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異世界突撃部隊 ゼロゼロワンワン  作者: 拝 印篭
第一章【大森林】風来無宿 
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7.バディ コンプレックス?

「バディ!? 相棒って意味で?」


「それもあるけど、どうせ軍に入るなら同じ小隊になれる方がいいかなぁって。うちとこの軍は、最小単位が二人一組の【バディ】が基本で、それが4つ集まった【小隊】、それが4つ集まった【中隊】、更に4つ纏めた【大隊】、で、最後に大隊が4つ集まった【連隊】って単位になっている訳やよ。で、最小単位のバディに関してはある程度当人同士の希望が通り易いんやよ。だから、もし、軍に入るんやったらうちらの小隊に入って欲しいんやよ」


「そうやって誘ってくれるのは嬉しいけど、男の俺でいいの?」


「最初は妹とバディ組んでたんやけど、事情があって、妹は別の子と組むことになって、うちが浮いちゃってたんやよ。元々が軍隊に入る女性が少ないんで、どのみちこのままなら誰か男の人と組むことになったと思うんやけど、どうせなら、組んで違和感の無い人の方がいいからね~」


「事情?」


「それは軍事ひみちゅに属する事やから部外者には詳しく説明できないけど、うちらの小隊はあと三人人員が不足してるものだから、増員は歓迎なんやよねぇ。まぁ、おねぇちゃんとしてもうちだけバディが居ない状況ってのも良くないなと思ってたし、そこに現れたノーラさんはうちとしても手放したくない所やね」


「……うーん、男冥利に尽きる誘いだとは思うけど……」


「まぁ、おいおい考えてみてや~ 絶対悪いようにはせぇへんから」


 と、いうことだったが、当面、生きてこの森を脱出してからの話なので、この時は保留とした話題であった。しかし、俺が軍人か…… 想定の範囲を超えているわな。


 あくまでも、俺のプロレス技は物まねの域を出ないものだし、そも、体は小さすぎる。多少の心得としては申し分無いとは思うが、重ねて言うが、あくまでも個人芸でしかない。

 集団戦闘はまた別の物と認識している。その点では自信を持って言える。俺には無理ゲーだ。


 こうして、将来の展望と葛藤を新たに抱え込み、午後の移動を開始した。


 基本は、南へ向かって徒歩で踏破するのが、一番人里へ出るのが早いそうなので、それを基本的な行動指標として採用した。森の外周部には幾つかの集落があり、その近くには互いを結びつける細い道路もあるはずなのだとか。どこかしらの集落に辿り着ければそこからならいくらでも帰るあてが経つのであるらしい。もっとも、その辺りに近づけば敵の軍事目標の近辺でもあるそうなので、斥候との遭遇戦などの可能性もある為、一層の注意が必要だとの事だ。


 適当な木を切り倒し、年輪をあてに方角を修正しながら南下すること二日、遂に俺達は森の中に小道を発見した。その間に、更に一つレベルが上がったようだが、そのおかげで体力的にも余裕が出て来たみたいだ。


 この森で目覚めた時と比べたら貧弱なぼうやがブルワ○カーでむっきむきになったかのような気分である。まるで別人になっているかのようだ。まあ、犬耳の事も考えれば全く別人なんだけどな。


 メロンも一つレベルを上げた。遭遇戦で猪やっつけた。戦ってる最中のテンションがちょい変だったが、仕留めた瞬間に音楽が鳴るとむっちゃ喜んでぴょんぴょん跳ねるから、おぱーいがぶるんぶるんして目の得だった。


「これで、帰ったらスキルが手に入るわ~」


 と、聞き捨てならん台詞を吐いたので、その辺詳しく聞いてみた。


「軍人さんはレベルが上がった時にスキル科でステータスを見てもらって、取れるスキルを取得する事ができるんやよ。民間人が勝手にスキルを取得することは基本的に違法行為になるから、大抵の人は若いうちに喜んで軍に入隊してスキルを取得する人が多いんやよ。従軍している二年で3~4個スキルを得られたら優秀でその後の就職なんかにも有利やし」


 つまり、日本で光物なんかと同じ扱いなのな。こっちで言うスキルって。


「じゃあ、俺もスキルを取得するにはやっぱ軍に入る必要があるのか?」


「従軍する一か月前までに上がったレベルの分は上げる機会があると思うで~」


 当然、まだ4、5日しか経っていない。その分はいけるかな?


「しっかし、二回もレベルアップするところを見られるとは思わなかったんやよ。普通は一年に一度あれば優秀なんやし」


 あれ? 数日で二つ上がったとか、いや、正確には三つ上がってるんだけど、もしかして「やっちまった」かしらん?


「まぁ、個人差があるから、そこまで変でも無いんやけどね」


 と、まぁ、そんなスキルアップの話で盛り上がっていると、道の脇にあまり気分の宜しくない物を見つけてしまった。


 メロンの顔色も、直前までの楽しげな表情が霧散してしまい、それまでとは別人のようになってしまった。自ら死人と化したかのように青い顔で、彼女は無表情に呟いた。


「これが、戦争の爪痕で、この国の現実なんやよ」

※スキル


 この世界でのスキルは、利便性の高い「特殊技能」として認知されている。

 大抵の人は、生涯に一つか二つ発動の機会を得られれば僥倖であり、発現しないまま一生を終わる人もいる。(そういう人は、大抵不遇なまま人生を終えるが)

 向上心の高い若者は、従軍し、極限状態を経験することで多くのスキルを発現させる機会を得る者も多く、そういった者達は4~6個のスキルを得て民間企業などに自分を売り込む者も多くいる。

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