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58 さらに地底からの挑戦 その2

 「五台のマシンの乗るメンバーなのだが…。」

 マグナ博士が腕を組みながら少し思案している。


 「はーい♪瀬利亜ちゃんと聡君、楓ちゃん、光一君と私でいいのではないでしょうか?

 『愛情&友情パワー』が大切ですから♪」

 「それはダメでしょ!ロボットの攻撃力より強力な魔法を使う人が乗っていたら、ロボットの意味がないから!申し訳ないけど、アルテアさんには外れてもらって、代わりにトラミちゃんに乗ってもらおう!」

 「ふ♪任せるにゃ♪」

 マグナ博士の声に応えるように、いつに間にかトラミちゃんまで来ているよ?!!

 カッコいい戦闘スーツを着て、トラミちゃんがドヤ顔をしています。

 見た目が一四歳位の虎縞の尻尾と猫耳の付いた可愛らしい娘だから、どう見てもメンバー中のマスコットだ。


 「ええええええ!!せっかく衣装も用意したのに!」

 アルさんがかわいい系の戦闘スーツを着てぷりぷりしている。


 「…アルテアはん…。前回、美夜はんが『式神で敵を殲滅』してもうたから、ロボット以外の超強力な攻撃手段を持つ相手にはマグナ博士が神経質になってはるんや。

 ここはひとつ、瀬利亜はんの着せ替えの方を凝ったものにする…いうことで、納得してもらえへんやろか?」

 光ちゃんがアルさんにこっそり囁いている。うん、私の衣装どうこうが無ければ全然問題ない発言なのですが…。


 「了解、わかったわ。じゃあ、いろいろデザインを見繕っておくね♪」

 うん、なんか、旦那に『売り飛ばされたような気分』がします。


 「…ええと、俺は結局何のために呼ばれたのでしょうか?」

 「にぎやかし要員だ!ムードメーカーと解説要員は大切だ!」

 橋本君のボヤキをマグナ博士がバッサリと切り捨てる。うん、ずいぶんと酷い言い草だね。


 「普通ならそうかもしれへんけんど、瀬利亜はんは一人ノリツッコミや解説も得意やから、必ずしも解説要員は必要ないんや!したがって橋本はんは…。」

 「錦織先生!それ以上言うのはやめてーー!!」

 橋本君が悲鳴を上げている。それ以上はかわいそうだから、やめてあげて!!


 「橋本君、にゃんならパイロットの座を譲ってあげてもいいにゃ。私には『グレートニャジンガー』という変形スーパーマシンがあるにゃ♪」

 おおっと、トラミちゃんが橋本君に声を掛けている。

 「トラミちゃん、ありがとう!!」

 「にゃーに、気にするほどのことじゃないにゃ♪」

 橋本君がすがりつかんばかりにトラミちゃんにお礼を言っている。


 トラミちゃんが意外と優しいのはいいことなのだが、ロボットに搭乗することがそんなに素晴らしいことかどうかは甚だ疑問なのですが…。

 ところで、修学旅行の時に乗っていたバスがパワーアップして、『ニャジンガーZ』というロボットに変形する機能が付いたことまでは聞いていたのですが、いつの間にかさらに進化していたのですね…。

 いろいろすごく嫌な予感がするのですが…。


 「待て、トラミ嬢!君が橋本君にパイロットの座を譲るのは構わないが、間違っても今回の敵を『グレートニャジンガー』で粉砕したりしないでくれたまえ!

 今回の件は『シードラゴンVに実戦経験を積ませる絶好のチャンス』なのだから!」

 えーと、マグナ博士がトンデモない本音をダダ漏れさせているのですが…。これは地底獣の前にやはりマグナ博士を先に粉砕した方が世界平和のためになるのでは…。


 「安心するにゃ♪私は普段からグレートニャジンガーで異世界に出入りしてはストレス解消に『悪い奴らを定期的に粉砕』しているにゃ♪

 今日くらいゆっくりしていても全然平気だニャ♪」

 トラミちゃんもとんでもないことを告白しだしたのですが?!

 異世界、大丈夫か?!まさか、グレートニャジンガーが『大魔王より怖い存在』になったりしてないよね?!



 「まあ、とりあえず、五人でメカに乗って合体してみようではないか!」

 ドクターフランケンが目をキラキラさせてメカを見ている。


 そして、私が『頭になる飛行マシーン』に乗り、光ちゃんが『両手と胸』になるマシーンに、伊集院君が『腹部になるマシーン』、楓ちゃんが『腰と両脚になるマシーン』、橋本君が『両足になるマシーン』にそれぞれ乗った。


 「飛行はフライトシュミレーター的な感じでもできるんやけど、めんどくさかったら自動操縦でも大丈夫や。何しろ、『合体するまでの単なる前振り』やから♪」

 光ちゃん、そんなにぶっちゃけていいんですか?!!


