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111 風流院大学入学式 その1

※以前の話を確認するのがめんどくさい人のための登場人物紹介


石川瀬利亜  風流院大学の講師になった?美少女モンスターバスター。光一の奥様。一人ノリツッコミが特技のスーパーヒロインでもある。


リディア・アルテア・サティスフィールド  風流院大学学長。長身のゆるふわ美女で世界最高の魔法使い・『大魔女リディア』。瀬利亜はんを溺愛している。


引田天空  没落していた陰陽師の家系の青年で、風流院大学新入生。先祖の霊の引田空海(女性)が守護霊としてついている。


銀田一初(ぎんだいちはじめ): 名探偵銀田一耕介の孫娘。自称美少女名探偵。


神那岐千早  瀬利亜の後輩モンスターバスターで、剣の達人。姉代わりの瀬利亜が大好き。

 冗談みたいな入学試験に合格し、俺・引田天空は今日の風流院大学の入学式に出席していた。


 100人の人種や見た目の年齢も様々な新入生たちが講堂へ並べられた椅子に腰かけている。

 生徒の両親もかなり出席しているようだ。

 後ろを見ると…ああ?!何も言わなかったくせに俺の両親も出席しているよ!!


 あの二人はおそらく『異文化交流部』という建前を本当に信じているからな。

 実態の『モンスターバスター育成学部』と知ったらさぞやビックリするだろうな。


 複雑な想いに捉われながら周りを見回すと…俺の隣は日本人形のような長髪の可愛らしい女の子だ!

 かわいいのはいいのだけれど、がんばっても高校生にようやくなったくらいにしか見えないのだが…。

 さらにその隣も同じくらいの年齢に見えるショートヘアの活発系の可愛らしい女の子だ。

 この二人は受験会場では見なかったから、推薦入学なのだろうな。


 「お久しぶりです。(はじめ)さんも入学しておられたのですね。またお会いできてうれしいです。」

 日本人形のような可愛らしい女の子がニコニコしながら隣の子に話しかけている。

 

「私も千早ちゃんと再会できてうれしいな♪一緒にいるだけで癒されるんだもん♪」

 初という子が千早ちゃんの頭を両手でわさわさと撫でまわしている。二人はかなり仲がいいようで、美少女二人がじゃれ合う様はとても癒される。


 「あれ、初さん。右肩にいる子はいつからお友達になられたんですか?」

 千早ちゃんが初ちゃんの方をまじまじと見ながら言う。

 え?右肩…本当だ!

 俺が透視の陰陽術を使うと右肩に小さな可愛らしい二足歩行のシャム猫が立っている。

 千早ちゃんは透視能力が使えるのか…。


 「ふっふっふ、この『魔法の妖精』シャムリンとお友達になったことで、私は『魔法の名探偵・クレバー初』としてこれから世界的に大活躍するのよ!!」

 …ま、魔法少女デスカ…。


 『いや、初…。おめえ、それなりに魔力があって、目の付け所も悪くはないけど、致命的にドジで、思い込みが激しすぎるだろ。

 そうとう鍛え直さなければ探偵は難しくないか?』

 シャム猫の妖精がため息をつきながらテレパシーで初ちゃんに語りかけている。

 それを聞いて、初ちゃんは頬を膨らませてぷりぷりしており、千早ちゃんはあちゃー…という感じで難しい顔になる。


 年下の女の子たちの会話は見ていてほのぼのするな…。

 俺も陰陽術を使っていなかったら周りの人たち同様この会話は聞こえなかったはずなんだよね。

 …いや、この場所だから、何人かは聞こえているかもしれないな…。



 そうこうするうちに、壇上に先日試験官をされた瀬利亜さんとアルテア学長が上がっていく。

 いよいよ、入学式が始まるようだ。


 瀬利亜さん(今までの状況からしてどう見てもシードラゴンマスク様なのだけど)はマイクを手に取ると、話し始める。


 「風流院大学異文化交流学部、学部長の石川瀬利亜です。」

 瀬利亜さんの言葉に父兄席が大きくどよめく。

 うん、見た目二〇代にしか見えないハーフの若い女性が学部長とか、普通なら絶対にありえないからね…。

 というか、シードラゴンマスク様は学部長なのか。俺の両親はほぼ例外にしても、多くの父兄は『モンスターバスター学部』だとは知っていても、瀬利亜さん=シードラゴンマスク様とは知らないからな。


 「本日は風流院大学入学式にお越しいただき、ありがとうございます。

 新入生に皆さま、ご父兄の皆様方にお祝い申し上げます。

 『異文化交流学部』という様々な分野での『トラブルシューターたち』を育成させていただける学部の学部長を務めさせていただき、まことに光栄であります。


 人材育成に関してですが、プロとしての能力を伸ばしていくことはある意味当然ではあります。しかし、それ以上に一人の人間として真っ当であること、まず本人が幸せな人生を歩けるようになることが根本的に大切なことであることだと思います。

