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異世界突撃部隊 ゼロゼロワンワン  作者: 拝 印篭
第一章【大森林】風来無宿 
4/42

4.DAREが殺したくっくろびん! それは私とサギ師は言った!

「落ち着いたかしらん?」


「すっげー落ち着いた」


 あの後、ひとしきりクックロビン音頭を最後まで踊ってようやく人心地ついた俺は地べたに正座して今までの情報を整理整頓することにした。




一、俺、水害に巻き込まれ絶命。


二、俺、森の中で目覚める。


三、地球と違う自然環境から、他の惑星、ないし異世界と推測。


四、動物ウサギと闘って完勝。ドロップ品を得る。


五、初めての調理。おいしゅうございました。


六、第一異世界人との接触。現所在地が【大森林】内と判明。又、言葉が通じたので交渉が可能と判明。


七、上記異世界人より俺の外観が変化している事実が判明。←いまここ。


 まあ、定番の可能性としては、俺は異世界に転生して犬耳種族になっちまったということでいいのだろうか? 


 地球に未練は特にないからそれ自体は構わないんだけどね。あっちに、家族が居る訳でもなければ、そもそも俺、ホームレスだった訳だし。



◇◆◇◆



 15年務めていた会社があっという間に倒産して、失業保険を頼りに生きていた所、


「あなたに新しい就職先と住居をお世話します」


 と、言って近づいてきた男の口車に乗って何十枚も書類を書かされた挙句、失業保険と生活保護を受けられるようになった。そこまでは良かったのだが、その書類の中に多額の生命保険が紛れていたらしい。


 そして、奴の指定するNPO法人に保険金を寄付することを条件に仕事を斡旋してくれると言う。


 奴の口車に乗って地方から東京へ出て来た俺が最初に世話された住居が、ウナギの寝床のようなシェアハウスという名の社員寮であった。15平米しかない部屋に三段ベッドが一つあり、そこで四人生活するという仕組みで、俺は一番最後に入った為、同居人による多数決で床での生活と相成ったのだ。


 しかし、それはまだ序の口。仕事というのが所謂港湾労働者というもので、一日12時間自主的に働いて賃金が12000円。それだけ見ると、決して悪くないように見えるが、そこから、仲介者の手数料として、2000円が引かれる。そして、家賃が同じく一日2000円。

 健康保険が一日800円、作業着代と昼食代が各1200円ずつ。計7200円と一日12000円分の税金と年金が2400円ずつ差っ引かれ手取りはたった2400円である。


 これが、各部屋四人分が一括で支払われる。当然のように俺の取り分は先輩たちがきちんと分けてくれるという事が無かった為、俺が実際はいくら貰えるのかはそうとう後になるまで知らなかった。実際、この一年程は、一日働いて日給1500円ぽっち。それでも、ここを出て行けば生きられないという強迫観念の所為で俺はそんな生活を一年近くも強いられてきたのだ。


 転機となったのは、俺が栄養失調で路上で倒れて入院させられた時だった。


 支払っていた筈の健康保険が一年前から未納で、治療費を全額請求されたのだ。


 事ここに至って俺は全ての人間に搾取されていた事実に気が付かされた。


 病院を無断で飛び出して退院すると、自分の部屋へ戻って他の連中の持ち物を全部かっさらって回った。現金こそ持っているという程は持っていなかったが、リーダー格の男が生意気にもオメガの腕時計を持っていた。そういえば、俺の仕事を自分がさもやったように吹聴していて、たまにえらい人に奢ってもらっていたとか自慢してたっけ。その時に時計貰ったとか言ってたかも。他にも、14型の液晶テレビやら、一円玉貯金やら、少しでも金になりそうなものは全部頂戴してとんずらさせてもらった。

 無論、取ってきたものは全て現金化したぜ! いくらにもならなかったがな。


 以降、多摩川沿いをどんどん俎上して逃げながらホームレス生活をしていた。そんな生活が2ヶ月程。気が付くと秋川渓谷とかいう所で、釣り人から鮎が豊漁と聞き、夜になるのを待って漁師の仕掛けにかかった鮎を頂いて、中洲で一人焼鮎パーリナイツ! をしていたという訳である。


 そして、腹も膨れて多幸感の中で一眠りしている間に天候が急変して川が増水して流されたということなのだろう。

 

 こうしてみると、碌な人生じゃなかったな。地球にいた頃。

 そんな失敗を踏まえて、俺はこの世界ではもう少しマシな人生を歩めるのだろうか?


 ま、俺の存在が死ではなく失踪による行方不明なら奴が生命保険を受け取る事もなかろうが。


 などと益体も無い事を考えてみたり。



◇◆◇◆


 ふと、我に返ってみると目の前にメロン君の美しいおっぱいがあった。



※クックロビン音頭


 著者の考える名曲ベスト3に入る歌。機会があったらぜひ聞いてみてください。

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