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異世界突撃部隊 ゼロゼロワンワン  作者: 拝 印篭
第一章【大森林】風来無宿 
13/42

13. メロン ミリスちゃんの(乳)消失!

 <異世界生活10日目>




 鬱だ。死のう!




 結局、あの後村まで速攻戻って、パンツを洗って干してから、再出発となった。


 メロンは、その間無言で待っていてくれたのだが、その間に俺を見つめる目が微妙に優しかったりした所為で、その間中俺のライフがゴリゴリと削られていったのであった。


「だいじょうぶやよ。うち、誰にも言わへんから。それに、この位普通やって。お母様からも、教わったことあるし」


 どんな性教育してんの? おかーさーん!?


 よくよく考えたら、おかしいと思っていたんだ。自慢じゃないが前世では俺は相当長持ちする方だった。むしろ、「早くイッて~」などと怒られる事の方が多かった。


 ええ、恋人とかいません。そういう人々からの評価です。


 それはともかく、転生して犬っころと化した為にそっちの生物としての適性がONとなってしまったのではなかろうかと仮説を唱えてみた。


 犬猫のおS○Xって、ほぼ一瞬だもんな。


 つまり、転生後最大級の興奮状態だったあの状態では、ああなるのは必然であったのだ。



 俺、無罪。



 最高裁判所は、本件について、無罪判決を言い渡しました。


 ちぱちぱ。




「ね、ね、うちでそんなに興奮してくれたんやよねえ~ どんな感じやったの?」


「もう、ゆーるーしーてー!!」





 さて、俺のライフは風前の灯火であっても、旅は続けねばならない。

 たとえ、二人の序列に大きな変化があったとしてもだ。


 微妙にすーすーするノーパン状態で再開した旅も、既に三日目。


 特に変化らしい変化は無くガオジーたちの言っていた集落までやってきた。


 村の入り口付近には、彼らの言葉通りオークたちの骨が大量に積み上げられていた。

 二人してなむなむしてから村に入る。


 ガオジーたちを弔った時にも思った事だが、大量の骨を見ていると、なんだかこれで出汁を取って豚骨スープが作れそうだなと、ゴクリ! 考えてしまう俺、不謹慎?


 ここで屋根の残っている建物に一晩泊まることにした。どうやらガオジーたちが拠点としていた建物のようで、煮焚きの跡が残っていた。


 そろそろ限界に達していたパンの実を全部処分して、他には食べられる雑草と、最後のもも肉、そしてメロンには内緒で取ってきたオークの骨でスープを作った。脛部分だけなのでギリギリモラル的にセーフという事にして欲しい。


「ありあわせの材料だけでこ~んな美味しいスープを作っちゃうなんて! どうやって作ったの?」


 と、聞かれたが、先祖代々の秘密とごまかしておいた。まぁ、言えんわな。


 やがて、久方ぶりの汁物のおかげか、おなかもくちくなって、眠気が二人を支配し始めた頃、昨今の微妙な雰囲気もどーでも良くなって、もう、このまま寝てしまえとばかりに二人して横になった。囲炉裏の残り火がほの暗い部屋の中を照らす赤が、更に眠気を誘い、俺とメロンは本能に任せ、


 爆睡したのであった。


 考えてみれば、出会って以来ここまで弛緩したのも初めてである。どう考えても緊張の中で生活していたここ一週間程であったのだから、今の俺達には甘いロマンスよりも一時の睡眠が必要だったのだ。


 だから、翌日の昼過ぎまで手も触れるような距離で爆睡していたのだって、当然なのである。



◇◆◇◆




「お、お姉ちゃん(ガクガクブルブル)い、いいい一体どこのどいつよっ! こーんな可愛いわたしのお姉ちゃんと、ど、どどど同禽してるなんてぇーっ!」


「……あの万年鬱のメロンが、ここまで気を許した姿を見せるとは……貫通済?」


「そんな! 私でさえ未だに避けられ続けているというのにっ! かくなる上は、切ぷ」

「ぎゃー! やめてぇーっ! お姉ちゃんに返り血がかかるぅー!!」


 なにやら怒りのオーラに叩き起こされた俺は、周囲から立ち上る余りの恐怖に目を開ける事が出来なかった。ぎゅっ、と目をつむり耐える俺。すると、どこからともなく鼻孔を擽る良い香りが……


「みなさ~ん。お昼ごはんができましたよ~」


 その声に真っ先に反応したのは、メロンだった。


「あれ~? みんな~、ごはんだよ~?」


 うん。声音だけでまだ寝ぼけてることが良くわかった。


「ひなこちゃん~ ごはんな~に~?」


「本日のメニューはローストビーフと生ハムのサンドイッチに暖かいコーンスープ。それにオレンジのスムージーですよ~」


「って、へ!?」


「起きた! おねーちゃーん(だきっ!)」


「??? マロンちゃん? どーしてここにいるの?」


「そんなことよりも、こいつ! 誰よ!? ってか、殺していい?」


 何やら剣呑な声が聞こえて来たので、流石に限界かと起きようとした所で、何者かにどすんと、乗っかられた。恐る恐る目を開けると、眩しい光と共に目に入ってきたのは、


「ギャース! メロンの、メロンの乳が無くなったぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「殺す!」


 ないちちメロンが俺にまたがってククリナイフを突き立てようとしていた。


 紳士諸君。今度こそどうやら、俺はこれまでのようだ。


 さようなら。みなさん、さようなら。次回があったら、また会おう!


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