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異世界突撃部隊 ゼロゼロワンワン  作者: 拝 印篭
第一章【大森林】風来無宿 
14/42

14. 人間のランチタイム!

 <異世界生活11日目>




「と、いうわけで、こちらは森の中で保護した民間人のノーラさんや」


 メロンによって紹介されたことによって俺の命は首の皮一枚で繋がった。いや、正確には首の皮を一枚斬られた所で一緒に居た女の子たちに引きはがされたため、何とか命を長らえたのであった。


「がるるるるる!」


 と、俺を威嚇する凶暴なメロンもどき(乳無い国産)

 そして、それを必死で留めようとしている小さな犬耳と、なんと! エルフ!!

 みなさーん! えろふ、もといエルフがここに居ますよー! ほっそーい! 顔ちっちゃーい! 色白金髪エルフが、なんかえろーい恰好のビキニアーマー? 着ている。

 エルフの存在に感動していると、


「うがぁーっ!」

 あ、解き放たれた。


 すかぽーん!


「マロンちゃん! お昼なんですから、早く食卓に着いて下さい。皆さんも!」


 一際小さな少女がおたまを投げつけて沈黙させた。その少女の姿に俺はまたもビックリさせられた。


「メロン! この娘、人間だ! 人間が居たよ!!」


 そう、その少女は、普通の人間の姿であった。いや、メイド服を着たメイドさんだ!!

 なに? この超空間!? 俺を萌え死にさせる為の罠?


「? ひなこちゃんはひなこだよ?」

「だから、ひなこちゃんは人間だろ?」

「人間族といえば人間族だけど、普通にひなこだよ」

「……ちょっと待って。話が噛み合って無い」


 ここで、ちっちゃい犬耳が介入してきた。


「……ひなこはひなこという種族。恐らくあなたの言う人間種ではない。と、いうか、人間なんて神話の時代に滅亡した種族。この世に居るわけがない」


 小さいが冷静に諭すような声音が、俺の認識違いを冷静に訂正する。どうやら、そういうものらしい。のか?


「まぁまぁ、取りあえず食べながらお話しましょう。さぁ、スープが冷めてしまいますよ」


 と、言いながらひなこちゃんは、気絶した偽メロン(どうやら彼女が件の妹なのだろう)を片手で持ち上げ食卓に着かせた。すげぇ膂力! 




「こほん。それではいただきます」


 ひなこちゃんが号令をかけると、全員が


「「「「「いただきまーす」」」」」


 声をそろえていただきますをした。


「はむはむ、こくこく、ごっきゅん! おいしーっ!」


 メロンがチョー幸せそうに食べている。

 俺も一口スープを頂いた。


 うっ、うっめぇーっ!!


 そして、滂沱の涙を流す俺。こんな美味いもの、生まれて初めて食った! 昨日の豚骨スープなんか、料理ですらねー! 所詮は只の焼いた、煮込んだ、塩かけた、程度のもの。それに引き換え彼女の料理は、これぞ、人間の英知の結集! という料理である。下ごしらえの多層構造が味の深見を形作るという意味において、彼女のそれは、料理というスキルの完成形である。感動という言葉の意味を俺は初めて知ったのであった。

 そこから先は、一瞬であった。ローストビーフの肉汁と絶妙な塩加減の生ハム! 付け合わせのピクルスの浸かり具合。そして、スープのコーンの甘さ! オレンジのスムージーの冷たさ、酸味のさわやかさ!

 

 久しぶりに人間として扱われたような気分であった。そういえば、他人の作った飯を食うのはいつ以来であろうか。


 あっという間に完食して、自然と両の掌を合わせていた。


「ごちそうさまでした」


 味王様宜しく感謝の念を持って一礼をする。


「御粗末さまでした」


 ひなこという少女がとてもいい笑顔で俺に応えてくれる。すんげー多幸感。


「それじゃ、改めて紹介するね。うちの小隊の仲間たちや。先ずは妹のマロン」


 さっきまで俺を殺そうとしていた少女が、食後の今は


「にへら~っ! よろしく~」


 やはり食後の多幸感を堪能しているようでふにゃふにゃしている。完全に別人だな。さっきの剣呑さは何だったんだ?


「それから、妹のバディのマルティ伍長。猟兵さん」


「……部下が世話になった。感謝する」


 こちらはちっちゃなロリっ子という見た目によらず折り目正しい軍人さんって感じ。


「それから、盾騎士のハーフエルフさん。レィジィさん」


「レイジィ=ストルム一等兵であります。16歳のバージンであります!」


 いきなり何言っちゃってるの? この娘! エルフの盾職とか、なんかツッコミ所が多すぎてどこから突っ込んでいいものやら? 


「そして、この料理を作ってくれたひなこちゃん」


「ひなこはひなこです。どうぞよろしく。本職はレイジィさんのミニスター(従者)です」


「でも、ひなこちゃんは絶滅危惧種なので、大事に保護されていま~す」


 って、絶滅危惧種に戦争やらせていいのかよ!


「ともあれ、うちを入れてこの五人が現在の0011小隊の全構成員で~す」


「……一応、自分、マルティ伍長が小隊長代理を務めている。上位の指示は中隊長のドギー=クー大尉から受ける為、全権限を移管されている訳ではないが……」


「そうそう、みんな~ うち、このノーラさんをバディにしようと思うんやけど」


「「「「ええええーっ!!」」」」

「お姉ちゃん! やっぱ、今すぐ殺そうこいつ!」

「やはり、貫通済……」

「すんごい男伊達であります! 国民的英雄の伴侶になるお方。どこかオーラが違うのであります!」

「今夜はお赤飯ですねー♡」


 な、なんか、反応がこえー!

 ともあれ、こうして俺とメロンは彼女の仲間に保護された。

 うん。こういう状態が保護されるって事だよなぁ。

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