 幸せな人しか、本当の意味で他の人を幸せにはできないと言います。

 学部内外のいろいろな人たちと交流することで、生徒さん達それぞれが『自分の幸せな人生の道』を見出すことを全力でサポートさせていただこうと思います。」

 かっけええ!!!生徒達も父兄たちもおおっ!!とかどよめいているよ。



 次に瀬利亜さんはアルテア学長にマイクを渡す。


 「生徒の皆様、ご父兄の皆様、よく我が大学へお越しいただきました。

 私が学長のリディア・アルテア・サティスフィールドです。」

 にこにこと笑う超絶美女に講堂内は静まりかえる。


 「好きこそものの上手なれ…と言います。

 寝食を忘れるくらい夢中になってやることが本当に意味でもその人の糧になってくるものであり、上達への最短コースでもあります。

 当大学では可能な限り生徒さんたちを『夢中になれる分野』に誘導し、また、人間的にもバランスのとれた真のプロの育成に取り組ませていただきます。

 学ぶことはとても楽しいことであることを大学の講義・実技の中で体感していただき、生涯学び続けることの楽しさ、幸せを味わってほしいと思います。」


 とても素晴らしい話だ…けど、生徒も父兄もアルテア学長に見とれて半分くらいしか聞いていないような気がするよな…。



 「それでは、これから教員の紹介をしたいと思うのですが、その前に……。

 神那岐講師!どうして、あなたが生徒たちの席に座っているのですか?!

 今から紹介しますから、すぐに壇上に上がってきてください!!」

 瀬利亜学部長がマイクに向かって叫び、俺の隣の千早ちゃんがびくっと震える。


 「ええええ?!でもでも!皆さん、私よりずっと年上の人たちばかりに見えるんですけど!!

 とても私に講師なんか務まりそうにないですよ!!」

 半分涙目になって千早ちゃんが瀬利亜学部長に必死で訴えている。

 見た目、とても可愛らしくて庇護欲をそそるのですが…講師とはどういうこと?!


 「全くだ!!そんな『中学生』を講師にしようとか、どうかしている!」

 ええええええ?!!またもやあの『剛田脳筋くん』が立ち上がって叫んでいるよ!

 …剛田君、合格していたのだね…。


 「中学生じゃありません!!もう少しで一六歳になります!!」

 別の意味で涙目になりながら千早ちゃんが懸命に抗議している。

 …見た目の可愛さ、行動の素朴さを合わせて、見ているだけでさらに萌えてきそうだ。

 生徒の半分くらい、特に女生徒たちの千早ちゃんを見る眼は子犬か子猫を見るような視線になっているんだけど…。


 「ほんの少し前まで中学生だったわけじゃん!!!」

 「違います!!ちゃんと高校へ通ってました!!」

 すごく不毛な争いになってきたのだけど。


 「学部長待ってください!!」

 試験当日、いろいろ語っていたメガネ…もとい、確か小林が立ち上がって叫ぶ。


 「神那岐講師とおっしゃいましたが、もしかして『護国刀・神那岐』のあの神那岐家のかたですか?!でしたら、彼女は…。」


 『うわー、メガネくんたらよく知っているわね。』

 空海姉が俺の耳元で囁く。

 『あの()、【世界の霊的最重要地域の日本を守る切り札・神那岐の太刀】の継承者だよ。見た目で判断しない方がいい。』



 「さすがは、メガネ君だけのことはあるわね!その通り、神那岐千早講師は【対魔神刀・神那岐の太刀】の継承者だわ。」

 瀬利亜学部長が胸を張って答える。


 「学部長!!メガネくんはないでしょ?!!メガネくんは!!!」

 「…ええと……明智君だったかしら…?」

 「小林です!ちなみに少年探偵団じゃないですから。」

 例のメガネの小林がやや憮然とした顔で答える。

 ただの知ってるくんではなくて、あの時気絶しなかったのだから彼も只者ではないのだね。


 「しかしです!すごい刀の継承者だからと言って、経験もない女の子をいきなり講師にするのはどうなんですか?!」

 おおっと?!剛田君がまだ粘っているよ。


 「ちっちっち。これだから脳筋君には困ったものだ。」

 舌打ちをしながら小林がドヤ顔をしている。なにか大事なことを知っているようだが…。


 「世界が征服される寸前だった例の『星舟事件』の際にはシードラゴンマスク様と同時に『神那岐の太刀の継承者』が活躍したという裏情報が流れているのだよ。

 つまり、一年半前には神那岐講師は現役で第一線に出ていたプロ中のプロというわけさ。

 さすがの私も神那岐の太刀の継承者の見た目がこんなに幼いとは想定していなかったがね。」

 小林に言われて剛田が悔しそうに黙っている。

 それを見て、小林はさらに得意そうになっていたが…。


 「脳筋さんも、メガネさんも『中学生』とか、幼いとか酷すぎます!!!」

 千早講師が涙目になりながらさらに頬を膨らませている。


 「全くだわ!!レディに向かってなんて失礼な筋肉とメガネなの?!」

 「そうよ!女心がわからない失礼な人たちね!!」

 周りの女生徒たちが千早講師をかばうように次々と椅子から立ち上がって抗議し始める。


 「待ってくれ!!私はそんなつもりでは…。」

 「黙りなさい!!このうんちくメガネ!!!」

 小林は試験の時に来ていた氷室というクール系美女に指を突きつけられて剛田とともに完全に固まってしまった。



 「いかがでしょうか。モンスターバスターには知識や強さも大切ですが、今日の体験から、『周りに配慮する力』も必須だと体感していただけたと思います。」

 なんか、瀬利亜学部長が〆ちゃったんですけど…。

 なお、当然のことながら千早講師は女生徒たちのアイドルと化したのは言うまでもありません。


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