表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/155

69 あるモンスターバスターの日記  (なぜか人生相談その3)中篇

 「春日更紗様、初めまして。そして、瀬利亜様、お久しぶりです。

 私、皇室侍女長のロッテンマイヤー・ベルグと申します。」

 石川さんと同じくらい長身の金髪で釣り目のとてもきれいな女性がニコニコしながら私たちに近づいてくる。


 「さて、ブリギッタ様。現在の国際情勢のお勉強の時間です。

 執務室に戻りましょうか?」

 「え?今、弟の婚約者が来てるんだけど…。」

 「ええ、本来ならゆったり交流していただくところなのですが、国際情勢の講義をしばらくさぼっておられますよね。一番肝心な部分だけでも頭に叩き込んでおいていただかないと、なにかあった時困りますので。」

 ロッテンマイヤーさんがブリギッタさんを見る目がものすごく厳しいです。

 そして、皇族の方たちが一言も口をはさめません。


 「あの、ロッテンマイヤーさん…。」

 石川さんがおずおずと口を開かれます。


 「はい。なんでしょうか?瀬利亜様。」

 ロッテンマイヤーさんが石川さんを見る目は非常に優しいです。


 「国際情勢の話なら、光ちゃ…錦織教師が『裏の情勢』も含めて最新情報に非常に詳しいので、要所要所で大切なことをつけ加えてくれると思います。」

 「え?!……了解や。そんじゃあ、わてもお手伝いさせていただくわ。」

 石川さんが錦織先生にアイコンタクトしながら話をすると、錦織先生も一緒に行くことに同意されます。


 「え?よろしいのですか?本当にありがたいことです。それでは、ブリギッタ様、皆様のご厚意で非常に貴重な情報が得られそうです。大事なポイントをしっかり頭に叩き込んでくださいね。」

 ロッテンマイヤーさんがブリギッタさんをひょいと持ち上げると、そのまますたすたと歩きだされます。


 ええええええ?!ロッテンマイヤーさんがブリギッタさんをぬいぐるみでも運ぶように軽々と持っていかれているのですが?!!


 「相変わらず、ロッテンマイヤーさんはすごいわね…。」

 石川さんが去っていく三人を感慨深げに見送っておられます。


 「うむ、ロッテンマイヤーは侍女長であるだけでなく、子供たちの礼儀から武道、魔法までの師匠も兼ねているからね。」

 「『皇城の守りの要』や『最終兵器』の異名は伊達じゃないですよね。ブリギッタさんとロッテンマイヤーさんの二人がかりで来られたら私といい勝負になるんじゃないでしょうか。」

 おじ様の話に石川さんがうなずいておられます。


 「あと、瀬利亜ちゃん。気をつかってくれてありがとう。錦織さんに同行してもらうことで、大切な情報を伝えてくれるだけでなく、ロッテンマイヤーの講義が結果的に短くなることも計算されたんでしょ。錦織さんに配慮して長々と講義をしないはずだから。」

 「さすがは皇后陛下、恐れ入ります。」

 「えええ?!皇后さまと呼ぶのはやめて!せめてアニータちゃんと呼んで♪」

 「あ、わしのことはヨハンちゃんで♪」

 「いえいえ、いくらなんでもそれは無理ですよ!!公式の場ではどうしても皇帝陛下、皇后陛下になってしまいます。まあ、今日のような非公式の場なら……ヨハンパパ、アニータママ…というのはどうでしょうか?」

 ええええええ!!!!石川さんとおじ様、おば様の間の会話がすごいことになっているのですが??!!!


 「「それはいいね(わ)♪」」

 「そうそう、更紗ちゃんは私たちのことを遠慮なく、パパとママと呼んでね♪」

 ひええええ!!いくらなんでもいきなりそんな呼び方はできません!!

 結婚した後からはパパ・ママと呼ぶということにして、とりあえず、お義父様、お義母様と呼ばせていただくということで納得していただきました。


 その後しばらく学校での話などで盛り上がっていましたが、途中から話がロッテンマイヤーさんの話になりました。


 「ロッテは先代宰相の娘なんだが、超真面目で誠実なのはいいんだが、ちょっとかたすぎるんだよな。もう少し可愛げがあるといいんだが…。」

 「え?でもオフタイムはかなり気さくですし、かわいいもの好きだし、意外とだらしなかったりされますよ。」

 「「「ええええええ???!!!!」」」

 おじ様たちが石川さんの話にものすごくびっくりされてますが…。


 「瀬利亜様!!私のプライベートをばらさないで下さい!!!」

 噂をすればじゃないですが、ちょうどロッテンマイヤーさん、ブリギッタさん、錦織先生が戻ってこられました。

 先ほどまで『鉄の女』という感じだったロッテンマイヤーさんが慌てておられるのが妙に可愛かったりします。


 「あら、ロッテちゃん♪職場の人達と打ち解けるのはとてもとても大切なことなのだわ♪そうだ!ロッテちゃんは服装をそれなりにすればものすごくかわいくなるのだから、それをみんなの前で披露したらどうかしら♪」

