントロール精度も上がりますし、深い呼吸で感情の制御もしやすくなります。まずは呼吸からしっかり練習しましょう。」という巧さんの助言は非常に適切でした。




 「良太君、これからどういう風にするかを決める大切な相談があるの。少し話をしましょう。」

 昼食後、自室に戻ろうとした僕に瀬利亜さんが声を掛けてきた。

 少し厳しい顔をされている。

 何か問題があったのだろうか…。


 応接室に通されると、瀬利亜さんから切り出された。

 「すこしぶっちゃけちゃいます。良太君、高校時代はコミュ症だったでしょ?」

 「えええええ?!どうしてわかるんですか?!!」

 「うん、みんなとの会話、特に可愛い女性との会話がものすごく不自然だから。

 まあ、思春期の男の子がかわいい女性と相手の魅力を意識した場合は話しづらい…という面はみんな理解しているから、あなたが悪いわけではないし、みんなもそう思っているわけではないからそこは気にしなくていいわ。

 ただ、もしかして、『わくわくモンスターバスター』というゲームで妙な先入観を身に着けてない?

 光ちゃん…光一さんと、望海ちゃんから『良太君から思い切り避けられているようなんだけど、なにかやってしまったかとか、それとなく聞いて欲しい』と相談されたんだけど…。」

 えええ??!!二人ともゲームではかなり黒いキャラだったから、ついつい距離を置いたんだけど…。

 そこで、瀬利亜さんに聞かれるまま、ゲーム内容を話すと、次第に瀬利亜さんのコメカミがピクピクし始めた。


 「ふ、そんなトンデモなキャラ設定をしてくださった製作者の方たちにちょっと『抗議(物理的)してあげる必要』がありそうね♪」

 瀬利亜さん、目が笑っていません!!!背後の凶悪なオーラも踏まえてめちゃくちゃ怖いです!!!


 「おっとっと、良太君が悪いわけじゃないものね…。ゲーム設定は能力面はともかく、性格面は忘れてくれると嬉しいわ。光ちゃんも望海ちゃんも『猫を被る』癖はあるものの、人間性で言えば老若男女を問わず、誰にでも親切なお人よしだから。」

 「え?望海ちゃんはクロいわけじゃないんですか?!!」

 「好奇心旺盛でいたずら心があるのは確かだけれど、世話好きでものすごく優しいから。

 それと…ゲームを意識され過ぎたのか、女性を『攻略対象』として見ていない?

 好きになったら告白するというのであれば自然な流れかもしれないけど、『攻略対象』として見られるのは例えば、私が自分の立場だったらとても嬉しくないし、その人に近づきたいと思わないわね。」

 瀬利亜さんの言葉に僕は頭をガツンと殴られたような気がした。

 確かにゲームに引きずられて、『ゲームヒロインたち』や女性たちを『どうしたらお近づきになれるか』みたいな感覚で接していたと思う。


 「…えーと、あの…。」

 「女性は男性よりそういう視点にずっと敏感だからね。トラミちゃんやアルさん、私以外が良太君にあまり話しかけなかったのはそれもあるのよ。

 もう少し配慮した方が、女性たちにとってもあなたにとってもいいと思うのよ。」

 「………なんとも申し開きができません。以後気を付けます。」

 「どうやらわかってくれたようね。……ということで、明日から学校なわけですが、それを踏まえて登校してください。」

 「…え?学校?」

 「そうです。明日の新学期から良太君には三年雪組に編入してもらいます。」

 「えええええ??!!聞いてないですよ?!!」

 「うん、今初めて言ったから。ちなみに決まったのはほんの一時間前です♪」

 決まるの早!!!


 「僕、二年生の秋に良太として車に撥ねられて死んだので、三年の授業なんてわからないんですけど!!」

 「大丈夫。『留学生』だから、わからなくて当然で通します。『ストッパー』と一緒にいてくれる ことが大切なのでよろしくね♪」


 こうして僕は再び高校へと通うことが決まってしまいました。

 不安いっぱいの高校生活は予想以上に波乱万丈のものとなったのです。


続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