 「それはともかく、みんな合体や!!『レッツ!シードラゴン!!』と叫ぶと五体のメカが変形合体するんや!さあ、みんなで唱和するで!」


 「「「「「レッツ!シードラゴン!!」」」」」

 みんなが唱和すると、全機合体のための自動操縦になり、なぜかカッコいいバックグラウンドミュージックがかかり、それに合わせて私のマシーンと光ちゃんのマシーンが、続いて伊集院君のマシーンと次々に合体していった。


 それぞれのメカが合体するときにはなぜか、『ガシャーン!』と効果音ぽい音がする。


そして、約1分後、合体した時に、ロボットが叫ぶ。

 「シードラゴン!V!!!」


 やはり女性的なフォルムのカッコいいロボットだ。

 色はピンクやシルバーが入り、なかなかおしゃれである。



 「敵反応ありや!そろそろ地中から飛び出してくるで!みんな、警戒するんや!」

 敵の到着予測地点の都市郊外に出たところで、センサーを見ていた光ちゃんが警告する。

 私は光ちゃんの指示に従い、シードラゴンVがファイティングポーズを取る。


 ほぼ同時に前方の地面が割れて、モグラを模したロボットとオケラを模したロボットが現れた。

 そして、二体のロボットは飛び上がったかと思うと、変形合体し、敵役らしからぬ妙にカッコいいロボットになった。


 「わっはっはっは!見たか、変形合体する『アンダーグラウンド・ロボ』の雄姿を!!」

 敵の方から若い男性の非常に誇らしげな通信音声が入る。

 せっかくなので、その通信を利用させてもらうことにする。


 「せっかく変形合体してもらったばかりのところを悪いのだけれど、『停戦と講和』を提案するわ。不要な戦闘はせずに『双方が納得できる条件』で歩み寄りましょう。」

 「「なんだって?!!」」

 相手とマグナ博士の声がはもる。


 「貴様!あれだけのことをしておいて、この期に及んでそんなことを言うか!」

 「せっかくの実戦のチャンスをみすみす潰さないでくれ!」

 うん、二人とも粉砕してよろしいでしょうか?


 「じゃあ、『講和したくなったら』いつでもおっしゃってくださいね。」

 「ふっ。そんな弱気でよく、この『地底プリンス』の『アンダーグラウンド・ロボ』と戦おうなどと思いあがったことを思ったものだな!!」

 通信と共に若い偉そうなお兄さんの映像が入ってきた。

 金髪の見るからに俺様系の20くらいのイケメンだ。

 乙女ゲーなら攻略キャラだろうが、私にとっては苦手なタイプでしかない。


 「ふ、甘いわね!こちらにも『地底プリンセス』がいるのよ!それだけではなく、『地底メカマニア』や『地底御曹司』や『地底お調子者』さらに、『地底猫娘』までいるのよ!

 このバリエーションに勝てるとでも思ったの?!!」

 せっかくなので、言い返すと、なぜか味方の方からブーイングが来た。

 特に橋本君は血の涙を流していた。…すみません。調子に乗りすぎました。


 「おのれ、ふざけおって!!このアンダーグラウンド剣の錆にしてくれる!!」

 アンダーグラウンドロボは抜刀するとこちらに斬りかかってきた。


 シードラゴンVはその一撃を躱すと『シードラゴンヨーヨー』を続けざまに相手のボディに叩き込んだ。


 相手がひるんだすきに『シードラゴン春巻き』でスタミナをつけ、シードラゴン頭巾をアンダーグラウンドロボの頭にかぶせて目隠しをすると、シードラゴンヨーヨーで何度も何度も殴りつける。


 「瀬利亜はん!!戦い方がプロレスの悪役やん??!!」

 「光ちゃん。何を言っているの?!!どんな汚い手を使おうが勝てばよかろうなのよ!!」

 「瀬利亜はんだけはそのセリフを言うたらあかん!!!」


 まもなく、あちこちがぼこぼこにへこんだアンダーグラウンドロボを見て、地底プリンスは戦意を喪失し、あっさりギブアップをした。


 結局、ロボット以外は被害がないことで、真・地底帝国に謝罪をさせた後、『相互不可侵条約』を結ぶことで、あっけなく講和が進んでいった。



 「瀬利亜ちゃん、用意してあげた装備を使ってくれてありがとう♪」

 事件後アルさんがニコニコして出迎えてくれた。

 「うん、アルさんがわざわざ装備にするくらいだから、どんなものか気になったの。」

 確かにどれも『スゴク効果があった』のにはびっくりです。

 特にシードラゴン春巻きを食べるとパワーが二倍になるとか、どんな不思議アイテムだという話です。


 「それにしても『地底プリンス』から、いきなりプロポーズされるとはびっくりしたわ。」

 そうなのです。地底プリンスは『地底プリンセス』こと楓さんに講和の席でプロポーズをかましてくれたのです。

 もちろん、私が早々にお断りさせていただきましたが…。


 「ほらあ、私ってこんなにモテモテなんだから、捕まえておかないとまずいかもよ♪」

 楓さんがすごく意味ありげに伊集院君を見やる。


 「ああ、こんなうるさい女にプロポーズする男がいてビックリしたよ。

 せっかくなら連れて帰ってくれたらよかったのに。」


 「なーーんですって!!トラミちゃん!頭巾用意して!!」

 「わかったにゃ♪」

 伊集院君の言葉に逆上した楓さんはトラミちゃんから頭巾を受け取ると、そのまま伊集院君の頭にかぶせ、ヨーヨーでド突き始めた。


 「痛い!この暴力女!やめろーー!!」

 ええと…楓さんに『教えてはいけない技』を教えてしまったようです。



おまけ


『 グレートニャジンガーの唄


ダッシュ ダッシュ にゃんにゃんにゃにゃん♪

ダッシュ ダッシュ にゃんにゃんにゃにゃん♪

ダッシュ ダッシュ にゃんにゃんにゃにゃん♪

猫娘 ダッシュ♪

私は涙を流さにゃい にゃにゃにゃ♪ 

ロボットだから マシンだから♪ にゃにゃにゃ♪

だけど わかるにゃ 萌える友情♪

気が向いた時だけ 悪を撃つ♪

必殺パワー 猫キック♪ 悪い奴らをぶちのめす 猫パンチ あくびを呼ぶにゃ♪

私はグレート グレートニャジンガー♪ 』


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