「瀬利亜様!それは勘弁してください!!」

 「ふっふっふ、そうはいかないのだわ!さあ、アルさん、望海ちゃん、やっておしまいなさい!」

 「「了解です♪」」

 石川さんの号令に従って、アルテア先生と望海ちゃんは三人であっという間に抵抗するロッテンマイヤーさんを着替えさせてしまいました。

 途中でなぜか『モザイク』が入ったので、着替えの様子はわからなかったのですが…。


 着替え終わったロッテンマイヤーさんは…アルテア先生にも優るとも劣らないくらいの超絶美女になりました。

 如月君含む皇室の方たちも愕然とされてます。


 「か、可愛いわ!ロッテ!!ものすごくかわいい!!」

 おば様がものすごく興奮されてます。

 「あの…その…。」

 ロッテンマイヤーさんが顔を真っ赤にされてしどろもどろになられています。

 その所作も含めてものすごく可愛らしい感じです。


 「さあ、ロッテちゃんがとてもかわいくなられたところで、今度は『今日の本命』にも可愛くなって貰いましょうか♪」

 え?石川さんが今度は私を見て、にんまりしておられるのですが?!


 「さあ、今度は更紗ちゃんを飾り付けましょう!アルさん、望海ちゃん、ロッテちゃんもやっておしまいなさい!!」

 「「「了解です!!」」」

 えええええ!!!今度は私が三人の手であっという間に着せ替え人形に!!


 約三分後私の前に姿見の大きな鏡が私の前に出てきましたが…。

 ええ??!!これが私?

 自分はかわいい系だと思っていましたが、暖色を基調とした上品な服装でまとめてくれて、自分が美人に見えるのがすごいです!!


 「隼人よくやった!!」

 「まあ、本当にかわいいお嫁さんに来てもらえたのね♪」

 「わーい、むさい弟にかわいい嫁さんが来てくれた♪」

 「本当にお美しいですし、気品があふれておられます!」

 お義父様、お義母様、お義姉さまとロッテさんが嬉しそうに私を見ておられます。


 そして、如月君は……。

 「更紗!!ものすごくきれいだ!!すぐに結婚しよう!!」

 如月君!落ち着いて下さい!!



 「がんばる乙女がきれいになるのはすごく気分がいいわね♪次はブリちゃんの番かしら♪」

 「「「了解です!!」」」

 またまた石川さん主導で今度はブリギッタさんが着替えモードに入ります。

 三分後…。

 「「「「かっこいい!!」」」」

 「待って!!なんで私だけ宝塚系になるわけ!!不公平だ!やり直しを要求する!!」


 男装のブリギッタさんは見ているだけで鼻血が出そうなくらいカッコいいのですが、ご本人はとても不満そうです。


 「ごめんごめん。男装したらものすごくかっこよくなりそうだから、ついついやってしまいました。じゃあ、今度こそ『きれい系』で♪」

 石川さんの指令で、またまたブリギッタさんの着替えが始まります。


 「「「「ものすごくきれい!!」」」」

 黒を基調としたドレスを基本に、長身とスタイルの良さを生かしたアダルトな魅力の女性が私たちの目の前におられます!!

 ロッテさんがクールビューティーなら、ブリギッタさんは『情熱の美女』と言ったところでしょうか?


 「じゃあ、次は瀬利亜ちゃんを着せ替えしましょう♪」

 「「了解!!」」

 おおっと?!今度はアルテア先生の提案にロッテンマイヤーさんと北川さんが動き出します。

 三分後……。

 「「「「ものすごくきれい……。」」」」

 清楚系のものすごい美女が降臨しました…。

 少し恥ずかしそうにされているのが、さらに趣があります。


 「瀬利亜はん!!二人でめくるめく愛の世界へ行くんや!!」

 全身に喜びを表現された錦織先生が石川さんを抱えてどこかへ行こうとされています…。


 「光ちゃん!!昼間から何をしようとしてるんですか?!!」

 「は?!!危うく、『昨夜はお楽しみでしたね♪』とロッテさんに言われてまうところやった!」

 ……危うく石川さんが『お持ち帰り』されるところだったようです。


 この後みんなで記念写真を撮って、つつがなく婚約は進みました。


続く


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