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異世界突撃部隊 ゼロゼロワンワン  作者: 拝 印篭
第二章【ブエナビスタ】二等兵
18/42

18. パパはとっても心配中!

ご無沙汰してます。

第二章スタートです。

 <王国歴936年5月15日>





 第002連隊連隊長ブルーノ=ブルペイジ中将は、連隊府の自室に遠来よりの客人を迎えた。


「おおっ、わざわざご足労ありがとうございます。ワントナック卿」


 ブルドックそのものの容姿に精一杯にこやかな表情を浮かべて、気心の知れた旧知の間柄でもある遠来の友を迎え入れる。久方ぶりの邂逅に、かの堅物軍人である彼も恵比須顔である。彼の部下が今この部屋に入ってきたらさぞ吃驚することであろう。何しろ「鬼」と称されたブル連隊長殿である。普段の彼を知っていれば、とても笑顔を浮かべる光景を想像できない面相である。


「ご無沙汰しております。ブルペイジ連隊長。この度は、娘のためにお骨折り頂きありがとうございました」


 対してこちらは人の良さが顔に出ているダルメシアン種の紳士である。常ににこにことしているのでは? と想像がつく程笑顔の眩しい好紳士であり、社交界でも常にご婦人方の噂の絶えないイケメンである。それは、結婚して20年近く経つ今でも変わりない。そんな好男子がわざわざ領地を離れ王都にやって来たのには理由がある。行方不明の娘が無事生還したとの一報を得てのことである。


「いえいえ、なんにせよ無事の帰還が成って何よりでした。それにしても、御領地からの長旅お疲れ様でした。御息女にはもうお会いになられましたか?」


「いや、到着後、直接連隊府に参りましたので。まぁ、それは夕餉の時間のお楽しみということで。それに、例の件について直ぐにでもお話したい事もありましたので」


「と、おっしゃると?」


「ええ、新型通信機の実験成功です」


「おお! それでは、遂に通信機の量産に移行する訳ですな。すると、第一報はその知らせで知りえたのですね!」


 と、興奮気味のブルーノ連隊長だったが、ワントナック侯爵の方は何やら思案顔である。


「何か懸念でも?」


「どうやら娘が、行方不明の間にかなり長い時間英霊を召喚していたようで……かなりの数の魔獣を狩ったとか。その為、疲弊しているにも関わらず随分と躁状態らしく……」


「そ、それは! 確かでしょうか? 医療チームの準備をさせた方が良いでしょうか?」


「いえ、そこまでは心配ない様です。捜索していた妹からの報告を昨夜受信いたしました限りでは、体調事体は問題無いかと。それよりも、西果て(さいはて)の村跡地で彼女に接触した敵性種族が居たそうです」


「なんと! もしかしたら次の侵攻に向けての強行偵察でしょうか?」


 仮にこの情報が確かであるならば、ブルーノ自身も彼の娘達に話を聞く必要がある。それにしても、西果ての村から公里200マイルは離れたワントナック侯爵領まで通信が届いてしまう新型通信機の威力といったら……


「それはなんとも。既に処置済との事で情報漏洩の心配はないという事ですが。ただ……」


「他にも何か御懸念が?」


「どうやら奴らとは別に【大森林】で婿を拾って来てしまったようで」




◇◆◇◆




『うえーん(泣) パパぁー。お姉ちゃんが、お姉ちゃんが穢されちゃったぁー!!』


 人(犬?)類の悲願であった長距離通信の実験は、開発者の一人、マロン=ミリスの手により自ら行われ、大成功を納めた。伝えられた内容はアレであったが。


 この通信を聞いていた若い独身技術者達は、あまりの「悲報」に滂沱の涙を流している。


 一方、彼女らの父親はというと、意外にも冷静に対応している。まぁ、下の妹の言う事なので、話半分と言った所か?


「CQCQ、マロン隊員! 通信は簡潔に、要領を纏めてお願いします」


『だってぇ~』


「だってじゃな~い! 従業員が聞いてるんだから!」


 「ミリス インダストリー」創設者にして、マロン、メロンらの父であるジョバンニ=ワントナック侯爵は、それこそ従業員に対し、示しがつかないような口調でマロンを窘めた後、周囲を見回して赤面した。


 軍需産業大手の「ミリス インダストリー」の技術開発部門が軍と共同で開発していた電波通信システムは、マロンという他に類を見ない天才少女のアイデアによって車載出来るまでに小型、軽量、頑強化されて、実戦配備も可能な技術として最後の調整段階まで完成していた。


 今回、メロン=ミリス捜索の為に駆り出された小型戦車「ゼパ34式複座突撃戦車」に搭載しての通信実験を0011小隊に依頼していたのも、開発者のマロンが搭乗している事もあったが、やはり娘メロンの身を案じ、いち早く安否を知りたいという親心もあったのであろう。

 

 この程度の公私混同を咎める程、「ミリス インダストリー」の開発者達も野暮ではないし、何といってもメロン=ミリスという誰からも愛される少女を救出する手助けとなれば、そして、いち早く無事を知りたいと、むしろ率先して捜索隊の装備として貸し出したのだ。


 往路の間は微調節が難航してとても通信できているとは言えない状態であったが、メロン発見の報と共にようやくチューニングが嵌ったおかげで、彼女の無事を320km程離れたワントナック侯爵領「ワンダバ」に居る父親に伝えられた。と、同時に世界初の通信革命を成功させ、この戦乱の世に、他国に対する膨大なアドバンテージを得る事に成功した。


「まぁ、腹立ち紛れに通信機をぶっ叩いたらチューニングが合っちゃったってのが真相なんだけどね」


 とは、後日マロンが相方、マルティ伍長にだけこっそり語った真実である。




※ ゼパ34式複座突撃戦車


 次期主力戦車として開発中のドム37式重戦車の補助従戦車として開発された陸上のイージス艦。初のモノコックフレーム採用で車体強度が同重量当たり4倍に強化された。また、当機体は開発中の新装甲材カーボンケプラーを使用し、重戦車並みの装甲強度を誇る。武装は37mm砲一門、16mm機関砲一門。

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